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53お泊まりコースのシンデレラ

 無力さに泣く姿は、とても小さく、とてもか弱い。

 

 普段の姿とは違うその姿。


 いつもなら、甘えん坊で。

 いつもなら、すぐにえっちな方へ持って行って。

 いつもなら、こんな泣いたりしないのに。


 零れる涙は、初めて見る凛の乙女らしさに見えた。



「ヒック……ひっく……」


 言われるまでもなく――


 イヴはそんな乙女を放っておけるほどに道を外れてはいない。


「よしよし、俺のために頑張ってくれてたんだよな、凛は。よしよし」


 精一杯の抱擁。

 精一杯のなでなで。

 精一杯の愛情で答える。


(こんなに泣いて、こんなにぼろぼろで、こんな可愛くない姿――)


 見せたくないのに。


「凛は頑張った。きっと俺のために色々考えてくれてたんだよな。ありがとう」


 答えたいのに、嗚咽に飲まれていく言葉。


「ひっく……うぅ」


「凛はいつもなんだかんだ考えてるしな。凛、ありがとうな。俺は凛といれて嬉しいよ」


 涙が枯れない。

 悔しい気持ち、計画通りにいかなかった怒りの気持ち。

そしてそれを包み込んでくれる優しさが胸に刺さって。

涙はとまってくれない。


「い、イーちゃん……」


「大丈夫だよ、凛。お前の気持ちは十分に伝わってるから。な?」


「うぅ……」


 凛の身体をイヴの方へ向かせ、顔を覆っていた手をどかす。

涙のせいで落ちた目元のメイク。

赤くなった目。震える口。


(可愛くないあたしなんて……見られたくない……)


 だから、視線を逸らす。


 そんな凛の額に、イヴは優しく口づける。

凛の手をとって立たせると、その小さな身体を胸に引き寄せる。


「イーちゃん……」


「俺の胸かしてやるよ。よしよし」


 なでなで。


「今のあたし……最低だよ。ぶちゃいくな顔だし、メイクは落ちるし、何もうまくいかないし」


「うまくいかないことだってあるさ。それに今の凛は今までで一番乙女だ。一番乙女で、一番可愛い」


「うそ、ぶちゃいくだもん……」


「俺が可愛いっていってんだから、今のお前は可愛いんだよ」


「……」


「今のお前は今までで一番お姫様だ」


 一番お姫様。

そっと潤んだ目で見上げる。

イヴの姿は――まるで王子様に見える。


 お姫様なんて。

 お姫様なんて。

 お姫様なんて。


「こんなぶちゃいくなお姫様なんて、いないし……ぐすん」


「ああだこうだうるせーなー! ほれ!」


「きゃ!」


 泣き顔お姫様をお姫様抱っこする。

いつもならば、嬉しいはずのお姫様抱っこが、今は恥ずかしくて仕方ない。

首に手はかけるが、顔を見られたくなくて、凛は顔を隠す。


「凛」


「……はじゅかちい」


「お姫様」


「もっとはじゅい……」


「いつもの凛はどこへいっちまったんだろうなぁ? 今夜はまるで魔法がかかったみたいだな、凛」


「ぶすの魔法だよ」


「ちげーよ。シンデレラの魔法だよ。ただ、0時過ぎても魔法は解けないし、お泊まりコースのシンデレラだけどな」



(シンデレラに……なれるのかな、あたしは)



 きゅっとイヴの服をつまむ凛。その表情は恥ずかしさに困り果てている。



「あーもー! 今日の凛はなんだ! 可愛すぎるな!」


「ぶ、ぶちゃいくだから! 今日の凛は世界で一番ぶちゃいく!」


「うるせぇ! 俺がいうんだからいいんだよ!」


「だって、メイクだって、服装だって!」



 王子様の顔が、シンデレラを見つめる。



「んなもんなくなって――凛は可愛いんだよ」




 ドッッッ――――――キュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥンッッッ!!!



 その言葉の衝撃は――

 矢というにはぬるすぎて、

 銃弾というには遅すぎて、

 刀というにはなまくら過ぎて。


 その言葉は――


 究極の一撃。


 凛の心は。

 凛の涙は。

 凛の表情は。


 破壊される。


「ま、まって。まって。まって」


「ん?」


「今こっちみないで。まじで……まじで……」


「どうして?」


「今まじで顔みれないから。本当、ちょっと待って……」


 恥ずかしさ。

 超越する。

 乙女心。


(か、格好良すぎる――♡♡♡♡♡♡♡♡♡) 



「いつもの凛らしくねーな。本当」


「だって、だって」


「いつもならもっと喜んだりするじゃねーか。今日は甘えなくていいのか?」


「甘えたい……けど」


「けど?」


 もじもじ。


 千鶴も綾香もいない。

つまり邪魔はいない。

そんな状況で。

今のこんな空気で甘えてしまったら。


 凛の頭にはおかしな言葉が浮かんでしまう。

綾香の影響なのか、それとも、凛の乙女がそう告げるのか。

はたまた、それは本能的な衝動なのか。


「きっと、今甘えはじめたら……」


 脳裏に浮かぶはピンク色な夢展開。

このまま甘え始めたら、それこそ歯止めが効くわけがない。

きっと、たぶん。

甘えだしたら、こうなって、ああなって、そうなって。

その結果の先に。


「?」



(妊娠しちゃいそうなんだもん……♡)


 

下から感想、ポイント、レビューが出来ます!!!!!!!!!!!!!!!




是非お願いいたします!!!!!!!!!!!!!!!!!!




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― 新着の感想 ―
[一言] やべーっ!凛が、綾香と同じく想像妊娠してしまいそうな勢いだ…。 イヴ狂いにおいては、圧倒的に前へ先駆けてたぶっ壊れ綾香のレベルに凛が追い付きそうだぞ!!。
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