70ブラジャーをかけた戦い
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通常なら――。
通常ならばノーブラで過ごすなど絶対にしたくはないことである。
誰だってそうだ。もしそんなことをしてしまえば――。
女子高生生活が終わる危険性だってある。
しかし、だ。
そこには負けられない戦いがある。
あわよくばイヴのノーブラを。
もしくは恋敵である相手にトラウマを。
すでに戦いは始まっている。
一番手である綾香の点数は
83点。
今現在歌っている美里の点数――。
その歌声は、そのメロディはあきらかに綾香よりもへたくそなものである。
(あああ、早く終わってくれ……でも、終わらないで欲しい気も……あぁぁぁ、やばい吐きそう)
涙目に、震える声で歌う美里。
誰の目から見ても綾香よりは低い点数に間違いはないと踏んでいた。
(この下手さなら……美里さんがノーブラかッッ!?)
拳を口に当てて考える綾香。
とりあえず自分がノーブラになることはないだろうと思うが、イヴのノーブラが見えないのも残念ではある。
そして曝け出された点数は――。
(ノーブラで過ごすとか無理ぃぃぃぃ、まじで、まじでなんでそんなこと言いだすんだよ……ていうか、お前らも乗るなよ……)
美里はすでに自分の敗北を感じていた。
ドルルルルル――バンッ!
「え?」
その点数。
91点。
「な、何故だッッッ!!!!1」
思わず綾香が立ち上がる。
「やーん♡ みーちゃん歌お上手♡」
「て、テメェロリビッチ!!! 何をしやがった!!!」
「何もしてないよぉ♡ だってほら、さっきの画面と変わらないでしょう♡」
「ぐぬぬ……た、確かに……」
(本当は接待モードにしているけどな♡ イーちゃんのが見れないは残念だけど♡ うふふふ♡)
続いて、凛、千鶴、イヴと歌いだす。
結果。
凛95点。
千鶴98点。
イヴ97点。
最下位は――見るまでもなく綾香であった。
「ち、ちょっとまて!!! 絶対おかしい!! 何かおかしいぞ!!!」
「おかしくないよ♡」
「ぐ、ぐぬぬぬぬ……」
凛と綾香がにらみ合う。
何かおかしい。何かがおかしいと感じる綾香はそのつかめない原因と凛の企みに歯噛みしている。
「も……もう一回。もう一回やらせて」
「えー、そしたら綾香ちゃん一回得しちゃうじゃん♡」
にらみ合う両者。何か違和感は感じるが答えの出せない綾香。
勝手に燃え上がるバトルに、美里と千鶴は端のほうへと移る。
「ぁ、ぁの、ふ、二人って……ぃぃ……いつも……こぅ、なの?」
「んー、そうね。そうみたい。仲いい時もあるんだけれどね」
千鶴苦笑い。
千鶴が最初二人にあったときはそれは仲良くみたものだが、現在となっては二人の間柄はよく分からない。
つるんではいるが、仲はよくない。
いうならば、水と油。猿と犬。
「じゃぁ、今のは練習ってことで次本番にしようか♡」
まだ何か企みがあるような凛がそんなことを言う。
そこにどんな企みがあるのかは分からないが、ノーブラを避けられるならば綾香もそれは願ってもないことである。
「わ、分かった……(ロリビッチ……何を考えてやがるんだ……)」
「うふふふ♡(いいのよ♡ それで♡ 綾香ちゃんは操りやすいなぁ♡)」
なにか不穏というか――何かを秘めたような空気感。
それは綾香でなくても、千鶴でも美里でも感じることが出来た。
設定は解除されず、また再び凛から歌いだす。
「じゃ、凛からね♡」
(何を考えているッッ! ロリビッチ……!)
「凛のデスヴォもっかい聞きたいなー」
「勿論だよ♡」
歌い始めたのは、これまたとてつもないデスヴォイスである。
激しいギター、ドラム、ベース。
立ち上がった凛は思い切り空気を吸い込むと、その腹に力を籠める。
「ファッ〇ットヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!」
音程など無視した声。リズムなどあってないような爆発でもしたかのような音。
(何故だ!? これでは高得点など取れるはずがない! 何故、何故!?)
