Y2 勇者達の現状
ここで一旦勇者サイドです。本編かと思いましたか?残念、勇者サイドでした。ここでワンクッション置きたかったんですよ。とまぁ、短いですが、とりあえず投稿しておきます。
ーーーside 桐翳葵
神凪君が逃げてから1週間が経ちました。国王様は必死で王都内を探しているようですが、中々見つからないようです。王都はかなり広く、端から端まで行くのだけでも、約1日かかるくらいらしいです。それほどまでに広いのです。もしかしたら、誰かに匿って貰っているかもしれません。だとしたら、やはり重要なのは聞き込みです。私達も、時々街に出て、情報を集めたりしています。
「国王様、何か神凪君の情報は得られましたか?」
「すまぬな。兵達にも探させておるのじゃが中々・・・」
「そうですか・・・ちなみに兵士さん達には、どんな風に探させているんですか?」
「それはじゃな、街の人々に、カンナギ殿を見つけたら、余・・・つまり国王が探しておると伝えてくれるように言わせておる。」
そのせいではないでしょうか?国王様が呼んでいる、だけでは、明らかに未だに口封じをしようとしていると取られてもおかしくないのではないでしょうか?と、国王様にその旨を伝えると、
「はっ!?そ、そうか。余はカンナギ殿を口封じしようとしていたのに、なんの誤解も解かずにただ「来い」と言うだけでは、むしろ警戒させてしまうだけではないか!こんなことにも気づけなかったとは・・・余もまだまだであるな。」
と言っていました。まぁでも、今更謝りたいから来てくれ、と言っても、疑ってそう簡単に信じてくれるわけもないのですが。しかし、なんの誤解も解こうとせずに、ずっと「来い」と言うよりは、「国王様が謝りたいから来てくれ」の方が、少しくらいは信じてもらえる可能性は高そうですしね。
「余は今すぐ兵達に訂正をかけてくる。心苦しいが、お主達は訓練に戻ってくれ。」
「はい、分かりました。こちらにばかり時間を割いて、魔王討伐の協力を蔑ろにするわけにもいきませんからね。それでは、失礼します。」
そうです。神凪君のことはとても・・・とっても心配ですが、魔王討伐に協力すると言った以上、その約束を反故にするわけにはいきません。
「うむ、頑張ってくれ。」
国王様のその言葉を背に、私は訓練所へ足を進めました。
ーーー訓練所
「あ、葵ちゃん!どうだった?神凪君の情報、あった?」
そう声をかけてきたのは、私の親友の綾小路凛花。凛花は、はっきり言って巨乳です。私より身長が低いくせに私より巨乳です。妬ましい。ちなみに、私の身長は165、凛花は158です。・・・うん。女子としては平均的な身長ですね。
「駄目です。何の情報もありませんでした。神凪君・・・無事でしょうか」
「そっか・・・もしかしたら神凪君、もう王都を出ちゃったんじゃ?」
「それはありえないと思います。黒目黒髪なんて珍しい人、門を通ったのなら門番の誰かが覚えているはず。あの日は誰も席を外していなかったようですから、まず無いと思います。」
「でも・・・脱走だったら?神凪君のスキル、何も見えなかった。もしかしたら、脱走に役立つようなスキルもあったかもしれないよ?」
確かにそうです。だから、まだこの王都にいるとは決めつけられません。ですが、この王都から出るためには、高さ数十mはある街の防護壁を超える必要があります。そんなのに登っていたら、さすがに誰かに気付かれるはずです。神凪君ならそれくらい警戒してやらない可能性が高いです。
「うーん、そっかぁ・・・そうだよね。」
「?私何も言ってませんよ?」
「何言ってんの。今の推理、だだ漏れだったよ?」
何ということでしょう。心の声が漏れていたようです。でも説明する手間が省けました。
「まぁ、今は考えてても仕方ないよね。さぁ、訓練しよ!」
「えぇ、そうですね。今はまだ、分からないことが多すぎます。少し発散させましょう。」
ちなみに凛花も神凪君のことが好きです。凛花はバレてないと思っているようですがバレバレです。私の恋心は凛花には言ってませんが、言ったらさぞや動揺することでしょう。私達は親友であると同時に恋敵なのです。・・・まぁ、神凪君のことが好きな女子は結構いるんですが。
私達のクラスは40人で、男子15人、女子25人となっています。女子の好きな人は、大まかに分けて2人です。1人はまぁ、言うまでもなく聖くんなのですが、2人目は神凪君です。神凪君は普通に格好良いし、それにかなり優しくて気が利いてる良い人です。少しオタクな様ですが、それもまたギャップがあって、そういうところも人気の一つだったりします。女子25人中、聖くん派が9人、神凪君派(私と凛花含む)が11人、残りの5人は彼氏持ちです。・・・まぁそれでも神凪君に今にも靡きそうな人もいるんですけどね。渡しませんけど。神凪君は私のものです。
それはそうと、今は訓練に集中するべきですね。いつか神凪君が戻ってきた時、女子による、神凪君争奪戦争に負けないよう、もっと強くならなければ・・・え?魔王ですか?魔王はついでです。
まさかのついで呼ばわりされる魔王様w魔王様結構強いですからね?ちなみに女の子ですからね?主人公は・・・おっと誰か来たようだ。




