第11話 司祭様
この話でもまだお金が稼げないのかぁぁぁ!話が☆SU☆SU☆MA☆NA☆I☆。\アッー/
さて、金を稼がなきゃいけない。魔物を倒せばお金が出てくるらしいけど、さっき山ごと吹っ飛ばした魔物達のお金は、こっちから取りにいかないと俺の金にならない。・・・俺のステータスぶっ飛んでるしあの山の跡地まで行ってみるか・・・?うん、そうしよう。走れば数分くらいで着くんじゃね?
そう思った俺は、すぐに行動を開始した。
「いざ!ダッシュ!」
ふわっ・・・
「ん?」
ひゅーん
「うわぁぁぁぁ!速すぎるぅぅぅ!ていうか地面蹴った瞬間吹っ飛ぶなんて聞いてねぇぇぇぇ!」
そう、俺は自分脚力を見誤って思い切り地面を蹴ってしまったのだ。馬鹿げたステータスでそんなことをすればどうなるか・・・分かるよな?そう、それが俺の今の状況だ。簡単に言えば、吹っ飛ぶ。
「ぬぉりゃぁぁぁぁぁ!!!」
ズガガガガガガっ!
俺は足を前に出し、急停止を図った。しかし、中々勢いは止まらない。
「ふんぬぅぅぅ!!」
ズガガッガッ・・・ドサッ
「ふぅ、ようやく止まった・・・」
どうにか止まることに成功した俺は、周囲を見渡した。そこはなんと、山の跡地の一歩手前だった。
「は、速ぁぁ!?」
うん、びっくりした。そりゃそうだろう。だって数分かかると思ってた目的地に、ほんの数十秒で着いてしまったのだから。
「幾ら何でも速すぎじゃね・・・まぁいいや。ていうか結構野次馬が居んな~。山が消えてからそんなに経ってないし、当たり前っちゃ当たり前か。」
「おい、人が吹っ飛んできたぞ!」
「ほんとだ。あんた、大丈夫か?」
ん?どうやら俺のことに気付いてたみたい。ってことは・・・俺がここで金なんて持ち帰ろうもんなら火事場泥棒として看做されて投獄される・・・?いや、気付いてなかったとしても、お金拾ってたら流石に気付かれただろう。あれ?俺の金稼ぎ早くも詰んでね?
「・・・ぃ、おい、あんた!大丈夫か!?」
「はっ!?あ、はい。大丈夫です。すいません、ボーッとしちゃって」
いかんいかん。考えごとしてたせいで返事するのを忘れてた・・・
「いやでも、あんた結構とんでもない速さで吹っ飛んできてたぞ?ほんとに大丈夫か?」
「あの速さで急停止してただろ?足は大丈夫なのか?」
「はい。なんとか。」
「すげぇな・・・普通だったら足千切れてるぞ・・・」
「よっほどステータスが高いんだろう。あんた一体何者だ?」
「えっと・・・普通の旅の者です。」
「・・・まともに答える気は無さそうだな。」
「いえ、違いますって、本当です。」
「大丈夫だって。何か正体を知られたりしちゃいけないとか、そんな感じなんだろ?だったら深く詮索したりしねぇよ。安心しなって」
「そうそう。誰にだって知られたくない秘密の一つや二つ、あるもんな。」
駄目だ・・・まともに取り合ってもらえない・・・。まぁ、案外そっちの方が好都合、かも?
「ところで、一体なんだってこんな所まで飛ばされたんだ?それ以前に、あれだけの速さで人を吹っ飛ばせるなんて、一体何があったんだ?」
そういうとこはきっちり詮索するんだな・・・まぁ当然か。よく分からない奴がいきなりこんな所に現れたんだ。そりゃ知りたくもなるわな。
さて、それはともかくとしてどう答えようか。まさか自分がこの山をやりました、なんて言えないし・・・そうだ!
「実はこの山を吹っ飛ばした奴と戦ってたんですが・・・そいつにここまで吹っ飛ばされてしまったんです。」
うん、別に嘘は言ってないからいいよね。
「何だと!?この山を吹っ飛ばしたやつと戦ってたのか!?それは一体どんな奴なんだ!?」
あ、やべ。それは考えてなかった・・・俺とは全く別の特徴の人を教えればいいか・・・。
「えっと、それは・・・赤い髪に謎の仮面を被ってて、それから黒いマントを着た女でした。」
こんなもんでいいだろ。
「お、おい・・・それってまさか・・・」
「あぁ、やつの特徴にピッタリだ。」
あれ?ちょっと待って、もしかして該当する人物がいて、そいつ結構有名なの?
