176試合決定
司会者席に座ったイヴは歩いてきた二人、その内の一人おかっぱ頭の少女に自己紹介を促した。
「えー、綾香です。イヴとイチャラブセッ〇スをしたかったんですが、まだ付き合ってもいないのでお預けかなと。
そうですね、一話から私がメインで出ているので他のヒロインは全員ぶっ飛ばそうと思います」
「次の人」
促されたのは綾香の隣に腰掛けていた凛だ。
「イーちゃん久しぶり♡ イーちゃんと久々にデート出来るってきいて来ました♡
せっかく裏から表にきたんで、思いっきり暴れてやろうと思います♡
とりあえず……隣のおかっぱがでしゃばっているみたいなんで、モブだってことわからせてやろうと思います♡」
「あぁ? 凛さんあなた私とやりあえるの?」
立ち上がる綾香に、凛は笑顔で答える。
「本当はイーちゃんとおデートしたいけど、綾香ちゃん邪魔すってんなら、あんたでもいいよ♡」
「じゃぁ、そこ試合決定で」
イヴの試合決定の指示に、凛と綾香は互いに睨み合うと静かに火花を散らしている。
「こういうのも久々だね、凛さん」
「三年ぶりだからな♡」
*
待ち合わせしていた駅から三人で町をブラつく。
途中デパートでコスメを見たり、ファストファッション店に入って流行りの服を見たり。
「なぁ」
立ち寄ったプチプラファッションのお店で、イヴはシャツを身体に当てながら二人に尋ねた。
「かわいい?」
「食べちゃいたい(かわいい)」
「イーちゃんかあいい♡ しゅき♡」
「いろいろとさ、女子高生らしくあるように調べて実践したけどさ。本当にかわいいのか、疑問なんだよな」
姿見に映るイヴの姿。
それは女子高生らしい幼さもあるが、金髪美少女ないで立ちは女子高生よりかはモデルやインフルエンサーっぽくも見える。
「女子高生らしさかー、考えたことなかったな」
「凛もないなぁ♡ ほら、あたしも綾香ちゃんもイーちゃんも同じ女子高生だけど、皆系統違うし♡」
「確かに」
凛と綾香を見比べてみる。
凛はゴシックというかロリータ的な服装が多く、いつもフリルを身にまとっている気がする。
対する綾香は女子高生ではあるが、そこまでファッションに興味があるようには見えない。
必要最低限のオシャレだけをして、あとはそのときの気分で服装を変えている。
「凛さんは年中ロリロリしてて熱くないの? 夏でもフリルやら着てるよね?」
「熱さよりも可愛さ重視だから♡」
腰に両手を当てて張る胸に、綾香は少しだけイラッとした様子を見せる。
その誇張されたバストが、まな板である綾香に対する挑発に見えたからである。
「そんなにパイ強調しなくていいよ」
「あ、ごめんね♡ 勝手に強調されちゃうんだよね♡」
「パイでかいと本当に肩凝ったりするの?」
「ん-、デカいのが常だからなぁ♡ そこまで凄い凝ってるってことはないかも♡」
「イヴは?」
「ん-、普通?」
「かぁー持ってる者たちはいいよなぁ! 私もパイトークしてみてぇ」
「綾香ちゃんまな板にレーズンだもんな♡」
「乳もぐぞ」
「やん♡ イーちゃん護って♡」
「別に乳なんかあってもなくてもどっちでもいいだろ。どっちもメリット、デメリットはあるだろ」
「来世は巨乳になりますよーに」
*
最後にカフェで一頻りトークをしまくった後、イヴは自宅へと戻った。
ここのところ、舞依と濃厚な日々ばかり送っていたせいか、三人で過ごす日はなかなかに女子高生らしさを感じられた。
買ってきたばかりの衣類を丁寧にクローゼットにしまうと、ベッドに倒れ込んだ。
「はぁー、久しぶりだったな」
スマホを見ればあれだけ話したというのに、凛からも綾香からもラインが届いている。
ただ今すぐ返事をする気分にはなれなくて、画面をオフにすると仰向けになって天井を見上げた。
本当に――信じられない日々を送っている気がする。
前世の物語が終わり、舞依との物語が終わり、今は女子高生六道イヴの物語を歩いている。
凛に綾香、千鶴、美里、桃子、etc、etc。
いつの間にかいろんな人に囲まれ、日々を送っている。
「にしても」
手を伸ばして財布を掴む。
デートに行く前には数枚の札が入っていたが、今は小銭が少しあるだけだ。
「使いすぎた……なんだかんだ女子高生も金かかるんだな」
衣類代、コスメ代、遊興費と女子高生も中々に金がかかる。
そういえば、凛なんかはアルバイトをしていたし、そうやって小遣いを稼いでいるのだろう。
「バイトでもするかなぁ」
再びスマホを手に取り、さっそくアルバイトを検索する。
女子高生でもできそうなアルバイトはいくつか出てくるが、どうせならば可愛い服をきたバイトがしたい、なんて思う。
「お」
一件のアルバイトが目に映る。
「これいいかも」
目に留まったのは地元からは少し離れた場所にあるカフェの求人情報である。
イメージとして乗せられている画像は服装も可愛く、店内の雰囲気も大変に可愛らしいものである。
ただ、問題なのは普通のカフェではないことである。
「メイドカフェかー。俺にも出来るかな?」
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