表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/158

第29話 天罰

旅が始まったはずなのに、進みません。まぁ、これだけは先にやっておきたかったんです。どうか許してください。

さて、王都も出たことだし、次の村に向かうか!・・・とその前に、マップを作ってみようと思う。


「スキル創造『マップ』」


【スキル『マップ』を創ることに成功しました。】


マップってスキルはやっぱり無いんだな。さて、それじゃ使ってみますかね。『マップ』。


すると、俺の頭の中に、この辺り一帯と思われる地形が浮かび上がってきた。おぉ、ちゃんと村の位置や、山や川の場所、名称まで、様々な情報が書いてある。これは便利だな。


「ご主人様、また何か創られたんですか?」


「ん?ああ、この辺りの地形が分かるようになるスキルをな。」


「凄いです。そんなものがあったら道に迷いませんね!私ちょっと方向音痴なので、ご主人様にくっついてますね♪」


このは、事あるごとに俺にくっついて来る。どれだけ俺の傍に居たいんだ・・・まぁ、多少歩きにくいけど、別に嫌じゃないから良いけどさ。


そんな感じに歩いていると、進行方向の向こう側から、なにやら近づいて来る影があった。


「あれは馬車ですね。商人でしょうか?」


「商人って、あぁいう馬車に乗ってるもんなのか?」


俺がそんなことを言った理由は、俺の想像しているような馬車とは、かなりかけ離れていたからだ。荷台は普通にあるし、御者もいる。ただ、異常な程に豪華なのだ。まるでどこかの貴族が見せびらかすかのように、馬車の馬、荷台、御者台に、色鮮やかに装飾がしてある。


「商人ではなく貴族でしょうか?貴族や大商人の馬車は、自分の権力を誇示する為に、わざわざ豪華な装飾を施すらしいです。」


「そうなのか。二ノは物知りだな。」


「ふぇ・・・そんなこと無いですよぉ・・・」


A:・・・マスター、たまには私にも訊いてくださいね?


分かってるよ、アイ。お前は俺の事情が分かってるだろ?お前にしか相談出来ないことだってあるんだからさ。


A:はい・・・かしこまりました。


んで、何か知らんがその馬車は、俺達の近くで止まった。一体何だってんだ?


「突然失礼致します。実は、荷台にいらっしゃる旦那様が、どうしても止めてくれと仰られたので、こうして足を止めさせて頂きました。」


どうやら貴族だったらしい。しかし誰だ?俺に貴族の知り合いなんて居ないはずなんだが・・・


「おぉ、やっぱりお前は二ノか!」


と言いながら荷台からおりてきたのは、控えめに言っても太ったおっさんだった。まぁ、何となく予想をしていなくも無かったが。それにしてもこのおっさん、二ノのことを知ってるのか?


「二ノ、知り合いか?」


そう言って二ノの方を見ると、二ノがとてつもなく怯えた目で、おっさんを見ていた。俺の服をつまみながら。


「どうした?二ノ。」


「・・・です。」


「何だって?」


「この人は・・・私の前回の主人なんですっ!」


・・・は?前回の、ってことはまさか、二ノにあんな酷いことをしたやつ?


「おぉ、やはり私のことも覚えていたのか。それにしても、何故お前の忌々しい耳と腕が元に戻っているんだ?」


間違いない、こいつだ。


「まぁいい、とりあえずそこの君。」


「・・・俺のことか?」


敬語なんざ使わない。こんなやつに払う敬意なんて、一欠片も存在しねぇ。


「そうだ、君のことだ。君がそこの奴隷・・の怪我を治したのかね?」


「・・・だとしたら?」


「素晴らしい!もしもそのような事が出来るのなら、是非ともうちで雇いたい!君が居れば、使用人がどれだけ傷付こうが、私の奴隷をどれだけ欠損させようが、君の力で、私の散財は大幅に軽減される。それに、ほかの貴族共への自慢にもなる。まぁそれは置いておこう。君、うちで働かないかね?君の奴隷は・・・君の雇い主である、私に所有権が渡ってくるがね。」


