第16話 奴隷商
長くなった・・・これだけ書くのに2時間近くかかった・・・もう頭が痛いです。頭痛薬飲んどこ・・・
ウルガルムの大牙を10本取ってきた俺は、依頼主のおっさんのところに行った。
「おぉ、取ってきてくれたか。」
「えぇ。ちゃんとこの通り。」
「うむ。確かにこれはウルガルムの大牙。そしてちゃんと10本あるな。さて、報酬の金貨を2枚支払おう。」
「あぁ、それから」
「ん?まだ何かあるのかね?依頼していたものはちゃんと揃っているようだが・・・」
「いやいや、ちょっとしたお土産ですよ。」
そう言って俺は、アウルガルムの大牙を取り出した。
「そ、それはまさか・・・アウルガルムの?」
「えぇ、ウルガルムを狩っていたら出てきちゃって・・・ついでに倒して素材剥ぎ取って来ました。」
「君はまだEランクになったばかりと聞いたんだが・・・まさかアウルガルムまで倒せるとは・・・いやはや、心底恐れ入ったよ。君はまだまだ余裕がありそうだ。一体君の実力はどれほどのものなのだろうね?」
「はは・・・さぁ?ご想像におまかせしますよ。」
俺は愛想笑いで回避した。あまり追及されて有名になったら、国王に目を付けられかねん。それだけは避けなければならない。
「それはともかく、まずは依頼を終わらせてしまおうか。はい、報酬の金貨2枚だ。」
「どうも、ありがとうございます。」
「さて、それではそのアウルガルムの大牙なのだが・・・譲ってはくれんかね?」
「そう言うと思ってましたよ。しかし、タダとはいきませんね。ちゃんと何かしらの見返りが無ければ譲れません。」
「お金・・・かい?」
「もちろん、お金でも構いませんよ。お金が多いに越したことはありませんからね。でも・・・そうですね。普通では中々手に入らないものだと嬉しいんですがねぇ?」
「それは例えば、どんなものだい?」
「貴方ほどの金持ちであれば持っていたりするんじゃないですか?そう・・・奴隷商と取り引きする為の、書状なんかを」
なぜ俺が奴隷商の存在を知っているのか?実は依頼が終わってここに帰ってくる時、奴隷を引き連れた商売人らしき人を見かけたんだ。まぁ、なんとなく興味を引かれて尾行したんだが、そこでは常連らしき貴族と、さっきの奴隷商の取り引きが行われてたんだ。その時に貴族側が取り出したのが、俺の言った書状だ。それを確認した奴隷商は、貴族を客と認め、商品(奴隷)を渡したのが事の顛末だ。つまり、あの書状が無いと恐らくは奴隷を買うことは出来ない。あれを手に入れる為には、多分奴隷商に多額の金を払う必要があるのだろう。そうでなければ、高ランカーの冒険者が、奴隷を買ったりしてるだろうしな。奴隷を買うための金は結構かかるだろうが、それでもきっとあの書状の金額ほどじゃない・・・と俺は予想した。うん、確証はない。まぁそれはいいんだ。今大事なのは、この人が本当に書状を持っているか、だ。
「確かに私は金を持っている方だと思うよ?しかし、だからと言って奴隷商と取り引きする為の書状なんて持ってるとは限らないだろう?」
「おや?奴隷商との取り引きの為の書状の存在は疑わないんですね?まるである事が分かってるかのように」
「っ!い、一部の人達は書状の存在を知っているのさ。」
ボロが出ないように上手く躱したな。俺が誰かに聞いて、その人が知らないと言っても、その人が「一部の人達」に含まれていないと言い逃れができる。が、
「では貴方は、その一部の人達に含まれる訳ですね?けど相手は奴隷商です。表舞台に知られてはならない様なことを知られては困るはずです。・・・関係者以外には」
「何が言いたいんだね?」
「要するに、貴方も奴隷商の関係者だということです。関係者ではない一般の人なんかに知られて言い触らされでもしたら、奴隷商もさぞ困るでしょうね。それを防ぐためにも、関係者以外で書状の存在を知った者を口封じするくらい、奴隷商という存在はやりそうですよね?それなのに貴方は無事だ。それは何故か?簡単です。貴方が関係者だからだ。」
