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スキルを創って異世界最強!? 〜つまらない日常から一転、非日常へ〜  作者: 日下辰巳
第3章 獣人国王都アガレーヌ編
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第115話 閉じる扉と閉ざす心

前回書いてから四日目だと思ってたら五日目だった(ゆっくりボイス)


はい。そんな訳で書いてなかったアホです。あ、待って、今回少し多めに書きましたから!だからお願いですから石を投げないでぇぇぇぇ!!

「さて、ではどうしてこんなことになったのか、ちゃぁんと説明して貰えるんじゃろうのお?」


「は、はいぃ・・・」


ココの問いかけに、エイルが心底怯えたように返事をする。

俺達は、何やかんやあって一旦落ち着いた。特に俺は、エイルに身体を洗われた後での皆の誘惑で、完全に理性が飛んでしまったようだ。その時に何があったのかは、何となく想像はつくものの、今は触れないでおこう。


「で、どうしてリークの身体を洗うなどといった暴挙に出たんじゃったかのう?」


「で、ですからその・・・大奥様に、リーク様をもてなしてこいと言われまして・・・」


あ、話に水を差すようだが、俺達(俺、ニノ、ベル)は、今は蚊帳の外だ。多分後で俺にも追及が来るだろうから、気は抜けない。

これより、完全な『お話』になるので、俺のナレーションは一旦無くなります・・・って、誰に言ってんだ俺?


「うむ。それはお祖母様の方からも少しだけ聞いたからの。それに関しては、後でお祖母様を白目を3度程剥かせるくらい説教をしておくから、問題は無いぞ。」


「は、はい。でしたら、私はもう・・・」


と、エイルは逃げ出そうとする。・・・あ、またナレーション入れちまった。ナレーション入れたくなったやり取りだったからしょうがない・・・と、言い訳しておこう。

もういいや、やっぱりナレーションありでいこう・・・って、本当に誰に言ってんだろう?


「エイル?なぁにを逃げ出そうとしておるんじゃぁ?」


ココは、それはそれは気味が悪いほどの猫なで声でエイルを引き止める。


「だ、だだだって、元の原因は大奥様ですし、ココ様もそう仰ったでは、ななないじゃないですかかかか・・・」


エイルは、それはもうとんでもない狼狽えようだった。あまりのココの怖さに、自分の雇い主でさえ売ろうとするレベルだ。それなのに、そうさせる張本人の恐ろしい猫なで声だ。もはやエイルは気絶寸前だ。


「そうじゃの。確かに妾はお祖母様がそんなことを言うたのが悪いと思っておる。じゃが、お主にはもう少し聞きたいことが・・・あるんじゃがのぉ?」


「ひぇ・・・」


「分 か っ た の ?」


「は、はいぃぃ!!」


エイルの背筋が、ピーンと伸びる。これ以上ココの機嫌を損ねるのは、得策ではないと悟ったようだ。


「うむ。それでよい。・・・で、妾はお主に、『リークとは何も無いように』と言ったはずじゃのぉ?」


「は、はい・・・」


「それなのにどうして、お主は妾の命令よりお祖母様の命令に従ったんじゃろうのぉ?確かにお祖母様は妾より上の立場じゃが、お主の直属の雇い主は妾じゃったじゃろう?」


え?マジで?エイルってココの直属メイドだったのか・・・


「も、申し訳ございません・・・ただ、大奥様の目的に、私情で私が乗っかってしまったのです。本当に申し訳ございませんでした・・・」


エイルは、綺麗な土下座を披露した。それを見たココはやりにくそうに・・・などということは無く、寧ろエイルを睥睨していた。


「・・・お祖母様の目的じゃと?何じゃ、それは?」


ココは冷徹に問う。エイルの肩が跳ね、身体を硬直させた。


恐らく、エイルの言う『大奥様の目的』とは、ココを嫉妬させたいというものだろう。これまた恐らく、昔からココと一緒に居たであろうエイルは、そんなココを見てみたいと思ってしまったのかもしれない。・・・え?何で2人が昔から一緒に居たって分かるか?何となく、2人の間には、それくらいの信頼感があったし、きっと昔からの深い絆があるんだろうと思っただけだ。


で、身体を硬直させたエイルの方はと言うと、


「申し訳ございません。それを私の口から言うのは・・・っ」


「・・・それはお祖母様に聞くとしようかの。お主への説教は、もうしばらく続くからの。覚悟はしておくんじゃな。」


「か、かしこまりました・・・」


エイルは、本当に申し訳なさそうに言った。それから、しばらくエイルへの説教タイムだったが、長いので割愛。


ーーーで。


「さて、エイルへの説教もある程度終わったことじゃし、今回の件の根源であるお祖母様のところに行くとするかの。」


エイルへの説教も終わり、ココはもう言った。ちなみにエイルは、床で緊張の糸が切れたようで、眠ってしまっている。


「取り敢えずは、白目を3回は剥かせてやるつもりでいかねばな。」


どうやら、ココはかなり怒り心頭のようで。これお祖母様が俺との共謀を口にしたら、俺にもこの怒りが向けられるんだな。怖いけど、多分そうなる。死なばもろとも、だ。


「では、リークへの話はその後になるが、大丈夫じゃろ?」


ココは、敢えて説教と言わず、話と言った。今のところ、俺への怒りはさほど無いと思われる。お祖母様への説教後、これは多分辺りが灼熱に包まれるくらいの怒りになっていることだろう。


