97いいからSDもってこい
【TIPS】
レビューほしいんご!!!!!!
集まったのはホテルの一室である。
並べられた衣装の数――数十着。
それぞれが己の趣味の服を着せようと、こぞって衣装を持ち寄ると次々と着替えさせていく。
ロリータ。
スク水。
スモッグ。
ビキニ。
セーラー服。
メイド服。
白シャツ一枚。
コスプレ衣装。
男装。
着替えるたびに、ポーズを変えるたびにシャッターが切られる。
勝つためならばと、イヴも嫌な顔一つせずに着替え、言われた通りのポーズを取り、また次の衣装へ。
「オイオイオイ、死んだわ私」
着替えるだけではない。
着替えるためにイヴは目の前で生着替えすら披露している。
そんなイヴに綾香が黙っているはずもなく、その目を充血させながら血の涙を流している。
「次これ着て♡ はい、次これ♡ アクセはこれね、シューズはこれね♡」
「イヴもうちょっと下見て。そうそう。あ、ちょっとパンツ見えてるから隠してくれる?」
「はぁはぁ……イヴさん……イヴさん……」
いつものメンバーだけでなく、この日はカメラマンとしてユリカも参加している。
衣装役を綾香と凛が担当し、カメラマンを千鶴、美里、ユリカが担当だ。
「はぁはぁ……イヴさん……イヴさん……もっと見下すような視線お願いします!
もっとゴミを見るような目で! 相手を蔑むような視線で! もっときったねぇゴミを見て嫌がってください!!!!」
「いや、そんな視線じゃ勝てなくない?」
一応は要求を呑みながらも、口に出す言葉は裏腹だ。
「私が優勝出来るからいいんです!!! もっと、もっとください!!!」
「ちょっとユリカ、あんまり調子乗らないで。これはシンデレラコンテスト用のなんだからね?」
「おねーちゃんは黙ってて!!!」
「おぉん? せっかく参加させてやってんのに、なんだその口は? あ? ツインテール引っこ抜くぞ」
「そのおかっぱ頭天辺だけハゲさせて河童にするぞクソ姉貴」
「あぁ?」
「おぉん?」
バチバチと視線がぶつかり合う小林姉妹。
これはチャンスだと美里と千鶴が窓際にイヴを座らせると、今度はちゃんとした写真を撮り始める。
切なげに遠くを眺めるイヴ。
シャッターをカシャリ。
「ぁ、ぁの……一個……撮りたいのがあるんだ……」
「ん、なに?」
美里はビニール袋から大量のバラの花びらをベッドに敷き詰めると、イヴの手を引いてそこに横になれと指示を出す。
清楚なシャツを少しだけはだけさせると、眠たげな視線を送らせる。
バラのベッドに横たわる姿は、まるで毒リンゴをかじった白雪姫にも思える。
「ぁ、ぃぃ……うん……絵になってる」
「うぃー。バンバン撮ってくれ」
「ぅ、ぅん。まかせて」
一眼レフで一枚。
そして自分のスマホでも一枚。
「ぃぃなあぁ……り、六道さんは絵になるから……」
「そんなことないだろ。みーちゃんだってなるでしょ」
「む、む、む、むりだょ……こんな根暗陰キャ腐女子じゃ……」
「いいんじゃない? せっかくだし一枚撮ってみたら?」
イヴの提案に写真を撮っていた千鶴も追い打ちをかける。
「いいんじゃない♡ みーちゃんの写真も撮っちゃお♡」
「ぇ、ぇぇ……」
千鶴とイヴに両腕を掴まれると、凛が舌なめずりをしながら美里の服を脱がしていく。
「ぃ、ぃやぁ~~!!! ぉ、ォ嫁にいけない……!」
服をはぎ取り、凛好みのゴシックロリータ服に着替えさせる。
即座に地雷メイクも施すと、そこには見違えた美里が完成される。
「ぅぅ……」
「やーん♡ みーちゃんかわゆ♡」
ぷるぷるしながら涙目の美里。
構わずシャッターを切る千鶴。
美里に代わってシャッターを切るイヴ。
黒い服を着ているせいで、そのミントブルーな髪が余計に映えている。