「例え関係者でも、言い触らさないとは限らないだろう?」
「いいえ、少しでも国に悪い印象を与えたくないのなら、言い触らしはしないはずです。人族を奴隷にするのは、この国では違法行為のはず。奴隷商の主な取り引きは獣人とされていますが、さらに深いところの取り引きでは、人族の奴隷でさえ、売られているはずです。それを知られれば・・・関係者だって国に目を付けられるのでは?」
書状の存在がバレ、例えば冒険者が奴隷を買うために書状を渡せと、奴隷商に脅しをかけに行ったとしよう。しかし奴隷商も犯罪をしているのだから、そう簡単に渡すわけにはいかない。そこで冒険者が暴れ、奴隷のいる建物が破壊されたとして、そこからもしも人族の奴隷が見つかればどうなるか・・・冒険者はきっと、「これ以上奴隷商に関わって、この存在がバレたら自分は犯罪者にされるのでは」と思うだろう。そうすればきっと、関わり切ってない内に国へ報告をするのではないだろうか。これは結構極端だが、それでも似たようなことが有り得ないとも言えない。裏で生きる人達は、ずる賢く頭が回る。それくらいのことを考えて行動するはずだ。だからこそ、書状の存在がバレるわけにはいかないのだ。
「・・・君は、奴隷を買うつもりかい?」
「まぁ、人族の奴隷を買う気はありませんけどね。」
「じゃあ獣人を買うのかい?物好きだねぇ。」
「旅の仲間が欲しいだけですよ。」
「・・・さすがに書状を渡すわけにはいかない。けど、奴隷商への紹介状を書く事は出来る。君も裏の世界に足を突っ込むことになる。それでもいいのかい?」
「誰かが書状のことや、奴隷商の秘密なんかを言い触らさなければ大丈夫でしょう。それに、別に獣人の奴隷を買うのは違法では無いのでしょう?一部の冒険者は買ってたりするみたいですしね」
「ははっ!中々強かだね。そう簡単に割り切れるものでも無いのだけどね。まぁいいさ。君みたいに頭のキレる人ならそうそう秘密を漏らすような馬鹿な真似もしないだろう。それじゃあ、紹介状を書いてこよう。アウルガルムの大牙と交換で良いんだよね?」
「えぇ。構いませんよ。取ってこようと思えば、また取ってこれますしね」
「それもそうだね。本当、強いものは羨ましいよ。」
そう言って、おっさんは出ていった。
ん?何で人族の奴隷まで売買されているのが分かったか?そんなもん全部アイのお陰だよ。アイ様々だよ。アイ最高、マジ天使。
A:そんなに褒めないでください・・・
ま、それはそうと俺が奴隷を欲しがる理由が知りたい?さっき言ったじゃん。旅の仲間が欲しいって。後俺、料理が壊滅的なんだよ。だから旅の途中料理が作れるような奴隷が欲しいなぁって。だって旅の間ずっと調理もしないままの食べ物だけとか嫌だろ?果物や野菜だって生でずっと食べてたら飽きるし、肉とかだって生のまま食べたらお腹壊すし。てなわけで料理が出来て、話し相手にもなる奴隷を買ったら一石二鳥じゃん。さらに買うのは獣人だから、あわよくばモフれる。俺昔から動物モフるの好きなんだよ。特に猫。後、モフったこと無いけど狐もモフりたい。絶対手に入れる。そして絶対モフる。
なんて考えてたら、おっさんが戻ってきたみたいだ。
「待たせたね。これが紹介状だ。」
「どうも。それじゃあ、アウルガルムの大牙をお渡ししますよ。」
「ありがとう。これは中々使えるんだ。金貨1枚と銀貨50枚が相場だが、武器を作るのに使う時はとても価値が高いんだ。鍛冶屋なんかに売ると、かなり欲しがってる人だと、金貨10枚くらい出してくれたりするよ」
そうなのか。今度手に入れたら鍛冶屋に売ろう。
「そうなんですね。それでは、そろそろ俺はお暇させてもらいますよ。」
「えぇ、私も良いものが手に入った。君はこれから奴隷商のところに行くんだろう?私の紹介状だ。気に入られればきっとタダで書状を貰えると思うよ。」