「あぁ。俺はその後でいい。取り敢えず・・・行こうか。」


「うむ。・・・あぁ、そうじゃ。ニノとベルは戻っておっても良いんじゃぞ?」


「あー、じゃあお言葉に甘えて・・・ちょっとお腹も空いちゃって。えへへ・・・」


「私はぁ、もう眠いですからぁ・・・Zzz」


ココが2人に戻っても良いと言うと、2人はそれぞれ限界だったようだ。何やかんやあって、今は地球で言えば夜の11時くらいだからな。尚、ベルの普段の就寝時間は、夜10時だ。だから、もう既に寝てる。多分、ニノが仕方なく運んでくれるだろう。俺はココと居なきゃいけないから、手伝ってやれない。頑張れ、ニノ。


「では、行くとしようかの。」


ココがそう言って、俺達は歩き出した。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「お祖母様はまだ寝ておらんと良いんじゃが・・・」


お祖母様の部屋の前で、ココはそう洩らした。


「お祖母様?起きておるかの?」


ココが部屋の中にそう呼びかけると、中から返事が返ってきた。


「どうしたんじゃ?こんな夜更けに。わっちはもう寝る準備をしておったのじゃが・・・」


「その前に、エイルを唆してリークと混浴させたことについて、色々と話があるんじゃが?」


「・・・そ、それはじゃな、また後日に・・・」


「巫山戯るでない。今すぐじゃ。」


説教を後日にしようとしたお祖母様に対し、ココは低い声で捲し立てた。割って入った瞬間、俺に飛び火して大火事になるのが予想できるほど、ココは機嫌が悪かった。


「・・・仕方ないのぉ。手短に、手短に頼むぞ!?あまり長くはせぬように頼むぞ?」


「心配せんでよい。お祖母様を最低でも3回白目にせぬまでは終わらぬからの。」


「ま!?待つんじゃ、流石にそれはーーー」


「問答無用じゃ!覚悟せい!」


ココはそう言って、お祖母様の部屋に飛び込んだ。俺は、部屋の外で待機だ。あまりお祖母様への説教は見せたくないと、ココからのご要望だ。


そして、それから約2時間、ココが出てくることは無かった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「お祖母様への説教は終わりじゃ。」


ココは部屋の戸を開け、出てきざまにそう言った。怒りの声を予想していた俺は、一瞬呆気に取られてしまった。


「む?どうしたんじゃ、そんな呆けた面をして。」


「え?あ、いや・・・結構怒りが少なくなったなぁ、と。」


「まぁ、お祖母様である程度発散したからの。で、リークよ。お主とは何処で話せばよいかのう?」


ココが聞いてくる。が、俺はこの家のどこに何があるか分からないので、聞かれてもどうしようもない。


「ココが決めてくれ。俺には分からん。」


「・・・それもそうじゃったの。では、あそこにするとしよう。」


そう言ったココに連れてこられたのは、縁側だった。日中は、綺麗な庭園を見渡せるのだが、今は中々に暗い。だが、獣人国の王都なだけあって、ぽつぽつと、所々に明るい光が見える。


「・・・夜空、凄い綺麗だな。」


「そうじゃの。妾も、ここからの夜景は好きじゃった。」


都会のはずなのに、とても綺麗な星空が見える。暗闇に包まれていた庭園は、地球での月のようなものに照らされ、いつの間にか、薄ぼんやりと様々な輪郭が見えた。


「・・・のぉ、リーク。お祖母様が妾を嫉妬させたいと言っておった。」


「・・・あぁ。」


「お祖母様の口から言われたわけでは無いのじゃが・・・リークも、協力しておったのではないか?」


「・・・」


お祖母様に言われるまでもなく、気付いていたみたいだ。やっぱりココは賢い・・・いや、俺が馬鹿なだけかな。


「・・・どうして、そう思うんだ?」


一応、聞いてみることにした。


「お祖母様の提案したことに特に反対もせず、やけに協力的じゃったからの。」


「あちゃー・・・」


皆のことを結構ポンコツだと思ってたけど、俺もかなりのポンコツだな・・・男のポンコツなんざ需要ないけど。


「・・・やっぱ、失望するよな?」


ココに聞いてみた。答えは分かりきっているのだが。


「そうじゃな。失望するし・・・凄くショックじゃ。」


「っ・・・」


分かりきっていたことだが、やはりはっきり口にされると堪えるな・・・


「じゃがの、リーク。」


ココの言葉には、続きがあるようだ。俺は、その続きに耳を傾ける。


「お主は、妾達に愛されているのか、確かめたかったのではないか?不安だったのではないか?もしかしたらそれは、妾の思い上がりかもしれんが、何か理由があったのじゃろう?」