「ほら、みーちゃん。バラの海に沈みなさい!♡」
ベッドに横たわらせる。ゴシックロリータとバラの見事なコラボレーションである。
イヴのときとは違い、恥ずかしがって涙目で見ている姿がなんとも可愛らしい。
「うぅ……ゎ、私じゃなくて六道さんの……撮影なのに……」
「いいじゃんいいじゃん。みーちゃん可愛いよ」
「マジで鬼かわ♡ クソ可愛くてキレそう♡」
「うん、絵になってるよ。あ、こっちにも目線頂戴」
「ぅぅ……」
いつの間にかイヴから美里の撮影会になると、今度は美里を次から次へと着替えさせていく。
だが、それだけに収まらず凛も持参のロリータ服に着替えると、美里の横にならんで二人のツーショットを撮ってもらう。
「せっかくだし、ちーちゃんも着てみたら?」
「え、でも、ちょっと恥ずかしいカナ」
「いいじゃんいいじゃん。こんな機会滅多にないんだしさ……」
「じゃぁ、私も――やってみようかな」
イヴに言われるがまま、千鶴も着替える。
とりあえずスク水などの際どいものは止めて、布地面積の確保できるコスプレ衣装へとチェンジする。
「ど、どう?」
「わー、ちーちゃんもかわゆ♡ イーちゃん、三人の写真撮って♡」
「おう、任せろ!」
ピ――カシャリ。
ピ――カシャリ。
ピ――カシャリ。
「そうだ、どうせなら皆の写真も撮ろうぜ。おーい綾香、ユリカちゃんもこっちおいで」
次傍でバトルしていた小林姉妹に声をかける。
イヴに声をかけられるとお互いにチャクラを収めて、尻尾を振って着替え始める。
三脚を立てて、カメラをタイマーにするとイヴを真ん中に全員が集まる。
「凛イーちゃんの隣ね♡」
「ユリカは中学なんだからもっと端いって」
「おねーちゃんは黙ってて」
「……ぇへへ、し、集合写真なんて……は、はじめて」
「ほらほら、美里さん笑って」
「よーし、お前ら笑えーそろそろだぞー」
カシャリ。
◇ ◇ ◇
『イヴから許可がもらえたので、写真送ります』
千鶴から送られてきた写真の数々に、桃子はため息が出た。
どの姿も美しい。どの姿も様になっている。そして何より、その写真もとてもいい表情をしている。
中でも全員で映っている写真など、全員が笑顔でなんとも青春している感が出ている。
「……いいなぁ……楽しそうで」
また、ため息。
イヴに負けぬように、桃子も写真は撮っていた。
それこそプロのカメラマンを呼び寄せ、最高の機材を投入し、最高のスタジオを用意して行ったものである。
でも、負けている。
「お嬢様……」
「楽しそうでいいわよね。みなさま……」
「……」
「どうして、六道イヴが銀賞を取れたか分かった気がするわ」
「それは……?」
「笑っているの。だって見て御覧なさい、この笑顔」
壁に貼られたイヴの拡大写真を見る。
振り返る笑顔――それはきっと心許せる仲の者へと向けた笑顔。
だから、賞を取れた。
「……」
「いい笑顔よね。実際にこんな笑顔、見てみたいわ……」
「お嬢様……」
センチメンタルなお嬢様に、メイドはなんて声をかけていいのか迷う。
今は何を言っても慰めにすらならない。
まだ結果は出ていないのに、目の前のお嬢様はもう負けを認めている気がしたからだ。
「でもね」
「はい」
「負けないわ。絶対に。なんとしても、あの六道イヴに勝ってやるわ!!!」
「お嬢様!!! その意気です!!!」
「もう一度撮影よ!!! カメラマンをお呼び!!」
「かしこまりました!!!!」
ポイントを!!!!下からお願いします!!!!!
あと一言でもいいので!!!!
感想が!!!!
ほちいです!!!
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