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86妄想サーティーン

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 パシャリ。


 パシャリ。


 パシャリ。


 トレーニング姿のイヴをカメラの中に収めた。

落ちる一滴の汗でさえ、残したくてユリカのシャッターを切る指は止まる事をしらない。


「とりあえずこんなもんかな、ルーチンのトレーニングは」


 汗を拭い髪をかき上げる。

汗に塗れたその女性のなんと美しいことか。

シャッターを切るだけではたりなくて、ユリカは思わずカメラから目を外してしまう。


「あとは何か撮りたい?」


「えっと……」


 出来ればトレーニング後のシャワーシーンを撮りたい――。

なんて思うけれど、さすがにそんなことは言えない。

だから、ユリカは脳内だけでイヴのシャワーを妄想、保存する。


「あ、そしたらちょっと室内の撮影してもいいですか?」


「いいけど、何撮るの?」


「と、トレーニング器具?」


「あぁ、いいよ。じゃぁ秒でシャワー浴びてくるから待ってて。トレーニング器具なら勝手に撮っていいよ」


「ありがとうございます」


 シャワーを浴びに一階へと降りていくイヴ。

イヴの部屋に、一人。イヴに支配され空間に独り。イヴの匂いとイヴに接触した空気の部屋に。

イヴの汗が染みこんだ部屋。イヴの髪が落ちた部屋。イヴが。イヴが。イヴが。


 シャッターを切る。


 言い訳に使ってしまったトレーニング器具の写真も一応パシャリ。

ベッドを、天井を、イヴがそこにいたと分かる空間を、パシャリ。


「あ……」


 ユリカが目にしたのは、イヴの抜け殻だ。

そう、部屋に置いて行かれたイヴの抜け殻。

先ほどまでイヴが着ていたもの。

一日着ていたから汗だとか匂いだとか角質だとかイヴの成分が十二分に吸収されているであろうモノ。


 イヴの制服ぬけがらがそこにある。


 胸が一気に高鳴る。

してはいけない想像をして、やっちゃいけないことをこれからやろうとして。


 ユリカはドキドキが止まらなかった。


(イヴさんの制服……イヴさんが着ていたシャツ、イヴさんが履いていたスカート……)


 少し手を伸ばす。


 でも、もし万が一にでもばれたら。

もし急にイヴが戻ってきたら。


 ごくり喉が鳴るほどに息を飲む。


 下からはもうシャワーの音が聞こえてきている。

きっとシャワーを浴び始めてからまだ時間は経っていない。

きっとシャワーからあがっても髪を乾かしたりするだろうから、まだ時間はあるだろう。


 目の前に宝。

 目の前に制服ぬけがら


 そっと――……。


 イヴのシャツを持ち上げる。

少しだけ背の部分が湿っているのは汗のせいだろう。


「ちょっとだけ……ちょっとだけだから……」


 もう一度耳を澄ませて、シャワーの音を確認する。

まだシャワーの音は継続中だ。



 すん――……。



 シャツに顔をうずめる。


 いけないことをしているという背徳感。

 みつかったらどうしようという焦燥感。

 好きな人の香りに顔も頭も包まれている恍惚感。


「いい匂い……」


 深呼吸。


 すって、はいて。


 すって、はいて。


 イヴの匂いに包まれた空気が肺に入る。


(イヴさんの匂い、イヴさんの汗の匂い、イヴさんの……)


 いけないのに、やっちゃだめなのに。


 そう思っても身体は勝手に動いてしまう。

思い切り顔に押し付けたシャツ。

口を開いて少しだけシャツを舐める。

しょっぱくはない。味なんてしない。なのにどうしてこんなに興奮してしまうのか。


(ダメ……これくらいにしとかないと……もう戻ってきちゃう……)


(こんなとこ見られたら……)


 きっと。



『ユリカちゃんってそんなことする人だったんだ……』


『うわ、最低。人の制服の匂い嗅いで何してるの』


『キッモ。変態かよ。シャツ舐めて興奮してるとか……本当のクズだな』


 冷たすぎる瞳、最高に見下したゴミを見るような視線。


(はい……ユリカはそんなことをしちゃう人間です)


(最低でごめんなさい。ただイヴさんの匂いが嗅ぎたかったんです……)


(ユリカは変態です。イヴさんのシャツを舐めて興奮するド変態です……)


(もっと……もっと……)



 罵って。



 ゴミを見るような目でもっと見て欲しい。

 その美しく可愛らしい唇からズタズタに切り裂くような言葉を吐いて欲しい。

 こんな変態な行為をする自分を踏みつけて躾て欲しい。



「ダメだ……」


 これ以上は妄想の世界から帰ってこられなくなる。

綾香と同じようにおばかな血は引いていても、冷静さは綾香よりはユリカに備わっている。


 最後に一度シャツを舐めると、ユリカは制服ぬけがらを元に戻す。


 パシャリ。


 制服の写真を数枚、カメラに収める。

もう一度、もう一度だけそのシャツに顔を埋めたいと思ったが、もう一階からはドライヤーの音がしている。

髪の長いイヴとはいえ、もしかしたらユリカに気を遣ってすぐに戻ってくるかもしれない。


(これいじょうの変態行為リスクはおかせない……)


 ぐっと堪えて、ユリカはイヴが戻ってくるのを待った。


「おまたせ」


「おかえりさない」


「ごめんな、待たせて。写真撮れた?」


「はい、おかげさまで」


「それにしても一眼って綺麗に撮れるんだな。今度その写真送ってよ」



 チャンスッッッッッ!!!!!!!!!!!



