第137話 気持ちの悪い力
また遅くなって申し訳ないですm(*_ _)m
一応頑張ってはいるので、どうか見捨てないでください((
前回のあらすじ
獣王「人族ぶっ殺す!」
ミル「やめて!」
レーヴァテイン「バキィィン!」
主人公「『イージス』!『疾風迅雷』!」
「ぐ、ぬぉ・・・まだ・・・ワシは・・・」
百発叩き込んだけど、そこまでのダメージにもなってないのか、割と余力があるようで、獣王はまだ立ち上がろうとする。
「もう勝負は着いたでしょうよ。いい加減諦め・・・」
「黙れぇい!人族に・・・人族にだけは、ワシは負けられんのだァァァァ!!」
まだ、立とうとするのか。
・・・面倒だな。このまま放置すれば、いずれこのしつこさが脅威になるかもしれないな。脅威とはならないまでも、厄介なことに変わりはないな。ここで始末しておくか。
A:ま、マスター?何を・・・
「・・・悪く思うなよ。」
俺は迅雷を仕舞い、右手を掲げた。次の瞬間、空間が割れて、ひと振りの禍々しいオーラを放つ剣が顕現れた。
魔神剣・凶禍衰齧
品質:幻想級
攻撃力:???
耐久力:INFINITY
特殊性質:其ハ純粋ナ破壊ノ力
使用制限:『魔神』の称号を持つ者
説明:魔神ガ使イシ剣。其ノ力ヲ以テ全テヲ破壊スル。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この剣の禍々しさの前に、周囲の人間共が一瞬にして怯えの表情をする。が、すぐに正気に戻り、俺を止めようとする者が数人近寄ってくる。だが、もう遅い。
俺は凶禍衰齧を振り翳し、獣王目掛けて一気に振り下ろしたーーー
「待って欲しいのです、リーク様っ!」
「ッ!」
俺は、獣王に振り下ろしかけた手を、駆け寄って来たミルに剣が当たるギリギリで止めた。
「はぁ、はぁ・・・ま、待って欲しいのです・・・リーク様、お願いなのです!確かにお父様がいきなり襲い掛かってしまったのは駄目だと思いますです・・・ですが、どうかお父様の命までは取らないで欲しいのです!お願いなのですぅ・・・」
ミルは、精一杯俺に頭を下げて懇願してきた。
ーーーなんだ?今、何が起きた?さっきの俺は、何をしようとした?獣王を殺そうと・・・?別に殺す理由なんて無いのに?・・・どういう事だ?今のは一体何だっていうんだ・・・?
ともかく、別に俺は獣王を殺したい訳じゃないし、ミルの誤解を解いておこう。
「大丈夫だ、心配するな。別に命を取ろうとなんてしないからさ。な?」
俺はミルの頭に手を乗せ、少し撫でた。
「はわっ!?は、はにゃ・・・ん、気持ちいいのですぅ・・・」
が、それを黙って見ていないやつが居ることを完全に忘れていた。ついさっきまで、死闘を繰り広げていたというのに。
「貴様ァ!ワシの娘に触るでないわ!!今度こそぶっ殺してやるァ!!」
相変わらずの人族嫌いである。俺は、獣王の攻撃を躱す。何だかんだ、まだ『疾風迅雷』の効果は残してあるから、簡単に避けられる。
「お父様!?もういい加減にして欲しいのです!!これ以上ミルのリーク様に攻撃しないで欲しいのです!」
「何ィ!?お前はいつまでそんな戯言を・・・というかリーガル!貴様何故ちゃんとミルを見ておらんのだ!!」
「ハッ!?も、申し訳ありません父上!父上が吹き飛ばされ、動揺していた隙に・・・」
「というかちょっと待て。いつから俺がミルのものになったんだ?」
「リーク様はミルのものなのですっ!」
等と言いながら、ミルが抱き着いてきた。だが、もちろんそれを見た獣王達(とニノ達)は黙っていない。
「貴様!いつまでミルを洗脳しておるかァァ!!」
「だから洗脳なんてしてな・・・」
「ご主人様に抱き着くなんてズルいですよ!私にも抱き着かせてください!」
駆け寄って来たニノがそんなことを宣う。
「ちょ、お前は空気を読め!」
そして、この場の一同がぎゃあぎゃあと騒ぎ、なんかもうカオスである。
「ぬぇぇい!五月蝿いわ貴様等ァ!」
あまりに騒がしかったのか、獣王がキレた。何だかんだ獣王が1番五月蝿い気もするけど。
で、そんな獣王の一喝で、騒いでた皆は鎮まった。
「ふん!興が削がれたわ!・・・だがまぁ、いくら人族が憎いとはいえ、娘を救ったのも事実。非っ常ぉぉぉに遺憾ではあるが、一応、礼は言っておいてやる。だが!ワシは貴様など絶ッ対に認めんからな!!さっさとミルの洗脳を解けい!!」
「あんたまだそんなこと言ってんのかよ!?いい加減にしてくれ!洗脳なんざしてねぇっつってんだろうが!!」
俺は、獣王の暴論にちょいギレした。
上から目線なのはまぁ、一応一国の王であるのだから許容範囲だ。人族が憎くてまともな礼にすらなってないのも、人族に対して何かがあってのことだろうから、それもまだ許せる。
