89縄跳びダイエット
【イヴの一言】
最近脂肪がついてきて、乳がおっきく見えるらしい。
今日は運動がしたい気分。
なんてイヴがいうものだから、放課後、五人は公園に集まっていた。
「じゃーん!」
イヴが嬉しそうにバッグから取り出したのは縄跳びである。
といっても小学生などが使うような安っぽいゴムと蛍光色のものではない。
黒いワイヤーが入り、グリップも柔らかく握りやすい、スポーツ選手向けの本格使用である。
「わ♡ 縄跳びとか懐かしい♡ 最後にしたの小学生な気がする♡」
「私縄跳びとか飛んだ記憶ないわ。いっつも蛇の真似して遊んでた気がする」
とりあえず試しにと、イヴが縄跳びを跳び始める。
やはり運動神経がいいせいか、縄跳びも軽く飛ぶと一定のリズムでピョンピョン跳ね続ける。
制服を着ているせいでジャンプをするたびに、スカートひらり。
(うおおおおおおおおおお!!! もう少しで! もう少しでイヴのおぱんつが!!!!)
綾香の目が血眼になってイヴの下半身へと刺さる。
(イーちゃんの太ももいいなぁ♡ かじりてぇ♡)
「私もやってみたいな」
「おう、ちーちゃんもやってみろ」
縄跳びを受け取り、千鶴も跳ぶ。
なんなくこなし、さらに二重跳びなんかも余裕の表情で披露している。
「ちーちゃんパンツ見えそう」
「もうイヴったら! どこ見てるの!」
跳ぶのを止めてスカートを抑える千鶴。
そんなところに視線が向けられているとは思わず、千鶴は『うぅ~』と唸りながら顔を赤らめている。
「ちーちゃんもっかい飛んでみてよ」
「もうやらない! はい!」
「凛と綾香は?」
「凛にゃんこだから跳べなーい♡ にゃんこはゴロゴロしか出来ないにゃん♡」
「だからぶくぶくになるんだよ。私やってみようかな」
イラっとした凛の視線が綾香の背に刺さる。
構わずに縄跳びを受け取ると、綾香も数年ぶりの縄跳びにチャレンジしてみる。
「1,2,3,4,5,6、……」
ぴしん。
勢いあまった縄が足にひっかかると、そのままバランスを崩してその場に尻餅をつく。
イヴも千鶴も運動神経がいいせいで軽々と飛べてはいたが、綾香には身軽さはまだないようである。
「あたたたた……」
「綾香ちゃんさっさと立って♡ 綾香ちゃんのパンツとか誰もみたくねーから♡」
広がってしまっていた足を閉じると、今度は綾香の苛ついた視線が凛へと向く。
ゴロゴロにゃんこ状態となった凛はベンチで丸くなると、構わずに欠伸をかます。
「じゃ、次は美里さんやってみる?」
「ぇ、ぇ、ゎ、私……?」
「ほらほら美里さんもやってみなよ」
「うぅ……ゎ、ゎかった……」
押しに弱い美里が断れるはずもなく、綾香から縄跳びを受け取るとそれっぽく構えてみる。
運動は誰よりも苦手。インドア派の美里が最後に縄跳びをしたのなど10年くらい前な気がする。
「じぇ、じぇったい……できにゃいょ……」
「みーちゃん頑張れ♡」
「綾香くらいは跳べるだろ。やるだけやってみ」
「ぅ、ぅん……」
凛とイヴに押され、もう跳ばないわけにはいかなくなる。
他の面子とは違い、美里のスカートはずいぶんと長く履かれている。
そのために跳びはねたところで中身が見えることはないだろう。
ぴょん。
試しに一回飛んでみる。
ぶるんッッ。
「……ッ!?」
跳んだ美里を見て綾香の顔がまるでゴ〇ゴ13のように険しくなる。
美里が跳んだ瞬間、巨大すぎるものが揺れていた。
美里の胴体とは別行動をするようなそれは、綾香には持っていないものだ。
ぴょん。
ぶるんッッ。
ぴょん。
ぶるんッッッ。
(な、なんだ……!? なんだその揺れは! 何が揺れているんだ!?)
