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141/203

140戦争だこのやろう

 あまり興味がないと思っていたが、実際に見始めると映画の世界へと没頭してしまう。

画面の中、引退したヤクザが再び任侠の世界へと踏み込むとさっそく抗争に巻き込まれている。


『ガタガタ抜かしてんじゃねぇぞコラァ!』


『なんだとテメェ! 戦争すんのかコラァ!』


『やってやるよコノヤロウ!!!』


 そのセリフたちはほとんど暴力的で品性のかけらもない。

怒りを露わにした任侠たちは今にも殺し合いをはじめそうな空気がぷんぷんする。



(なんだろ――、なんか引っかかる)



 この映画をイヴは見たことがない。

しかし、そのセリフには聞き覚えがある。

というか、リアルに思い出せる。

頭に回想されるのは、映画のシーンではなくもっと小さな事務所でのやりとりだ。

一歩踏み出し、その瞬間に銃声がしたような。


 結局映画の中では、ヤクザの一人が指を詰めることで問題が解決した。


「イヴ以外と見入ってんな」


「うん、まぁ……」


 頭の中では発砲シーンがあった。だが、映画の中で発砲はなかった。

おかしな回想に、イヴはもしかしたらと脳内の回想に集中する。


 目は画面を見ているが、集中するのは脳内回想だ。

確か、抗争に巻き込まれて相手の事務所に踏み入れると――。


『パァン』


「あ」


「ん?」


「いや、なんでもない」


「へへへ。イヴも結構こういうの好きなんだな」


「好きじゃないけど――、知ってるというか」


「あー?」


 見つめてくるアンナをシカトすると画面に没頭する。

アンナがイヴの頭にちゅっと一発唇の弾丸をお見舞いしても、イヴは微動だにしない。




 ◇



 頭に中に見覚えのない記憶がチラつきだした。

映画にはなかった映像。発砲シーン。怒声あげるヤクザたち。

そして、当の本人も怒声をあげていた気がする。


 ざぱぁ。


 桶に掬ったお湯を頭からかぶる。


「いい身体してんなぁ」


 浴槽に浸かったアンナがいう。

アンナの身体には痛々しい内出血の痕が残っている。

時折痛むのか動作が止まる。やはり一人では入れなかったようで、洗身などもイヴが行った。

同様にイヴの背もアンナが流した。

背を流しつつ、その指先は全面にも触れイヴの身体を知ってしまっている。


「そこまでじゃないでしょ」


「いやー、いい乳してるし、ケツもきゅっとしてるしよ。イヴ男にモテるだろ?」


「全然」


「うそつけよオラ。正直になれコラ」


「本当にないってば」


 長い髪を縛るとアンナの隣に浸かる。

ヘリに腕を預けながら二人してのんびりと湯あみを楽しむ。

 しかしながら、頭には先ほどのヤクザ映画が思い出される。

そしてそこから忘れてしまっている記憶が引き出せないかと心見る。


(頭の中――)


 頭の中に宝箱を想像する。

宝箱は南京錠がされていて、さらに全身に鎖が巻き付けられている。

映画で見たシーンを鍵に変えて南京錠に差し込む。

鍵はあかない。けれど、鎖の一本が外れる。


「イヴよぉ」


「おん?」


「お前処女?」


「急に何言ってんの」


 想像していた宝箱が消える。

急におかしなことを言いだすアンナに、イヴの顔は赤く染まっている。

勿論そのようなことをした覚えはないし、忘れている記憶の中にもそのような記憶はないと思う。


「じゃー、あたしの初めて奪われたし、今度はうちが奪ってやるよ」


「マジで退院するまで貞操護ってやるからな」


「じゃぁ退院するまでにうちが奪えたら結婚しようぜ。

奪えなかったら彼女のままな」


「あたしにメリットないんですが???」



下からポイント評価おなしゃす!!!!!!!!!

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