「そうですか。それはありがたいですね。それでは失礼しますね。」
「あぁ、また依頼を頼むかもしれないが、その時はよろしく頼むよ」
その頃に俺がまだ王都に居れば・・・だな。さて、奴隷商のところに行きますかね。
ーーー奴隷商売所
「ここか・・・すいません、 紹介状を貰ったんですが誰か居ませんか?」
「紹介状?一体誰のかね?」
「えっと・・・あ、そういえばあのおっさんの名前聞いてなかったな」
「・・・まぁ紹介状を見せてもらえばわかる。見せてみろ」
「あ、はい。これですね。」
「ふむ・・・確かにこれは紹介状だ。書いたのは・・・ほう、ジオードさんからか。」
あのおっさんジオードって名前なのか。
「分かった。あの人が紹介状を渡すということは、余程凄いのだろう。まずは君に書状を渡そう。あの人の事だ。きっと教えているだろうが一応言っておく。この書状のことは他言無用だ。そして絶対に失くさぬように。そして、取り引きの際はこの書状を持ってきて、商人に見せること。分かったな?」
「えぇ。分かっていますとも。」
「なら良い。これが貴殿の書状だ。名前を書いて貰えるか?それとも、代筆が必要か?」
そこはヘルプでどうにかなるのさ。
「いえ、問題ありません。ここに書けばいいんですね。」
「リーク殿だな。それではリーク殿。まずはどのような奴隷を希望する?」
「料理の出来る獣人はいるか?出来れば女が良い。」
敬語?めんどくさくなった。ていうかこういう所で敬語使ってたらナメられそうじゃね?ちなみに女なのは仕方ないよな?だって男の獣人にモフるとか・・・ないわ~。
「ふむ、それなら幾つか候補がある。ついて来てくれ。」
「了解」
連れて行かれたのは、幾つも檻が並んだ所だった。後とてつもない臭いだ。鼻が曲がりそう。きっと排泄物なんかもそのまま垂れ流しなんだろう。可哀想に・・・
「まず1人目はこれだ。犬の獣人だが、かなり気性が荒い。料理が出来なくはないがそこまで上手くはない・・・といった感じだな。」
「なるほどな。」
1人目は・・・うん、めっちゃ睨んでくる。結構可愛い顔立ちしてるのに目つきの悪さで台無しになっている。きっと奴隷にしても命令しない限り言うこと聞かなさそう・・・
「これが2人目だ。猫の獣人で、かなり大人しい。料理は上手いらしいが、前回の主人のところで左腕を切られたそうだ。耳もちぎられたらしい。右腕しかないから、料理は絶望的かもしれないな。」
「そうか・・・」
2人目は、はっきり言って酷すぎる。左腕の肘から先が無く、耳があったであろう場所も、赤に染まっている。辛うじて髪がくすんだ金色のところが見えるが、ほとんどが血で染まって赤黒くなっている。そしてめちゃくちゃ怯えた目で俺を見ている。見ているこっちまで辛さが伝わってくる。
「そして最後は、リザードマンだ。戦闘が得意で、その上料理まで出来るらしい。だが、食費が馬鹿にならず、飼うのを断念した主人も多いと聞く。」
「リザードマンとかいるんだな。」
3人目は、特にそこまで傷ついておらず、強いて言うなら、少し痩せているくらいだろうか?体の所々に鱗があるが、かなりの美人だ。しかし俺は金がない。食費がなぁ・・・
「とまぁ、この3人が候補なのだが、リーク殿のお気に召すものはいたか?」
「リザードマンの女はどれくらいするんだ?」
「食費を気にしなければかなり優良な奴隷だからな。金貨5枚はくだらない。」
「その時点で所持金が足りないな。」
「そうか・・・ではどうする?1人目にするか?あれは金貨2枚だぞ?」
「2人目は?」
「もはや誰も買いたがる者が居なくてな。せいぜいが性奴隷扱いにしかならないだろう。ほぼ捨て値同然になるが、それでも銀貨10枚だ。」
・・・まぁ、1人目を買うのが妥当なんだろうが・・・
「決めた。俺が買うのはーーー」
さて、主人公は誰を選ぶんでしょうか?続きは次回!お楽しみに!