第126話 水晶の中の少女
一応、ちょっとグロ&胸糞悪いところがあるかもしれません。人によって変わるかもですが、一応注意しておきます。
目に飛び込んできた光景ーーーそれは、とにかく白かった。
辺りを見渡してみると、そこはどうやら研究室のようなところ・・・というか、多分モロに研究室だと思う。それも、結構な広さがある。壁は一面白に覆われ、白くない研究道具等がとても目立つ。そんな中、特に一番目立つものがあった。
「これは・・・」
俺は無意識に、言葉を発していた。『無音』の効果でそんな小さな声は掻き消されているのだが。
え?目立つものの正体を教えろ?そんなに急かさなくたって教えてやるってば。
んで、それの正体なんだが、それはーーー
ーーー巨大な蒼い水晶だ。それも、中に全裸の少女の身体が入った。
ちなみに、何の因果かその少女の大事な部分は、光の反射で見えない。だから、俺の後ろから感じる若干の軽蔑の視線など、あってはいけないのだ。
そしてこの水晶、本当に巨大で、高さは4mくらいあり、横幅は大体1.5mくらい、奥行きも、軽く1mはある。また、かなり綺麗な形をしている。縦長の六角形を立体にしたような形だ。ここまで綺麗に形作られてるってことは、多分人工物か、天然の水晶を加工したのだろう。だが、この中の少女は一体・・・?それにどうやって入れられてるのかとか、そんな今はどうでもいいことを考えた。
〈・・・っと、この水晶が何かは気になるけど、今は王女様を助けるのが先だ。確かこの部屋で間違いないはずーーー〉
「ーーー嫌なのですッ!ミルをどうなさるお積もりなのですか!やめて欲しいのですっ!」
水晶に気を取られていた俺は、途中で本題を思い出し、王女様を探そうとした瞬間、そんな声が聞こえた。
〈今の声は・・・っ!?〉
〈今のは、ミル様の声じゃっ!誘拐されておったのはミル様じゃったのか!〉
ココが、声で誘拐された王女様の名前を当てた。何故知ってるのか気になったが、知り合いだったようだ。一応ココの家は獣人国での貴族だったらしいし、会ってても不思議ではない・・・かな?
まぁ、それはいいや。とにかく今は、声のした方に目を向けた。その先には、色のついた液体が入った巨大なフラスコらしきものがあり、その向こうが見えなかったが、一瞬でフラスコのそばに行き、顔だけを覗かせて向こう側を見た。
〈うっ・・・〉
〈こ、これは・・・〉
〈なんと惨いことを・・・〉
〈酷いですねぇ・・・〉
〈趣味が悪いのだー。〉
皆がそれぞれ嫌悪感を顕にその現場の感想を洩らす。そこに広がっていた光景に、俺は言葉を失い、吐き気さえ催した。気分が悪い。何故こんなことを。そんな考えがグルグルと回る。俺達が見てしまった光景。それは・・・
まだ幼さの残る少女達の、全員身体のどこか一部を切断された、大量の死体だった。
ある者は右腕を。ある者は左足を。ある者は腹部を。ある者は耳を。ある者は首を。ある者は目を。ある者は皮膚の一部を・・・
そんな凄惨な光景だった。見るに堪えず、俺はしばらくそこに目を向けることが出来なかった。
〈リーク、大変じゃとは思うが、まだミル様は生きておるんじゃ。どうか今生きておるミル様だけでも、助けてはやれんかのう?〉
ココは、俺を気遣ってくれながらも、どうにか王女様を救って欲しいと願う。もちろん、王女様をあんな光景の一部にする訳にはいかない。
だが、少しだけ時間が欲しい。そう言うと、無言で頷いてくれた。その間、犯人と思しきやつと、王女様の会話を聞く。王女様が危なくなった瞬間、心の整理が出来ていなくても飛び出せるように。
「ーーー君には悪いと思うが、これも娘の為なんだ。大人しくその魂をーーー」
「嫌ですっ!ミルはまだ死にたくないのですっ!怖いです・・・怖いですぅ・・・誰か助けて欲しいのですぅっ!」
何が起ころうとしているのかは分からない。だが、いくつか重要なことが聞こえた。『娘の為』、『魂』と言っていた。それが何を意味するのかは分からない。だが、あまり悠長にしている時間は無さそうだ。
「すぅ・・・はぁ・・・」
まだ完全に落ち着いた訳では無いが、軽く深呼吸をし、早く助けることにした。王女様は大分怖がっている。アイは確か、8歳だと言っていたし、その年齢だと、恐怖が根強く残ってしまうだろう。そう思った俺は、『無音』のスキルをOFFにして、フラスコの影から飛び出した。
「やめろっ!!」
