珍問珍答シリーズ その21 出産シーンを見た男子高校生の感想
性教育の一環として、出産シーンをふくむビデオを男子生徒にも見せる校内行事がありました。
その次の日、感想を書いてもらいました。
その感想の中から、いくつか紹介します。
小学校、中学校の時も、性教育の時間はあったけれども、あまりくわしくはなかったし、聞いても、よくわからなかった。だから、それほど期待もしていなかった。ところが、こんどは、産婦人科のお医者さんが講師だという。さすが、県立高校だと思った。
まず、出産の場面を中心にしたビデオを見た。女性の腹が風船みたいにふくらみ、針でさしたら、バクハツしそうになっていた。
出産シーンでは、見ているこちらまで、痛く、つらくなりそうで、たまらなかった。でも、自分もああやって、生まれてきたのだと思って、感動した。これが、ほんとうの性教育だと思った。
ビデオでは、ごく普通の家庭が紹介された。お母さんが妊娠している。出産のために入院すると、お父さんが、子供二人のめんどうをみたりするそんな家庭に、また子供が生まれた。ふたごの赤ちゃんだった。一人目が生まれて、数分後には、もう一人生まれてきた。生まれたばかりの赤ちゃんは、ドス黒くて、きもちが悪かった。あんな痛い思いをするなんて、女に生まれないでよかったと思った。
ビデオの次には、産婦人科の先生のスライド説明があった。梅毒、淋病、エイズなどの性病の話もあった。聞いたことのない名前の病気の話もあった。そのあと、女性の生理の話などがあった。あまりわからないところもあった。
初めて出産シーンを見た時は、思わず声をあげそうな衝撃があった。自分がこれから、どんな人生をすごすかはまだわからないが、結婚して、もし相手の人が、立ちあってと言ったら、出産の時に、立ちあってあげたいと思う。
最初、ちょっと、ふざけ気味のことを言っていた者もいたが、赤ちゃんが生まれるシーンは、みな、まじめに受けとめていた。日ごろ、好奇心の強いともだちも、思わず、目をそらしたと言っていた。想像以上の迫力があった。女は、ものすごいことができるんだなあ、と思った。それだけに、子どもを生んだら、その喜びもまた、男にはわからないほど大きいのだろう、と思った。
今の若い者は、文章を書くのをイヤがると言います。
書きたくなるような感動があれば、かれらもペンを持って、その感動をつづるのです。
私は、そういう感想を持ちました。