だが、やってもいない洗脳の疑惑をかけられ続けるのは我慢ならなかった。もう知らん。獣王だろうが何だろうが、もう敬語なんて使ってやらない。
「ならば何故ミルが貴様なんぞを婚約者にするなどと言っておるのだ!洗脳していないならば、有り得ん話であろうが!!」
「んなもん俺が知るか!!何でかなんて、本人に直接聞きやがれ!大体、人族嫌いで人族と分かった瞬間に怒りに我を忘れるのはしょうがないにしても、もっと他の奴の話を聞けよ!あんたは娘の言い分を、自分が気に食わないからと無理やり握り潰してるだけだろうが!子供の言葉に、もっと耳を傾けてやるのが親なんじゃないのか!?」
「ぐ、ぐぬ・・・き、貴様如きがワシに説教なんぞ・・・」
軽くプッツンしてる俺の説教に、いくらか分が悪いと思ったのか、獣王が少し怯んだ。
「そうなのです!お父様、ミルの言い分を聞いて欲しいのですっ!」
「うぐ・・・チッ!人族である貴様の言葉通りにするなんぞ癪ではあるが、確かに一理ある、か。」
どうやら、少し落ち着いて話を聞いてくれそうだ(ミルの)。え?俺も話に参加しないのか?俺が入ったところで、筋金入りの人族嫌いの獣王がまた何かいちゃもん付けるに決まってる。ここは傍観するのが正解だろう。
なお、ミルが獣王を説得している間、ココ達は俺の下に戻ってきた。
「お疲れ様じゃ、リーク。」
「お疲れ様ですぅ。」
「お疲れなのだー!やっぱり心配は無用だったのだー♪」
皆(ニノ以外)が、俺を労ってくれた。ちなみに、ルゼが軽く言ってくれるが、実際にはとんでもなく苦戦してた。実戦経験豊富で、身体の使い方をほぼマスターしている上に、本気で殺しにかかってくる獣王を、つい最近までまともな戦いとは無縁で、身体の使い方もままならず、しかも相手を殺さないように手加減しながら倒すのは、途轍もなくハードルが高かった。もう獣王とは闘いたくないです。
「リークのレーヴァテインが折れた時は本気でヒヤヒヤしたが、どうにかなって良かったのじゃ。」
ココのその一言で、俺は忘れかけてた折れた相棒のことを思い出した。
「あっ、そうだレーヴァテイン!・・・やっぱり完全に折れてる。これ、直せるの・・・か?」
「大丈夫・・・とは言えんかもしれんな。普通の武器であればともかく、それは魔剣じゃ。折れた魔法武器を直せるほどの鍛冶師など、そうそうおらんじゃろうしな・・・」
「・・・そっか。」
残念だが、諦めはしない。そうそう居ないってだけで、誰にも出来ないわけじゃ無いだろう。何処かで探してみる必要があるな・・・
「・・・っと、そう言えば魔剣で思い出したけど、さっき俺が持ってた剣は何処に行ったんだ?」
そうだ。魔神剣とかいう、謎の剣。あの禍々しいオーラは普通じゃないだろうし、そもそも俺はあんな物を造った覚えもない。つまり、あれが何なのか、俺にも全く分からないのだ。
「そう言えばぁ、どこに行ったんでしょうねぇ?確か、ミルさんがリークさんを庇った時にはぁ、もう持ってなかったはずですよぉ?」
「んー・・・でも、あれは使わない方が良いと思うのだー。あんなにも気持ちの悪い力、ルゼは嫌なのだー・・・」
「それに、先程の魔剣と言えば、あれが出てくる前、リークの雰囲気が別人のように変わってしもうたじゃろ?あれは一体何じゃったんじゃ?」
「・・・分からない。けど、あの時の俺は、俺じゃないような気がした。」
そんな会話をしつつ、あの時の俺と魔剣について考えるが、一向に答えは見つからない。手掛かりもないし、心当たりもない。
ーーーいや、1つだけある。けど、これは誰にも言ってないし、言うつもりもない。だから、もう考えるのはやめておこう。
「・・・まぁ、今考えてもしょうがないか。それよりも、獣王に人族ってバレたし、どうなるかの方が重要な気がする。」
そんなことを言っていると、いつの間に居たのか、ニノが会話に参加してきた。
「大丈夫ですよ、ご主人様。・・・いくら獣王様であろうと、ご主人様に危害を加えようとしたらその時は・・・ふふ♪」
ニノは、いつもより1オクターブ程低い声でそんなことを言い出した。やめさせねば獣王が危ない。
「やめろよ?たとえ獣王が俺にまた何かしようとしてきても、俺は自分で対処するから、絶対に何もするなよ?」
「で、でも・・・」
「でもじゃない。俺のステータスを分け与えた状態でお前が本気で獣王に襲い掛かったら獣王死ぬからね?そんなことしたら怒るからな?」
「・・・はい。」
取り敢えず分かってくれたみたいでなにより。俺はニノの頭を撫でた。
「よしよし、偉いな。」
「ふにゃ!?あ、ひゃい・・・」
頭を撫でただけで、完全に骨抜きである。取り敢えず、獣王の説得が終わるまで、雑談でもして待っておこう。
あんまり長くないですけど、勘弁してください(´;ω;`)
次はいつ投稿出来るやら(遠い目)