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28まるでエロさのない入浴シーン

 少女に生まれ変わって、男の時にはありえなかったことが増えた。

その一つに、涙もろくなったというのがある。

 

 二人を風呂へと送り込んだあと、イヴは一人まだ赤い目をこすった。


 前世まえならば、このような事で泣いたりはしなかった。


(勝手に涙が流れるんだよなぁ……)


 感情の起伏が激しくなった気がする。

それは女に生まれ変わったからなのか、それとも本当に女子高生になってしまったからなのか。


 ズズ。


 まさか二人の前であのように泣くなんて思わなかった。

 ただ、二人はちょっかいばかりしてきて。

凛が何かすれば、綾香が対抗する。

綾香が対抗すれば、凛はより過激になる。

まるでオモチャ。


 純粋に楽しんでいるのは自分だけなのだろうか。

そう思うと、どうしても心苦しくて、なんだか泣いてしまった。


 情けないなぁと思いつつ、これも女子高生らしいだろうかと思う。

女の涙は武器、なんていうけれど、武器になった気はしていない。


(もう泣くのはやめよう)


 せっかくのお泊り会である。

それも今回は凛も参加して、女子高生三人での楽しいお泊り会のはず。

きっと二人も反省してくれただろうし、自分がこのままでは楽しむことなんて出来ない。


「よし、もう大丈夫!」


 一人力む。


(お風呂あがったら何しようかな。まだまだ夜は長いしな!)



◇ ◇ ◇



 ぽちゃん。


 綾香と凛。相容れぬはずの二人は裸になると、肩を並べて浴槽に浸かっていた。


 女二人、密室、全裸。

何も起きないわけも――ある。


 無言だった。

身体を洗う時も、頭を洗う時も。


(何故、何故こうなった。イヴと入るはずが何故こうなった?)


(なんでおかっぱと一緒にお風呂になんて……はぁ)


 思っていることは同じことである。


「あ、あのさ」


「え、何」


 会話を始めたのは綾香からである。


「顔、痛くなかった?」


「痛かったけど、あれはそういう痛みじゃないし……綾香ちゃんは?」


 殴られた痛みではない。あれはイヴに対して失礼を働いたことに対する断罪いたみ

互いにそうだと分かってはいるが、気まずい沈黙を破るために言葉を投げる。


「私も……平気」


「……」


「……」


 投げたはずの言葉のボールが、地に落ちて転がる。


「あのさ」


 落ちたボールを凛が再び拾って投げる。


「ん?」


「このあと、何しようか? 何か持ってきてたりする?」


「いや……考えてなかった」


「そっか。私もネタは……出しつくしちゃったかな(本当はえっちなもの持ってきたけど)」


「どうしようね」


 ぽちゃん。


 イヴが間にいるときは、ここまで会話が続かないとは思わなかった。

もうそこそこに顔を合わせたりしているはずなのに、会話らしい会話が続かない。

思い返してみれば、イヴがいたときはひたすらにいがみ合っていた気がする。

だって、お互いの気持ちを知っているから。

お互いに取られたくなくて必死だったから。


「……そろそろあがろっか」


「うん」


 二人して風呂を出る。

何か爪痕を残したい。だから二人はこのあとどうしようかと悩んだ。



 ◇ ◇ ◇

 


「なんだこれ」


 キャリーバッグからピンク色のコードが伸びていた。

似た色をしているのでどちらのキャリーバッグかは忘れたが、衣類を取り出したときにはみ出したのだろう。

なんとなくそのままにしておくのも悪い気がして、イヴはバッグを開いた。


 コードの正体。

コードの先には楕円形のプラスチック、もう片方にはリモコンがついている。


「これって……」


 スイッチを押す。


 ブブブブブブ――……


(なんでこんなもん持ってきてんの!?)


 震えるそれを見ながら、イヴは顔が引きつる。

何故、何故お泊りにこのようなものが必要なのか。

だって、これってピ――するときに使うもの。


 どちらが、どちらが持ってきたのか。


 トントントントン。


 階段をあがってくる音がする。

イヴはとっさにスイッチを切ると、ピンク色を後ろにしまった。


「イーちゃん戻ったぁ」


「お風呂ご馳走様でした」


「お、おう! お前ら! お、おかえり!」


 部屋に入っただけなのに、慌てるイヴに首をかしげる二人。

あきらかに何かを隠している。不自然に後ろに回った手――きっと何かを隠しているのだろう。


「イーちゃん後ろに何持ってるの?」


「え、いや、なにも!」


「えー、そんなあからさまな。何持ってるの♡ 凛に見せて♡」


「いや、何もないって! 本当! マジで!」


「やーん♡ そういわれると増々知りたくなっちゃう♡ お願い♡」


(どうする!?!?!?! どうするイヴ!!!!!!)


 ニヤニヤしながら凛が一歩一歩距離を詰める。


「イーちゃん♡ 見せて♡」


「待て! 凛、落ち着け!」


「や♡ 見せて」


 ゆっくり、ゆっくりと近づくと凛はイヴを壁際に追い込む。

凛はイヴに壁ドンすると、背伸びしてイヴの耳元に囁く。


「み♡ せ♡ て♡」


(ぐうううううう!!!)


 一瞬、力んでしまう。

 指が、動く。


 ブブブブブブ――……


「!!!!!」


「?」


 スイッチを入れてしまい目を見開き脂汗を流すイヴ。

スマホが振動しているのかと勘違いし、はてなマークを浮かべる凛。


 そして――……。


 一人絶望した表情の綾香。


(あ、ああああ、ああああああああ、ああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!)


「これ……イーちゃんこんなの持ってたの?」


 震えるそれを見る。

 

「ち、違う! これは俺のじゃ、俺のじゃないんだ!!!」


(うおああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)


「え、ってことは……」


 チラリ、凛が綾香を見る。


 入浴後にしては――不自然すぎる汗の量。

風呂に入った直後であるというのに、真っ青に青ざめる姿。


 綾香はガクガクブルブルと震えると、その場に尻餅をつく。


(綾香ちゃんたら♡ 同じようなこと考えてたんだ♡)


「え、てことは、これは……」


 イヴの引き攣った顔が、綾香を斬る。


「ち、違うのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

これにはわ、わわわわ、、わわわわけがががががが――……」


 穴があったら入って埋めてもらってそのまま死にたい。


「綾香ちゃんたら♡ こんなもの持ってきてナニしようとしてたの?♡」


「綾香……お前……」


「死ぬ、今すぐこの場で舌噛み切って死ぬううううううううううううううううううう!!!!!!!」


 享年15歳。

 小林綾香、逝去。



下から感想、ポイント、レビューが出来ます!!!!!!!!!!!!!!!


是非お願いいたします!!!!!!!!!!!!!!!!!!


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[一言] 綾香ああああああああああああああああ!!!! 巨星墜つ
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