「勿論です。じゃぁ、イヴさんのライン教えてもらってもいいですか?」


「いいよー」


 ラインの連絡先を交換する。

今までは連絡先を知らなかったが、これでいつでもイヴに連絡を取れる。

いつでもイヴの声が聴ける。

いつでも。

いつでも。

いつでも。


「あ、あの」


「おん?」


「実は今度私誕生日なんです……良かったら、おうちでパーティーをするので……き、来てくれませんか?」


「あ、そうなんだ。ユリカちゃん誕生日いつなの?」


「8月10日です。ハートの日なんです」


「覚えやすい誕生日だね。いいよ、何かプレゼントもって行くね」


 

 出来れば首にリボンをつけた貴女に来て欲しい。

もしくは自分に首輪をつけて欲しい。

なんていうのは妄想の中だけにしておいた。



 そこからユリカはマイクに連絡を入れると、白人ナイスガイがすぐにでも迎えに来た。

玄関まで見送ってみくれるイヴとイヴの祖父。


「じゃぁね、ユリカちゃん。またおいで」


「んだんだ。おらとイヴしがいねーがらだよ。いつでもあそびさおいで」


「イヴさん、イヴさんの御爺様。今日はありがとうございました。また夜、連絡してもいいですか?」


「いいよー。写真楽しみにしてる」


 嬉しくて顔が赤くなる。

 嬉しくて純粋な笑顔が出る。


 スカートをちょこんとつまんで一礼すると、ユリカは高級外車に乗って夜の道へ進んでいく。


「イヴ、あればどごのお嬢様だんべ?」


「友達の妹だよ」


「ロールスロイスでお迎えとは恐れいったべ」


「マジで小林家謎すぎるわ。じーちゃん金あるなら俺にもあれ買ってくれよ」


「いやぁ、さすがにあんな数千万の車かえねっぺよ。それにおめは免許ねべさ」


「そうだった」



◇ ◇ ◇



『今日はありがとうございました』


『こちらこそお役に立てれば何よりだよ』


『今日とった写真送ります。このイヴさん本当にきれいです』


 送ったのは振り返るイヴの写真だ。

夕日に照らされて金箔を散らすような髪が、なんとも美しい。


『よく撮れてるなー。そういえば、今度別荘お邪魔するから、そのときはまたよろしくね』


『はい。母に伺っております。私も行くので、その時は是非、また撮らせてください。

浜辺が近いので、きっと絵になると思います』


 水着、砂浜、夕日。

 露出する肌、汗ばむ谷間、裸足。


「はぁ……はぁ……」



『是非頼むわ(女の子の絵文字)』


「言われなくたって、撮るに決まってるじゃないですか」



 薄暗い部屋、ユリカは興奮に赤くなった顔がブルーライトに照らされている。

 傍らで動いていたプリンターが今日撮った写真たちを現像していく。

 出来上がった一枚一枚を、大切に壁に貼り付けていく。

 部屋から回収した金髪の一本を大切にパックに入れると、机に仕舞い込む。


「いつか本当に……」


『ユリカちゃんってこんな変態だったんだ』


『最低。そういう目的で写真撮ってたの? 人間の屑だね』


『私の写真でナニしてたの? 髪の毛なんて集めてナニしてたの?』


 

「バレて……怒られて……躾けられて……」


『ド変態。人間の屑。最低』


「なんて言われて」


『ユリカちゃんみたいなド変態はじめて見たわ。

同じ女の子なのに。そういう目で私を見てたんだ』


 ぞくぞくする。


『これ以上被害者が出ないように、私だけで満足できるようにしないとね。

変態。ほら、返事は?』


『は、はい……』


 首輪に繋がれた鎖を引かれる。


『違うでしょ。ブヒでしょ。ユリカちゃんはド変態の雌豚なんだからお返事は“ブヒ”でしょ』


 身体が、熱い。


『ぶ、ぶひ……』


『よくできました。じゃぁ、ほらご褒美だ』


 そういってイヴは裸足をユリカの前に突き出す。


 妄想の中。ユリカはイヴに飼育われる。


「あぁ、私のイヴさん。私だけのイヴさん。私だけのご主人様……」


 むずむずした衝動。

この気持ちをどう発散したらいいのか分からなくて、ユリカはただ自分自身を抱きしめていた。



ポイントを!!!!下からお願いします!!!!!


あと一言でもいいので!!!!


感想が!!!!


ほちいです!!!


↓↓↓↓↓↓↓↓

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― 新着の感想 ―
[一言] 8月10日ってハートじゃなくて、野獣先輩なんだよなーw
[良い点] ユリカ様やっべえ…(真顔) え。やっべえですね。
[一言] 怖いよ~…。怖いよ~~…。変態だよ~……。 ユリカをおっさん(笑)に置き換えて想像したら、猛烈に地獄絵図だよ~www。
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