第127話 マッドファーザー
・・・あれ、書くことがない・・・だと?特に面白い話題が見つからない!?こ、これはどうすれば・・・あ、そうだいっそのことネタバレでも((グシャッ
娘を蘇らせるーーーやはり、予想通りだった。だが、それは本当に可能なのだろうか・・・
「娘を蘇らせる・・・だと?」
「あぁそうだ・・・28年前に死んだ、私の娘をな・・・」
28年前・・・相当前だな。本当にこの男何歳だ?って、それはどうでもいいか。
「そんな事が出来るってのか?死者蘇生なんて、そんなこと・・・出来る訳がないだろ。」
最後、俺の声は自然と低くなった。それは、奴の死者蘇生という有り得ないことをする為だけに殺された少女達を思って、では無かった。
・・・ただ単に、舞のことを思った。俺でさえ創れなかった死者蘇生、それを成し遂げることが出来るのなら?舞は今頃、俺達と一緒に居るのかもしれない。死者蘇生が出来たのなら、俺があれほど苦悩することも、絶望することも無かったかもしれない。そんなことを思った。
要するに、認められない・・・いや、認めたくなかった。だから、あんな声が出たのだろう。半分八つ当たりみたいなものだ。
「いいや、出来る!私がこの28年間、様々な研究を進め、ようやく実行するプロセス、そして機械を作り上げたのだ。私の『魂魄回帰理論』に間違いは無い!」
男は、自信満々にそう言う。28年もの間、ずっとその娘の為に研究を重ね、ようやく辿り着いたのだろう。もし本当に生き返らせられるのなら、それは正しいのかもしれない。だがーーー
「何故、少女達を殺した?それも、身体の一部を切断して!」
そうだ。そこが腑に落ちない。ただ死者蘇生を敢行すると言うのなら、少女達の犠牲は無くて良かったはずだ。自分を守る為に機械兵にするというのは、効果としては高いかもしれない。だが、それをする意味が分からない。だって、生き返らせるのに、他の人が必要だとは思えないからだ。
「お前達に教えてやる義理など無い・・・ヒヒ・・・そこで見ていれば良いさ、王女様がそこの少女達と同じようになるところをなぁ・・・」
「このっ・・・」
まともに答える気は無いようで、機械兵を盾に、王女様のところへと近付いていく。
「ひぃ!やなのですっ!ミルが何をしたというのです!?助けてくださいなのですぅぅ!!」
「っ・・・」
一瞬でやつより先に辿り着くことは出来るが、どうにも王女様を拘束している道具が邪魔だ。それを壊す前に機械兵が来たら、壊せない俺にとってやりにくいったらありゃしない。だが、このままじゃ王女様が危ない・・・ええい、こうなったら!
「待てよ!別に殺した理由くらい教えたって減るもんなんか無いだろ!」
「うるさい!時間が減るだろう!私は一刻も早く娘に会いたいのだ!」
まぁ確かに時間は減るけども。
「じゃあせめて、その死者蘇生の仕組みを教えろよ。」
それを聞いた皆は、信じられないといった雰囲気を出しながら俺を見る。まぁ、傍から見れば、俺が同じことをすると疑うようなこと言ってるしな。
「何度も言わせるな!お前達に構っている暇などないのだ!そもそも、そんな簡単に仕組みを教えると思うか?私が長い間1人で研究した成果を、簡単に他人に教える訳が無いだろう!1人の研究者としてのプライドが許さん!」
そういうプライドは持ってるのか・・・いやまぁ、そんなことは良いんだけどさ。
「へぇ?それはつまり、自分の研究に自信が無いと?」
「・・・なんだと?」
「だってそうだろう?言えないってことは、自分のやったことに自信がない証拠じゃないか。」
俺がやったのは、皆ご存知挑発だ。めちゃくちゃ子供じみた理論で挑発して、仕組みを聞き出そうという魂胆。まぁ、成功するなんて思ってないけど。本当の目的は別のところにある。
