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177面接

 メイドカフェの公式サイトから応募フォームを見つけると、イヴはさっそくフォームに入力した。

簡潔な自身のプロフィールと顔写真などを送るだけで応募は完了した。


「これでよし、と……」


 応募してからメイドカフェとはどんなものかと調べてみる。

イヴの中のイメージではキャバクラの劣化版程度に思っていたが、実際に調べてみるとそうではないとも言えた。

接客だけしていればいいのだろうと思ったが、掲載されている仕事ないようには歌って踊ることなども含まれている。

すでに応募してしまったが、徐々に不安がこみ上げてくる。


「客前で歌って踊るなんて……無理だなぁ」


 さらに言えば、メイドカフェはオタクコンテンツである。

イヴにオタク要素があるのかと言われれば、首を縦に振ることはできない。


「うぅん……」


 考えても仕方ない。

そもそもまだ面接すら受けていないのだし、これからまた考えればいいとイヴはベッドにもぐった。





 放課後、イヴは凛を図書室に呼び出すと昨日のことを話した。


「実はさバイトしようと思って。メイドカフェなんだけど、凛いったことある?」


「え、イーちゃんメイドカフェでバイトすんの!?!?!??♡♡♡」


「まだ応募しただけ」


「ま!!!!! イーちゃんのメイド服姿超みたい♡」


「どうせなら可愛い服きてバイトしてぇなって思ってさ。でも、調べたら俺のイメージと違って」


 そう言ってイヴは歌って踊るメイドさんの動画を凛に見せた。


「俺には絶対できねー」


「あー♡ アイドルソングやアニソンはイーちゃん不得意そうだもんね♡

絶対に歌ったり踊れないと採用は難しいのかな?♡ イーちゃんならできなくて採用されそうだけど♡」


「ん-、どうなんだろな。で、凛行ったことある?」


「あるよー♡ ずいぶん前だけど♡ そのときは初めていって少しメイドさんとお話したな♡」


「踊ったりは?」


「そのときはなかったかな♡」


「そっかー、別に歌って踊れなくてもいいの、かな?」


 悩まし気に首をかしげる。

によによしながらそんなイヴを眺める凛。

メイド服なイヴを見てみたい、その気持ちはとてつもなくある。

だが、不安もこみ上げる。


(イーちゃんがバイトしはじめたら……)


 惚れた弱みもあるが、イヴは第三者から見ても美人である。

おまけにナイスバディの女子高生。

傍で見てきたからこそ分かるイヴの魅力。

イヴは簡単に人を惚れさせてしまう。もちろんそれは凛もだし、綾香も、千鶴も美里も桃子も。

その他にも数人イヴにお熱になってしまっている雌たちがいる事実。


(今はあたしたちだけで済んでいるけれど……)


 イヴの主な活動範囲は学校である。故にイヴに惚れた人数は数人程度で収まっている。

もし、そんなイヴが野外へ放たれたならどうなってしまうことだろうか。

ましてやメイドカフェといえば、今や観光スポットとしての役割も果たしている。

今とはくらべものにならない圧倒的な人数が、イヴの姿を見ることになる。


 想像してしまう。

男だけでなく、女も見境なく惚れさせて無双してしまうイヴの姿を。


「おい、凛聞いてる?」


「え、あ、ごめんね♡ ちょっと考えごとしてた♡」


 無双する姿があまりに現実的に妄想できて、凛はイヴの言葉が聞こえていなかった。


「見てみて。今度面接するってさ」


「にゃ! そっかぁ……」


「なんだよ、急に寂しそうな顔して」


「いや、別に……」


「大丈夫か?」


「うーん、正直ちょっと心配♡」


「何が?」


「イーちゃんすぐに人を惚れさせちゃうから♡」


「はは、そんなことねーだろ」


「あるから心配なんだよなぁ♡」


 これからどうすればいいのだろう。

1つ、他の誰かのものになるまえに自分のものにする。

2つ、イヴが面接に受からないように策を練る。

3つ、身近のモンスターたちにこの情報を巻いて暴れさせる。


「うぅん♡」


 現実的なのは3だが――綾香と桃子に情報を流せば、おそらくマジに大暴れしそうなのもリアルに想像できる。


「とりあえず面接だけ受けてみるかな。受かるといいなぁ」


(受からないといいなぁ♡)


「もし給料入るようになったら皆でメシでもいこーぜ」


「う、うん♡」


 凛ちゃん、心にモヤモヤを残したままその日は別れを告げた。




 地元から数駅離れた場所が面接場所であった。

てっきりメイドカフェで面接をするものだと思っていたが、来るように指示されたのは雑居ビルの一室である。

おそらくはここが本部兼事務所であり、店舗はまた別に構えているのだろう。

 インターホンをならすと、すぐに反応があった。


「失礼します、本日面接予定でした六道イヴです」


「六道さんですね、どうぞ中へ」


 扉が開くと、中からはスーツに眼鏡姿の女性が顔をだした。

恐らくこの人が運営の人なのだろうと考えながら、イヴは中へと入った。


 事務所は更衣室も兼ねているらしく、部屋には多くのロッカーが寿司詰め状態である。

おまけに販促物なども多く、女性はそれらをどかして場所を作り椅子を設置するとイヴを座るように促した。


「えー、それでは面接をはじめさせていただきます。本日面接を担当する、谷間です」


「六道イヴです。本日はよろしくお願いいたします」


「はい。それではさっそくですが」


「はい」


「採用です」


「はやっ」



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