鳴り響くデスヴォイスに、綾香は目を丸くしている。
その結果、当然のように点数は――
87点。
「えへへ♡ ちょっと低かった♡」
低い。
これでは下手をすれば凛が最下位もありえるのに、何故か凛は嬉しそうである。
順番は回る。
千鶴が歌い、綾香が歌い、イヴが歌い、美里が歌う。
その点数は、
千鶴98点。
綾香95点。
イヴ96点。
美里92点。
「あちゃー♡ 今度は凛が負けちゃった♡」
負けたのに何故か凛は嬉しそうである。
とりあえず最下位ではなかったことに胸を撫でおろす綾香以外。
(ロリビッチ、何をする気なんだ……)
凛は着ていたパーカーを脱ぐと、ぴょんぴょんと移動してイヴの隣へと腰掛けた。
「イーちゃんブラのホックとって♡」
背中を差し出す。
(そ、それが狙いか変態ロリビッチがああああああああああああああああああ!!!!!)
「り、凛さん……か、過激だね……」
「あー、そういうこと」
美里と千鶴がうなずく。
ただノーブラになるのではない。凛はイヴにホックを外してもらうという手に出たのである。
しかも。
「シャツの上からじゃなくて……シャツの中に手をいれてね……♡」
「お、おう……」
(な、なんだこのエロい空間は……さっきまでリア充の巣窟だと思ったのに、一気に百合百合した空気になっているだとッッ!?)
美里の目に映る光景。
艶めかしき表情をした凛が頬を赤らめるとイヴに背を向けている。
イヴもなんともいえぬ表情ではあるが、決して嫌がっている様子はない。
そっとシャツの中へと手を潜らせれば、指先が背を這っているのか、凛は身をよじらせている。
「あっ♡ なんか……ゾクゾクしちゃう♡」
「ホック外すだけなんだから、あんまり動くなよ……」
「勝手に動いちゃうんだもん♡」
(私は何を見せられているんだ!?)
しかし、美里の息は徐々に荒くなっていた。
隣にいる千鶴も『あらあら』なんて言いながら頬を赤くしているし、綾香は鬼の形相で唇を噛みちぎっている。
「ほれ、外したぞ……」
「ありがと、イーちゃん♡」
◇ ◇ ◇
結局、凛はノーブラではなくホックを外すだけに終わっていた。
しかし、家に帰った美里はやたらと悶々とするとネトゲにログインしながらも何も出来ずにいた。
(なんだったんだ……今日のあのカラオケは……私は何を見ていたんだ……)
居心地が悪かった。綾香は知っていたが話したことなどほとんどなかったし、さらに連れてきていた凛と千鶴など初対面である。
人見知りが発動しないわけもなく、美里の首は締められ続けていた。
なのに。
あの百合百合した空気が、空間が忘れられない。
自分はノーマルだとは思っているが、あの光景がいつまでも脳裏でエンドレス再生されている。
「あんな……あんなえっちもん見せやがって……」
凛のあの表情は女子高生のものではない。
あれは発情したメスの顔である。
そしてシャツに手をしゅるり忍ばせたイヴもまた、女性なのに男性的で――。
まるで今からピーな行為が始まる前兆のようにも思えた。
「いや。違う。私は別にノーマルだし。ノンケだし」
あの指先が――。自分の背を這ったらどうなるだろうと想像する。
ぞくり。
想像しただけで鳥肌がたつ。
鳥肌が立っているはずなのに、どこかがムズムズする。
「いや、違う。あんなの――あんなの初めて生で見たから、変に興奮しちゃっただけだし」
むずむず。
もうネトゲなどしている場合ではなかった。
おかしな感情が沸き上がると、その感情を燃やし尽くすことが出来ずにベッドに横たわる。
スマホを取り出し、ラインを開く。
『今日の六道さん、えっちだったね』
送信。
「……」
「……」
「……」
「何を送っているんだ私は!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
急いで削除を押す。
しかし、もうすでに既読はついている。
「あわわわわわわわわわ」
既読のまま返事がない。
「あわわわわわわわわわわ」
イヴの反応がない。
「お、終わった。終わった。おおおお、終わった……」
「ま、待てよ! そうだ!!1 も、もう一回送れば……何か送れば……」
超高速でタップする。
『えっちなのはイケないと思います』
「よし!!!!!!」
既読。
「……」
「……」
「……」
ピロン。
『今さ』
『コンビニでアイス買ってた』
『アイス垂れたんだけど』
『めっちゃえっちに見えね?』
おそよ美里の言葉など見ていなかった反応。
言葉の先には一枚の写真。
舌を出してアイスクリームを舐める艶めかしき姿。
キャミソールから見える大きな谷間には、溶けたアイスクリームが垂れると白い線を引いている。
「……」
「……」
「エッッッッッッッッッッ」
美里は思う。
きっと自分は母親のおなかの中に棒を忘れてきたのだろうと。
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