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第5話 逃げるが勝ち

タイトル通り主人公は逃げます。何だかんだ主人公のステータスは勇者達より高いので、勇者の数倍速く走れます。これ以上はネタバレになりそうなので、続きは本編で。

「やっぱり、か・・・」


「ちょ、ちょっと待ってください!神凪君は流れで聞いてしまっただけです!何も悪くありません!いくら何でも酷すぎます!」


そう言ってくれたのは桐翳だ。本当にいいやつだなぁ(ほろり)。なんてふざけてる場合じゃない。いくら俺でも死ぬのは嫌だ。それに、せっかく異世界転移なんて機会に巡り会えたんだ。こんな所で死にたくはない。


「そうですよ!確かに国の重大な秘密を一般人が知るのは、とてつもない危険があるのは承知しています。でも、わざとではなく、不可抗力で聞いてしまった神凪君を、口封じの為に殺すのは理不尽すぎます。」


聖もそんなことを言ってくれた。その尻馬に乗る様に、クラスメイト達が次々と異議を申し立てる。


「・・・確かにそなたらも納得はいかんであろう。しかし、この国を守る為にはそうするしか無いのじゃ。もしも、カンナギ殿が魔国に行き、何かの拍子に我々が勇者を召喚したことや勇者達の性格、人間関係等を口走ってしまう可能性だってある。そのような事が起きぬ為にも、カンナギ殿を口封じする必要がある。」


「でも、だからって殺すまでしなくても良いじゃないですか!せめてこの国から出られないくらいでもいいでしょう?」


おいこらちょっと待て、確かに俺は死にたくはないが、この国だけで一生を暮らすのは嫌だぞ。他の国にも行ってみたいんだよ。


「じゃがそれでも、余にも正義がある!例えそれが

、人を殺すことになったとしても、やらねばならぬ時もあるのじゃ。兵士達よ、カンナギ殿を捕らえるのだ!」


「くっ・・・話が通じない。どうすれば・・・」


まずいな・・・このままじゃ俺は兵士達に捕まってお陀仏だ。それだけは避けたいが、国王に何を言っても無駄なのはさっきのやり取りが証明している。となれば残る手段は・・・


「神凪君、私たちが時間を稼ぐからその隙に逃げて!こんな理不尽でクラスメイトを死なせたくないから・・・っ」


・・・どうやら皆も俺と同じ考えだったようだ。そうだ、こんな時に取れる手段はただ一つ。『逃げるが勝ち』だッ!


そうして俺は、皆が兵士達と戦ってる間に王城の中を走り回った。あの兵士達は王直属の兵士だろう。だからレベルはかなり高いはずだ。それでも皆が足止め出来ているということは、相手が勇者だからと兵士達が手加減しているのだろう。なんにしてもありがたい。そのお陰で逃げる時間が増えるのだから。


・・・皆を置いて一目散に逃げ出しておいてなんだが、やっぱり少し、罪悪感が残る。それでも皆が稼いでくれている時間なんだ。何としてでも生き残ってやるっ!




ーーーそうして俺は、王城の外に脱出することに成功したのだった。

どうにか主人公は逃げ切れた様です。少しの罪悪感を胸に逃げる主人公は、読者のみなさんの目にはどのように映るのでしょうか。チートを期待している読者の方はもう少しお待ちください。もう少しでチートが出てくるので。

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