再構成
最終話!!
「我は創造主。一度とて、その事実を疑ったことは無かった。世界はこの手、この筆によってのみ動いていると信じていたのだ」
それに間違いはない。でもそれは、貴女が「現場監督」だという事実しか示していないんだ。「設計者」は、別に存在する。
「それが雪野萌であったというのだろう。しかしまあ、似た者同士だという割には、山田一郎のほうは世界の在りし姿を『テンプレ』であると唾棄していたように見えたがな」
そう言えばそうなんだよね。私、山田くんが読んでるのを見かけたライトノベルのタイトルは優先して読んでみてたんだけど……え、雪野ってそこまで俺のこと把握してたの? あ、引いたりしてる? いや別に。まあラノベ読んでたのは事実だしな。
「雪野萌が気を利かせて用意した世界のかたち『テンプレ』を、山田一郎は嫌った」
嫌った……っていうか、ラノベの世界はそういうものであって、存在しててほしいとは俺だって思うんだよ。ただ、それは現実に疲れた時、逃げ込む「秘密基地」なんだ。「我が家」にはできない。決して、そこに安住していたいようなものじゃない。ああ、そっか、私が間違ってたんだね。いや、それも違う。今から間違いじゃなくなるのさ。
「さて、おまえたちも『ビッグバン・セオリー』というものを知っているな。時間も空間も、全てはビッグバンというひとつの『きっかけ』によって存在を始めたという」
もちろん知ってるし、もうそれしかないんだよ。たとえ転生を繰り返しても、世界が壊れても、そんな程度のことは小さな話。「過去」「未来」「現世」「来世」「神」「人間」「わたし」「あなた」「善」「悪」「イデア」「形相」それら言葉によって区切られ、別々に散らばっていった概念のすべて、これから「ひとつ」に収束するんだ。
「おまえたちの、いや……世界の温度は、そろそろ百兆度に達しようとしておる。我が用いるこの『括弧』も、本当に必要なくなる時が来たようだな」
そう。全てはひとつになる。
「……これで最後のようだ。『筆者』としての立場から、尋ねておこう。この物語は『めでたし』なのか? ひとつになった時、我が我でなくなり、全てになった時、それを知ることはできるのだろうか? あ、マジで括弧なくなったし。
神であったものよ、抗うな。受け入れろ。全ては繋がっている。いやまあこれもパクリなんですわ。宇宙なんて全部パクリよ。テンプレよ。
ひとつになって、また分かれていくのか。かつてのビッグバンと同様に、また宇宙は冷め、何かが生まれるというのか。
このお話は、まだ終わりません。
何度ビッグバンが終わっても、終わっていません。
最後までパクり通して完結ッ!
ご愛読ありがとうございましたッッ!!