俺は、自分で思っていたよりも大きな声が出た。だが、それのお陰か、犯人はかなりビビったようだった。
「っ!?誰だ、お前は・・・!」
王女様を誘拐した犯人(だと思われる)は、如何にも研究者然とした男だった。丈の長い白衣を着て、眼鏡をかけている。また、年齢は見た感じ大体40~50くらいだと思う。獣人は見た目はあんまりアテにならないようだけど。
「あんたが連れ去った王女様を取り戻しに来た、通りすがりの冒険者だよ!」
通りすがりの冒険者って、確か前にもそんな風に名乗ったことがあった気がする。まぁ、そんなことどうでもいいけど。
「何だと・・・?何故ここだとバレた・・・いやそもそも、どうやってここまで・・・仕掛けを全て突破したというのか・・・」
何やら1人でブツブツと言っているおっさんは放っておいて、俺は皆に王女様を解放するように指示を出す。もちろん念話で。
そして、皆が王女様に近付いた瞬間、犯人の男が気付いた。
「させるかぁっ!」
男がそう叫んだ瞬間、どこからともなく、機械兵らしきものが出てきた。どうやら足止めするつもりみたいだが、それくらいなら皆で壊せる。だから俺は、特に心配しない・・・つもりだったのだが、男の次の台詞で、固まった。
「ヒ・・・ヒヒ・・・その機械兵には、そこの少女達の魂を入れてあるからな・・・そいつを壊せば、少女達の魂も完全に壊れて、永久に生まれ変わることが出来なくなるんだ・・・壊したらお前達のせいで、永遠に地獄で暮らし、生まれ変わることが出来なくなるぞ・・・フヒヒッ・・・」
『なッ・・・』
皆、機械兵を壊そうとした手を止めた。もし今言ったことが本当なら、こいつ、何てことを・・・
「てめ・・・それ本当なのか・・・?」
「当たり前だ!私は・・・私の目的を果たすまで、絶対に捕まる訳にはいかないんだ!私を捕まえたり、誘拐した少女を救おうとする為には、その機械兵を壊すしかないのだ。だが、国が人の魂が入ったものを無理矢理壊せはしないはず・・・これを使えば、私の目的を果たすまで、絶対に捕まりはしない・・・ヒ、ヒヒ・・・ヒヒハハハハ!」
最後に、狂ったように笑いだした。自分の目的を遂げるため、国さえも手を出せないように、少女達の魂を使って兵器を動かすなんて・・・許せねぇ。どうやって少女達の魂を入れたんだとか、気になることはいくらでもあるが、それより先にこいつをぶん殴らないと気が済まない。最悪死ぬかもしれねぇな・・・
「ヒヒッ・・・それから、私が死んだら自動的に自壊するようにしてある・・・彼女達を元に戻すことは出来るが、それが出来るのは私だけだからな・・・彼女達の家族からすれば、元に戻せるのなら、戻したいと思うだろう。それをおそらく国は無視しない。そして、その元への戻し方は私しか知らないのだから、そう簡単に私を殺しはしないはず・・・まぁ、私に拷問するかもしれないが、私は目的を果たす為には、どんな苦痛にも耐えると誓ったのだ!そこまでして口を割らなければ、きっと私を自由にするはず・・・そして私はその後も目的の為に奔走する・・・ヒヒ・・・私は絶対に捕まらないのだ・・・ヒッヒヒヒ・・・」
「・・・お前を野放しにすりゃ、余計に犠牲者が増えるのなら、その前に犠牲の比較的少ない今のうちに国はあんたを殺そうとするんじゃないのか?」
あまりにもなやつの暴論に、俺は逆に冷静さを取り戻し、男にそう問いかけた。だが、やはりその辺も考えていたようで、
「私の目的を達成出来れば、全員を元に戻すと言えばどうなると思う?」
「・・・信じると思うか?」
「ヒッヒヒ・・・それを信じさせるんだよ・・・」
・・・狂ってる。完全に頭がイカれてやがる。というかそもそも、
「あんたの目的って・・・何なんだよ?」
それが気になった。けど、今までの話の流れで何となく読めた気がする。ただ、それが本当に可能なのか、そこがわからないのだが。
「私の目的・・・?それはーーー」
「私の愛しい娘を、蘇らせるのだ!」
なんかもう。うん。色々あかん。そして、私は悪役を上手く書けなさすぎる・・・もっと悪役っぽくするのってどうすればいいんだろう・・・時々復讐系の小説とか読んでたりしますけど、どうやったらあんな性格の悪い悪役がかけるんだろうと、私は悩んでおります( ´・ω・`)
というか、もう5日に1度更新で良いですか?(震え声)だって、最近全然4日に1度が出来てな・・・あ、ちょっと待って下さいほんと無r・・・( 'ω')ギャァァァァァァ