158のんびり
さすがにもうこれ以上ゲームをする気は起きなかった。
イヴは美里のベッドに勝手に寝転がると床に落ちている雑誌を読んでいるし、美里もパソコンに向かうとSNSを見ている。
「みーちゃんてさ」
「ん?」
「家にいるときいっつもパソコンと睨めっこ?」
「んー、だいたいはそうかなぁ? スマホも見るけれど」
「どっちにしろブルーライト浴びまくりじゃねーか」
「えへへ……」
それだけ長時間パソコンやスマホを見ていたら視力も下がりそうなものなのに、美里は裸眼で過ごしているから不思議なものだ。
普段の様子からコンタクトをつけている様子もないし、眼鏡をかけることもない。
イヴは美里の顔をじぃと見つめると、何故平気なのか疑問に思えてくる。
「みーちゃん視力悪くなったりしないの?」
「しないなぁ、なんでだろうねぇ」
現在進行形でブルーライト浴びまくりのはずなのに、裸眼な美里は目を細めたりすることもなく画面を見つめる。
「ぁ、でも肩凝ったりはするかなぁ。結構ゴリゴリになるの」
「それは画面に見すぎじゃなくて乳がデカすぎるからじゃね?」
「それもあるのかなぁ?」
乳をメロンやスイカに例えることがあるが、比喩的な表現ではなく美里の乳といえば本当にメロン二つ入ってるかのごとくである。
しかも大きすぎるくせに重力に逆らうように張りのある姿は羨ましいという感情を通り越して感動すら覚えてしまう。
「いつからでかくなったの?」
「うーん、張り始めたのは小学生高学年からかなぁ。うちお母さんも大きいから遺伝かなぁ」
「遺伝ですかねぇ」
そうですよね、遺伝子には逆らえませんものね、とイヴは納得する。
同じ女でもつい触りたくなってしまうメロン。学校ではどれだけの男子に欲望の眼差しで見られていることだろうか。
美里はあまり目立ちはしないが、普通に見れば美少女というジャンルには入る。
小動物のような可愛らしい姿をもう少し見せれば、きっと学校でもたちまちに目立ってしまうだろう。
ふと男の視線に立ってみれば、美里がとても魅力的に見えてくる。
小動物的なかわいらしさ。もじもじした態度。デカすぎる巨乳。
男ならばこの要素だけで落ちるのでは、と思えてしまう。
「みーちゃんはさ」
「うん」
「告白されたこととかある?」
「えぇ!? ぁ、あるわけにゃいでしょ!」
「なんだ、ないのかぁ」
「こんなクソ陰キャを好きになる男子なんていないよ。いるとしたら相当な物好きだよぉ……」
「そうかぁ? 可愛いし乳でかいし、もうそれだけでモテそうなもんだけどな」
「可愛くないし……それにそんなおっぱい星人には好きになられたくないな……」
もう答えを聞き、興味をなくしたイヴは雑誌に視線を落とす。
むぅとふくれっ面をした美里はならばイヴはどうなのだと聞き返す。
「イヴちゃんは? 男子に告白されたりとか」
「ないねー。俺もちょっと前まで陰キャ? つーの? だったしな。
それに今は今で男に告白されるなんて……うぅ、鳥肌立つわ」
「イヴちゃんこそモテそうなのにね」
「いやー男にはモテたくないなぁ。男とどうのこうのするとか考えたくもねーや。
男とイチャついている自分とかマジで想像したくもない」
「なんでそこまで男性を拒否するの?」
「んー、やっぱ……」
雑誌から視線をあげる。
美里のほうをじぃと見れば、美里は首をかしげながら答えを待っている。
「そういう人間として生まれたからじゃね?
きっとあたしの恋愛対象は女性なんだよ。そういう人間として生まれたんだよ」
「そうなんだ」
「そうなんだよ」
「じゃぁさ」
「おん?」
「例えばだけど……ゎ、私とだったら……付き合ってもいいと……思ったり、する?」
やけに顔を赤らめた美里は今にも消え入りそうなか細い声で言った。
イヴがまた美里の顔を見れば、その顔は薄目ではあるがイヴのことをまっすぐに見つめている。
「……そう、だなぁ……」
足をきゅっと閉じて。
美里の小さな唇が潤んでいる。
「ゎ、私のこと……好きになったり……する?」
ポイントおなしゃすぅ
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