「ーーー」


俺は一瞬、頭が真っ白になった。


「どうなんじゃ?リーク。」


「・・・あ、あぁ。ココの、言う通りだよ。」


そう言うと、ココはふっと笑い、


「やはりそうじゃったのか。なら、妾はもう何も言うまい。」


と言った。


「ま、待ってくれ。どうしてもういいんだ?俺を怒ってるだろう?多少なりとも憎むだろう!?なのに、何で・・・」


「あのじゃな、無論、妾はお主がただ面白半分でやったのなら、容赦はせん。じゃが、お主は妾達の気持ちを確かめたいが為にやったのじゃろう?なら、妾はそれを咎めることは出来ん。どんな悪いことをしたとて、それに至極真っ当な、納得出来る理由があるのなら、妾は許そうと思っておる。それはどんな者であれ同じじゃ。相手の本当の気持ちを考えもせず、ただ、これは駄目じゃと、悪いことじゃと頭から非難するのではなく、様々な面を見てから判断すべきじゃと思うのじゃ。じゃから、今回の件も妾は許すのじゃ。」


「・・・」


「それからーーー」


ココは一旦言葉を切り、俺の方に顔を寄せ、


「ん・・・」


キスをしてきた。軽い口付けではあったが、そこに込められた愛情は深かった。


「大好きじゃ、リーク。心配せんでも、妾はお主を愛しておるよ。」


そしてココは、俺に最高の笑顔を見せた。


ーーーココは本当に・・・どれだけ俺を惚れさせれば気が済むのか・・・


本当、また今以上に好きにーーー




『もうこれ以上、好きになるなよ。』




ーーーッッ!!?


その声を聞いた瞬間、ゾッとした。そして、周りの時間が止まっていくーーー




『なぁ、もう良いだろ?これ以上大切にしてどうすんだよ。』


・・・うるさい!俺がどれだけ大切にしたって・・・


『また、失うかもしれないんだぞ?』


失わない・・・あの頃とは違う!今の俺は力がある。大切な人を守れる力が!


『どうせ失う。あの時と同じように・・・お前の手で(・・・・・)。』


ーーーっあ・・・


『お前は今度は、自分の大きすぎる力で、大切なものが消えるに決まってる。』


やめろ・・・違う・・・


『違わねぇよ。どうせ壊すんだ。だからさ、これ以上大切にするなよ。別れが辛くなるぞ?』


やめろ・・・やめてくれ・・・


『ほら、お前も分かってるじゃないか。さっき抱いた気持ち、心の扉の向こうに追いやってるぞ。ほれ、閉まっていく。』


あーーーま、待て!待ってくれ・・・っ


『閉まる』『閉める』『閉ざす』『封印しろ』『抱くな』『閉まった』『開けるな』『無理』『無駄』


あ、うぁ・・・


『もう、これ以上辛くならなくて良い。この気持ちはもう捨てろ。今まで通りで、それ以上になるな。そしたらお前も、前みたいにならなくて済む。』


う・・・俺、は・・・


『分かっただろ?さぁ、戻れ。今まで通りの(・・・・・・)ココが待ってるぞ。』


・・・・・・・・・




その声と共に、世界は動き出していく。俺の心はまだ動き出さないーーー




「どうしたんじゃ?リーク。どこか具合でも悪いのか?」


「っ!」


「ぬおっ!?ど、どうしたんじゃ、全く・・・」


ココの声で我に返った俺は、バッと顔を上げ、ココを驚かせた。そして、さっきの現象を思い出しーーー


さっきまで抱いていた、ココを更に好きになってしまった気持ちが消え去っているのに気が付いた。


「ーーーごめん、ちょっと頭が痛くなっただけだ。」


俺は、辛うじてココにそう答えた。


「む?そ、そうなのか?大丈夫か?」


「あぁ、どうにかな。」


「・・・今日はもう寝てしまうかの?」


「あぁ、そうしたい。ごめん。ありがとう。」


我ながら、支離滅裂なことを言っている。だが、


「どっちなんじゃ・・・まぁよい。リークの気分が悪いのはいかんし、はよう寝るんじゃ。」


と言ってくれた。


「あぁ。それじゃあ、おやすみ。」


「うむ。おやすみなのじゃ。」


そうして俺達は、それぞれの部屋に戻っていったーーー

あ、そういえば、さっきブクマ件数見てたら999でした。スリーナインです!なんか縁起が良いような悪いような・・・

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