何が、といいつつ答えは分かっていた。
その揺れるもの。
イヴのときも、千鶴のときも、それは揺れていた。
女性ならばあるもの。誰しもが持つもの。
しかし、綾香には限りなく無いもの。
ぴょん。
ぶるんッッッ!
(お、おかっぱがめっちゃこっち見てる……)
皺の寄りまくった綾香の目が美里のある個所にだけ注がれる。
豪快に揺れすぎているそこばかりに目がいってしまう。
(な、なんだ……なんなんだあの揺れは!?!?!)
答えは、イヴが出した。
「みーちゃんめっちゃ乳揺れまくってんな。さすがHカップ」
「Hカップ!?!??!!?!?!?!?!??!?!??」
「ぃ、ぃわにゃいで……」
縄跳びが止まる。乳の揺れも遅れて止まる。
恥ずかしそうにそのデカすぎる塊を隠す美里であったが、両手で押し付けて隠しているせいで指がめりこむと余計にデカく見えてしまう。
そう、美里のその巨大すぎるもののイニシャルはHである。
釘付けになった綾香のイニシャルはA。
Aなのである。
「あ、あ、あ、あ、あ、、あ、あの……みみみみ美里さん?」
「ぁ、ぁぃ……」
震えた声で綾香が両手を伸ばす。
「えええええええええ、えいち? え、少女Hなの? HardのHじゃなくて、あ、あのえいちなの?」
(何言ってんだこのおかっぱ……ていうか、手つきキメェ!)
わなわなと今にも揉みしだいてきそうな綾香の手。
美里はぷるぷると震えると、涙目で綾香の狂気を目の当たりにしている。
「ち、ちょっと、ちょっとだけ、ちょっとだけ、触らせてもらえない?」
「ぇ、ゃ、やぁ……」
「ちょっとだけだから。本当先っぽだけでいいから……」
「ひぃぃぃ……」
綾香の手が美里へと影を落とす。
「美里さん……大きいと思ってはいたけど、まさかこれほどとは……」
綾香の魔の手が、美里へと襲い掛かる。
揉ッッッ!!!
「ぴぃ!!!!」
「……!!!」
両者固まって動かず。
美里は涙目で綾香を見つめるが、綾香の目はまるで死んでしまったかのようにハイライトを失っている。
「おーい綾香ーそれくらいにしとけよー」
イヴが綾香に声をかけるが反応はない。
さすがに衝撃がデカすぎたかと思い、動かぬ綾香の顔を覗き込む。
「綾香ー、綾香―」
目の前で手を振ってみるも反応はなし。
試しに首元で脈をとってみるが、血流の動きは感じられない。
「綾香……し、死んでる」
「ぇ、ぇぇ……」
「Aな綾香ちゃんには衝撃的すぎたね♡ うける♡」
「綾香さん! 綾香さん! 目を覚まして!」
千鶴が頬を叩いたり肩を揺らしてみるが、綾香はそのまま昇天すると意識が戻らない。
綾香の頭の中では、空想の世界が広がっていた。
久石譲的なBGMが流れる中、制服姿の綾香が草原にいる。
目の前には美里の顔をした女神が立っている。
『女神様、何故私にはあのようなデカさがないのですか?』
『おっぱいなんて飾りよ』
『ならば、何故あなたはそれほどにデカいのですか?』
『それはね、自然の摂理。遺伝子の決まり。先祖代々受け継がれた血によるものよ』
『そういえば、私のママも――』
『大丈夫よ、綾香さん。あなたには必要ないの。だから、安心して』
『あぁ、女神様。それでも私は――』
「はっ!」
空想の世界から目覚める。目の前には心配そうな顔をしたイヴと千鶴。
そしてその後ろにはまだ涙目の美里が睨むように綾香を見つめている。
「大丈夫か、綾香?」
「イ、イヴ……い、今おっぱい神が私に語り掛けていたよ……」
「へ?」
「私にはなくても大丈夫だって……私には必要ないから安心してって……」
「そ、そうか……良かったな」
何が良かったのか何が安心できるのか分からないが、とりあえず頷く。
「ぁ、ぁやヵさんも……き、きらい……」
「ごめんごめん、美里さん……」
「ぇ、ぇっち。ぁゃかさん……へんたいっ」
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