〈ルゼ、どうにかして王女様の拘束具だけを食べて壊せないか?〉
〈んー・・・出来なくは無いけど、ルゼは細かいことは苦手なのだー!最悪手足まで食べちゃうかもしれないけど、良いのかー?〉
〈良くない!どうにか頑張ってコントロールしてくれ!〉
〈んー・・・じゃあ後でいっぱい遊んでもらうのだー!それならちょっと頑張れるのだー!〉
〈分かった!じゃあ頼んだぞ!〉
〈了解なのだー♪〉
〈そういうことじゃったのか・・・〉
〈そういうことだ。〉
どういうことか?要は、俺が奴の気を引いてる間に、ルゼに王女様の拘束具を食べてもらう。んで、王女様が解放されたら、俺が転移でこっち側まで連れてくる。男をどうするかは、まだ決めてないけど、機械兵達をどうにかしなきゃいけないから、簡単に殺すことも出来ないからなぁ・・・
「・・・良いだろう。そこまで言うのなら教えてやる。」
「マジで?」
色々挑発して気を引いてるうちに、どうやら業を煮やしたようで、仕組みを教えてくれるみたいだ。てか、挑発しただけで教えるってどんだけだよ。プライドは何処に消えた。それとも、プライドより自分の研究成果を認めさせることの方が重要なのだろうか。
「どの道、私の研究を真似できるとは思わないからな・・・」
まぁ、そりゃそうだろうな。俺研究者じゃないし。何となく気になっただけだもんよ。
「んで?その仕組みってのは何なんだよ?」
「娘の転生先の身体から魂を取り出し、娘の身体に戻す。それだけだ。」
「・・・は?」
言ってる意味がよく分からない。いや、分かるのはわかるんだが、俺の思ってた死者蘇生とは違ったから、つい思考停止してしまったのだ。
「私の調べでは、転生するまでの周期は20年だ。つまり、現在は8歳のはずだ。私は8歳の少女達を攫い、その少女の魂を抽出し、娘の身体に注入する。娘の転生先の魂であれば、拒絶反応を起こさず、自然と馴染んでいく。違っていれば、魂を戻すのではなく、機械兵に入れる。元に戻すだけでは、私が娘を蘇らせる前に国に捕まってしまっては元も子もないからな・・・」
つまりなんだ?この惨劇は、その娘の転生先とやらの少女を見つけるまで続くってのか?そもそも、転生周期が20年ってのも、合ってるかどうかも分からない。そんな不確かなものがある中で、少女達の犠牲が無駄になるだけだったら、どうするというのか。
「ふざけるなッ!その理論が確実に合ってるかどうかも分からない!その上、あんたの娘が見つかるまでこの惨劇が終わらないだと!?例え魂を元に戻せるとしても、あんたに植え付けられた恐怖は消えないだろうが!まだ小さい少女達に、貴様はどれだけの恐怖を植え付ければ気が済むッ!とっととこんなことやめちまえ!」
俺の怒りが爆発した。制御出来ない感情は、男を責め立てる。娘の為?それをあんたの娘が望んでいるとでも言うのか。
キレた俺の言葉に、男は俯き、肩を落とした。諦めたか・・・
「・・・れ」
ーーーそう思った俺は甘かった。
「黙れ!黙れ黙れ黙れ黙れ黙れぇッッ!!貴様らに何が分かるッ!大事な愛しい娘を!大切な家族を!妻が娘を産んだ直後に死に、託された私の、世界で最も大切だった娘を!たった1人だけの私の愛しい家族を亡くした悲しみが分かるのか!!いや!貴様らなどに、分かるものかぁッ!」
男は叫び、慟哭した。
う、うぅ・・・はっ!?何かに潰される夢を見たような・・・?気のせいですかね。
ていうか、この犯人、前話の狂気は一体何処にいったんですかね?前話の方がよっぽど題名通りな気がしますw
それにしても、主人公と何処か似たような境遇ですね(ネタバレ)
え?あっ、ちがこれは・・・フベッ!?
0(:3 _ )~