・・・こいつ、自己利益の為だけにやろうとしてんのか。熟々(つくづく)ゴミだな。ちょうどいい。こいつへの制裁は、いつかまたここに戻った時でもいいと思っていたが・・・ここでやっておこう。


「つまりあんたは、自分の為だけに俺を雇い、使用人をこき使い、奴隷に酷い扱いをするってことか。」


「酷い扱い?奴隷とはそういう風に扱うものだろう!まぁ、扱い方は人それぞれだが、私は獣人を酷く嫌っているのだよ。だから獣人を見るとね、獣人の象徴である、耳や尻尾を切り落としたくて仕方が無いのだよ。」


・・・潰す。俺はそこまで正義感があるやつじゃないが、何故か、今は心の奥底から、どす黒くて冷たい怒りが溢れてくる。きっと大切なものが傷付けられていたからだろう。今はとにかく、こいつを潰したい。


「そうか。あんたが獣人を嫌って、その本能に従ってやっているのなら、俺も今の本能に従って・・・てめぇを潰す。」


押し込めていた殺気が溢れ出る。ニノが俺を掴んだまま、びくりとしたのが分かる。目の前にいる2人は、見るからに顔を青ざめていた。


「な、何を言っているのかね!?私は君を雇いたいと言っただけだろう!?何故そんなに殺気を出しているんだ!」


「てめぇを潰す理由?そんなもん、このを傷付けたからに決まってんだろうが!」


叫ぶと同時、さらに濃密な殺気が出る。これほどにキレたのは久しぶりだ。前は確か、妹が電車の中で痴漢されていた時だったか・・・まぁ、そんな話は今はどうでもいいな。


「ひぃっ!お、落ち着きたまえ!き、君も奴隷として買ったのだろう!?もし仮に助けるためなのだとしたら、もう既に解放しているはずだ!だが君は解放していない。つまり君も、私と同じことをしようと・・・」


「黙れ。俺はこのを、そんな風に扱おうとなんて思っていない。貴様と同じにするな。」


「だ、だが・・・」


「とにかく貴様には相応の罰を与える。覚悟しろ。」


・・・と、その前にやらなきゃいけないことがあるな。


「あぁ、そうだ二ノ。ここから先は見てはいけない。しばらく夢の世界に行っていなさい。『睡眠スリープ』。」


それから・・・スキル創造『無限地獄インフィニティ・ヘル


【スキル『無限地獄インフィニティ・ヘル』を創ることに成功しました。】


さて、これで後はゆっくり、この貴族ゴミを片付けるだけだな・・・さぁ、天罰を下そう。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「・・・二ノ、起きなさい。」


「ふみゃ・・・あ、ご主人様・・・」


「ごめんな、急に眠らせたりなんかして。」


「い、いえ・・・それより、あの人は?」


「あのお前を虐めてたやつは、俺がしっかりと『お話』をしておいた。もう二度と、自分の奴隷にあんなことはしないはずだ。」


「そ、そうなんですか。他にも被害者が居なくなってくれるのは嬉しいです。」


「お前は本当に優しいな。そういう所は好きだぞ。」


「ふぇ!?あ、あぅ・・・嬉しいです・・・」


今の「嬉しい」は、さっきの「嬉しい」とは違うものだろう。流石の俺でも、それは察する。まぁ、とりあえず、二ノを虐めてたやつに会ったという、嬉しくも嫌な誤算はあったものの、これで本当に旅に出られそうだな。


「さぁ、行こうか二ノ。これからが本当の旅の始まりだ。」


「はい!・・・ありがとうございます、ご主人様。」


ニノの感謝の言葉を聞いて、俺達は歩き始めた。

え?主人公は何をしたか?それは皆さんのご想像にお任せします。皆さんのご想像を助ける為、『無限地獄』の効果を教えますね。効果は、「これを発動している間、相手はどれほどの攻撃を受けても、死ぬことは無くなる」です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