「えっと・・・その人物のこと知ってるんですか?」
「逆に知らねぇ奴の方がすくねぇぞ!?あんたまさか知らずに戦ってたのか・・・?」
「は、はい。」
「それじゃあ教えてやる。その特徴に一致する奴がいるんだよ。・・・誰もが知ってる恐ろしい奴だ。」
「それは一体・・・?」
「それはな・・・魔王だよ。」
・・・は?え、嘘マジで?俺が適当に言った特徴が・・・まさかの魔王と一緒?いやいや、でも魔王って普通男だよな?いや待てよ、魔王が女じゃないなんて誰が言った?女の可能性だって・・・あれ?おいおい嘘だろ・・・魔王に濡れ衣被せちまった。
と、そんなことを考えていると、
「その人が言ってることは嘘ですっ!」
「「え・・・?」」
俺と話してたおっちゃんと俺が、同時に間の抜けた声を出した。
「ん?おっちゃんの言ってることが嘘なのか?」
「いや、俺は嘘は言ってないぞ。」
「違います!そこの銀髪の貴方!貴方の言ってることが嘘だと言っているのです!」
銀髪?そんな人ここにはいな・・・あ、俺変装スキルで銀髪になってたんだった。・・・ん?じゃあ俺の言ってることが嘘だって?何でバレた!?ていうか誰だ!
ーーーと、そこに居たのは、金髪を腰の辺りまでおろした、金の瞳の少女だった。
「司祭様!一体どういうことですか?」
「司祭様?この少女が?」
「そうだ。このお方はこの山に祀ってあった祠を管理している司祭様だ。だから、この山を吹き飛ばした犯人を血眼になって探しておられるのだ。もちろん、良く祠にお参りに行く俺達もな。」
・・・どうやら俺はとんでもない事をやっちまったようだ。それにしても、
「えっと・・・司祭様、でしたっけ?どうして俺が嘘をついていると?」
「私は昔から嘘をついている人が分かるのです。何故かというのは教えられませんが。教えたら教えた人の嘘が見破れなくなるので。」
マジかい・・・てかそれを皆は信じてるのか?
「この人の言ってること、信じてるんですか?」
俺は隣のおっちゃんに聞いてみた。
「もちろんだ。俺のついた嘘も本当も簡単に見破られたんだ。疑ってる訳がねぇ。」
つまりこのおっちゃんは嘘も本当も織り交ぜて話をしたことがあるが、嘘の部分は全部嘘だと見破られたってことか。・・・もしかしてそういうスキルなのか?鑑定してみるか。
『鑑定』!
マリア・アルフィード
Lv30
鑑定出来ませんでした
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これは・・・!もしかして隠蔽を持っているのか?だがしかし!俺には超鑑定がある。これなら・・・!
『超鑑定』発動!
マリア・アルフィード
Lv30
HP 2000/2000
MP 3000/3000
攻撃 100
防御 100
魔攻 1000
魔防 1100
運 60
スキル 隠蔽、真偽判断(固有)、神への祈り、浄化
魔法 ホーリーロック、ライトニングショット、ホーリーレイ、ホーリースフィア
魔法適性 光
称号 司祭、嘘を見破る者、神の使徒
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なるほど、やっぱり固有スキルか。ていうかステータス高くね?ギルドにいたテンプレコンビより強いんだけど・・・そして称号が面白いわ。流石は司祭。神の使徒なんて大層な称号があるな。
「なるほど、『真偽判断』という固有スキルか。」
「!?何故それを!私には隠蔽があって鑑定では見れないはず!・・・まさか!?」
「そうだよ。俺には超鑑定というスキルがあるからな。」
「くっ・・・知られてしまってはもう嘘が見破れませんね。とにかく!さっきついた嘘について言及します!真実を答えてください!」
「もし俺がここでもう1度嘘をついても見破れないよな?俺が嘘をついたらどうするんだ?」
「そ、れは・・・」
どんな答えを出すんだろうね?ていうか俺が敬語じゃないのに気づいた?明らかな年下に対しては、俺はタメ語でいくぜ。
「・・・真実を話して頂けるのなら、この身、貴方に捧げることも厭わないつもりです。」
なんかとんでもない事言い出したぞ・・・
「司祭様!貴女のその身はあの祠の神に捧げられたはずです!他のものに捧げるなど赦されません!」
「良いのです。あの祠を・・・いえ、この山を破壊したのが誰なのか分かるのなら、私はこの身がどうなろうとも構いません!」
・・・これ断るべきだよなぁ。うん、断ろう。どの道俺がやったと分かれば俺に身を捧げることは無いはず。どっちにしろ捧げられないなら、何も言わないに限る。
「断る。」
「「え・・・?」」
「断ると言ったんだ。俺はこの件に関して一切の情報を黙秘する。」
「そんな!」
「それにそうすれば、あんたが身を捧げる必要も無いだろ。その身、ずっと信じる神の為に清いままで居た方がいいだろ。それじゃあな。」
これ以上ここにいたら、何が起こるか予想がつかん。という訳で帰る!お金は王都周辺の魔物を狩って集めよう。
「あ!待ってください!」
「さらば!」
そうして俺は、王都周辺に逃げ帰るのだった。
この司祭様をハーレムに加えろ?その予定は(今のところ)ありませんよ。皆さんがどうしてもというなら入れなくも無いですが。(何の意見も無ければ流れることになります。)それよりも先に主人公の金稼ぎをしなければ。早く次を書くぞぉ!