第37話 妖精界からの帰還
本日は2話投稿する予定です。続きは夜に書きます。
突然だが俺は今、二シャスに腕を組まれて、魔法陣らしき物の中央にいる。
「さて、それでは始めましょうか。」
「・・・本当にその方法で帰れるのか?」
「えぇ、もちろんです。MPであれば、それが誰のものであろうと構わないのですから。」
そう、二シャスが言った方法とは、俺のMPを一気に使い、本来二シャスが少しずつ溜めるMPを、1度に溜めてゲートを開く、というものだ。
え?二シャスと腕を組んでいる理由?俺のMPだけで足りなかった場合に、二シャスが残りの分を注ぎ込むからだそうだ。俺のMPは馬鹿げてるから必要ないと言ったんだが、どうしてもと言うので、こうなってる。
「一応聞いておくけど、ゲートを開くのに使うMPってどれくらいなの?」
「そうですね・・・およそ1億程でしょうか?」
・・・はい?1億?・・・訂正、俺のMPは全然馬鹿げてなかった。ていうかそれだけのMPを1週間で溜めるとかどんだけ?
「そんなになのか・・・ていうか、ちょっとステータス見てもいい?」
気になる。そう、かなり気になる。
「私は隠蔽を持っているので、超鑑定が無いと覗けませんよ?」
「あぁ、それなら問題ない。俺持ってるから。」
「・・・本当に何者なんですか?閉じかけたゲートを無理矢理こじ開けて入ってきた事といい・・・」
二シャス曰く、閉じかけたゲートを開くには、相応のMPが必要だそうだ。ゲートを開いた後、その場には、ゲートを開くのに使ったMPの、約3割が残るらしい。つまり、閉じかけたゲートを開く為には、残り7割のMPを持っている必要があるらしい。俺は使った記憶が無いのだが、どうやらMPがあるだけで勝手に開くことがあるらしい・・・稀にだが。まぁいい、とりあえず、二シャスからの許しが出たので、ステータスを覗いてみよう。
二シャス
Lv135
HP 63000/63000
MP 90000000/90000000
攻撃 5000
防御 7560
魔攻 1526500
魔防 1152000
運 75
スキル 隠蔽、妖精の加護、フェアリー・ライフ、魔法系超補正、神秘の加護
魔法 全光魔法使用可能、精霊魔法
魔法適性 光、精霊(特殊)
称号 妖精女王、聖妖精、精霊を操る者、精霊の友人、悪を祓う者
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魔法系ステータスが異常だ!!そりゃ1週間で溜められるわ。てか逆に何で1週間も使う必要があるんだ・・・ん?そういえば、そこにいる妖精達も、自力でゲート開いたんだよな?てことは・・・
やっぱり!あの妖精達の平均MPが約30000000だったよ!4匹居たから、1匹当たり、約25000000使ったってことか・・・
二シャスのスキルとかで気になったものも鑑定してみよう。
妖精の加護
説明:魔法使用時、攻撃魔法であれば威力を、防御魔法であれば頑強さを、補助魔法であれば補助効果を、それぞれ2倍にする。
神秘の加護
説明:魔法使用時、追加効果が格段に出やすくなる。
フェアリー・ライフ
説明:パッシブスキルで、寿命以外で死んだ時、自身の司る物質がこの世界に存在していれば、時間が経てば、何度でも蘇ることが出来る。
精霊魔法
説明:精霊と契約して使える魔法。妖精と精霊は似たもの同士であり、妖精族は生まれつき使うことが出来る。魔法効果は、契約した精霊に依存する。
効果が色々やべぇ!全部めっちゃ有用やん!精霊魔法とか俺も使ってみたい・・・
「あの・・・そろそろよろしいですか?」
「ハッ!?あ、悪い。ついつい見入ってしまった・・・」
「クス・・・そんなに面白かったですか?」
「いや・・・面白かったって言うより、凄いな〜って思ったんだよ。」
「そうですか?ありがとうございます。さて、それではそろそろ始めましょうか?」
「あぁ、それもそうだな。そろそろやろう。」
「分かりました。それでは、まずはこの地面に魔力を流してください。」
ちょっと待て、そこからやり方がわからんぞ!?アイ、やり方教えてくれ!
A:教えてくれと言われましても・・・そうですね・・・マスターが魔法を使う時みたいに、魔力を地面に集めるようなイメージです。
う、うーん・・・良くわからんがやってみるか・・・
「こ、こんな感じか?」
「はい、そんな感じです。そのまま出来る限り流してください。」
「分かった。」
そうして数十秒後、俺のMPが50000000程削れたところで、魔法陣が青く光り始めた。
「な、何だ!?何が起こった!?」
「心配いりません。これは、MPが半分ほど溜まったという事です。ゲートを無理矢理開くことが出来た貴方の事ですから、少なくとも7割方までは注ぎ込めるでしょう?」
そんなことを言っているうちに、魔法陣が、今度は赤く光りだした。2度目だから、流石に驚かない。
「これは?」
「4分の3が溜まった証拠です。ちなみに、9割溜まると、白く光ります。」
「なるほど、白くなったら交代してくれ。」
そう言うと、二シャスは少し驚いた顔をした。が、すぐに顔を元に戻した。
「分かりました。それではそろそろ、ですかね?」
二シャスがそう言うと同時、魔法陣が白く光り始めた。
「だな。交代だ。」
俺は二シャスにパスした。そうすると、数秒も絶たぬうちに、魔法陣の光が強くなった。
「さぁ、これで溜まりました。ゲートを開くので、そちらの娘も魔法陣に入ってください。この中にいる者がゲートを通るので、私は出ますね。」
そう言って、二シャスと入れ替わりにニノが入ってきた。
「それじゃあ、頼む。」
「はい。それでは、さようなら。・・・もしかしたら、また会うことになるかも知れませんね・・・」
最後の言葉に、少し疑問を抱えながら、俺達は光に吸い込まれた。あの妖精達は、最後まで不機嫌そうな顔をしていたのが印象に残った。
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目を開けるとそこは、さっきまで俺達が居た所ではなく、野宿をしようとしていた山の中だった。
「帰って来れたんだな・・・」
「そうみたいですね。とにかく、早めに離れましょう。もしかしたら、また吸い込まれるかも知れませんから。」
俺のMPは大分無くなったから、そんなことは無いと思うが、万が一ってのもある。二ノの言うことは最もだ。
「それもそうだな。戻って寝よう。」
「はいっ!」
元気の良い二ノの返事を最後に、俺達は戻り、明日に備えて眠った。
妖精界、また行くことがあるかも知れませんね。今度はどんな理由で行くのやら・・・そもそも行くかどうかも分かりませんけどね。




