第104話 大罪悪魔定例会議
すいません。全然時間が取れず・・・出来れば、本日の夜にでも書ければ、と思っています。
それから、今回新キャラがバンバン(?)出ます。
「リーク!本当に今日中に帰って来たのじゃな!」
俺が転移で帰ってきた瞬間、ココの声がした。何だろう、このデジャヴ感・・・
「あぁ、ただいま。」
俺は、自分でも分かるほどに顔色が悪い。それはココも気が付いたようで、
「り、リーク!?お主、とても顔色が悪いぞ!?どうしたんじゃ!わ、妾に出来ることは・・・いや、それよりニノを呼ばねば・・・あぁもう!どうすればいいんじゃ!?」
凄いテンパった。とにかく、凄く心配してくれてるのは伝わったので、
「ありがとう、ココ。でも大丈夫だ。とりあえず、ニノに帰ってきたことを伝えないと・・・」
「ほ、本当に大丈夫なんじゃろうな?無理はするでないぞ?辛かったら、いつでも妾達に・・・」
「分かった分かった。大丈夫だから、心配するなって。」
俺は、努めて笑顔で返した。とはいえ、精神は全く大丈夫ではないのが現状だった。だが、3人にこれ以上心配をかける訳にもいかない。とにかく大丈夫な様に振舞っていよう。
「ニノ!リークが帰ってきたぞ!」
ココがそう叫んだ途端、木々の向こう側から走ってくる音が聞こえてきて、
「ほ、本当ですかっ!?あ、ご主人様ぁ!!」
出てきたニノは俺を見るなり、いきなり覆い被さってきた。
「ご主人様ぁ♡」
そう言いつつ、ニノは俺の匂いを嗅ぎまくる。犬かお前は。
そう思いつつ、俺はニノを引き剥がした。引き離した、ではない。引き剥がしたのだ。それほどまでにべったりくっ付いてた。
「ご主人様ってば、前回1週間近くも帰って来なかったから、今回ももしかしたらそれくらいになるのかもって、とっても不安だったんですよ!?」
「悪い悪い。でも、今回はちゃんと今日中に帰るって言っただろ?」
「そ、それはそうですけどぉ・・・やっぱり心配なんですよぉ・・・」
目を潤ませながら言ってくるニノに、俺はちょっと罪悪感を覚えた。前回が前回だっただけに、やっぱり不安は大きかったんだな・・・
「ごめんな、ニノ・・・」
そう言い、俺はニノの頭を撫でた。ニノの機嫌が治るまで。すると、
「むぅ・・・リーク、妾も撫でて欲しいのじゃぁ・・・」
珍しく、ココから所望が来た。普段は、所望されなくても頭を撫でていたが、今回は所望が来た。
「ココが自分から撫でて欲しいって言ってくるのは珍しいから、いつもよりいっぱい撫でてやろう。」
「ん・・・嬉しいのじゃぁ・・・♡」
と、ここで、俺はもう1人が居ないことに気が付いた。
「あれ?そう言えばベルは?」
そう、ベルが居ないのだ。こんな風にしていれば、ニノと同レベルの速度で俺にねだってくるのに。
「あぁ、ベルさんなら・・・んっ♡地獄の方から、また招集があったみたいですよぉ。」
「あー、また招集か。今度は、ちゃんと早く呼び出さないとな~・・・」
どうやら、またしても悪魔の招集がかかったらしい。次また遅くなったら、今度は何をされるか・・・ブルブル・・・
「明日には呼び出しても大丈夫じゃと言っておったぞ。じゃから・・・ふひゃっ!?あ、そこ、もっと撫でて欲しいのじゃ・・・」
「じゃから、の後は?」
「あぁ、じゃから、明日に呼び出せば、多分怒られはせんじゃろう。」
「そうだな。んじゃ、明日まで待つとするか。」
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ーーー地獄の集会所 side ???
「ーーー以上だ。」
凛とした声が響く。その声は、会議用テーブルの上座の方からだった。
「ふぅ、やっと終わりましたねぇ・・・」
ベルフェゴールは、ボソッとそう呟いた。だが、隣でそれを聞いていた者が、
「おいベル、確かに会議が退屈で、やっと終わった感じはあるが、そういうのは会議室から出てから言え。」
と窘める。が、
「そう言うサタンさんもぉ、人のこと言えないのではぁ?」
ベルフェゴールは、隣に居た悪魔ーーーサタンに反論した。
「あぁ?一々揚げ足を取らなくていいっての。」
「いえいえ、今のはぁ、理不尽ですよぉ・・・」
サタンの理不尽さにベルフェゴールは愚痴るが、もはやこの二人の言い合いは毎度のことで、誰も気にしない。
「あぁ、そういえば、ベルさんとサタンさんって契約者さんが同じですわよね?」
そこに口を挟んだのは、リークと契約した三体目の悪魔ーーーマモンだった。
「あ?マジか、ベル。お前の契約者ってオレと同じ奴だったのか・・・」
「な、何で知ってるんですかぁ!?」
ベルフェゴールは、知られているはずのない事が知られていることに焦った。
「何でも何も、わたくしを呼び出した方も、同じ方だったからですわ。」
「・・・は?」「・・・え?」
ベルフェゴールとサタンは、一瞬固まったあと、揃って間の抜けた声をあげた。
「え、えぇ!?ということはぁ、リークさんは3人の大罪悪魔と契約を!?・・・って、そう言えばそんなことを言ってたような、言ってなかったような・・・」
リークはちゃんと言っていた。ベルフェゴールを呼び出すのを遅れた時の理由を語っていた時、ちゃんと「大罪悪魔のマモンとも契約した」と言っていたのである。
「へ~・・・この中の3人と契約したニンゲンがいるのかー?それは面白そうなのだー♪」
そこで話に参加してきたのは、可愛らしい八重歯を覗かせた、幼女と言っても差し支えないほどの身長の少女であった。
「それって一体、どんな奴なのだー?」
その少女がそれを聞いた時、ベルフェゴールに何かのスイッチが入った。
「・・・ふふ、よくぞ聞いてくださいましたねぇ・・・良いでしょう!語って差し上げます!」
別人格モードで、ベルフェゴールはリークの強さや性格等を、他の大罪悪魔に語った。そうして聞き終えた他の大罪悪魔は、リークに興味を抱いた。
「ふーん。そんな強い男がいるのね。なんて妬ましいのかしら・・・」
そう言うのは、水色の長髪を持つ少女だった。しかしその目線は、ずっと上座に座る女性に注がれていた。
「・・・ベルフェゴールよ。私でも勝てるか分からないほどの者か?」
上座に座っていた女性が、ずっと閉じていた目を開き、爛々と闘争心に燃える瞳で、ベルフェゴールを射抜いた。
「・・・はい。恐らくは・・・」
「そうか。・・・そうだな、ベルゼブブ。随分と興味津々のようだ。」
「んー。ルゼはとっても興味津々なのだー♪」
八重歯を覗かせた少女はそう答えた。
「その男のことをもっと良く調べたい。ベルゼブブ、お前が行くか?」
上座の女性がそう問うと、八重歯の少女ーーーベルゼブブは、目を輝かせながら答えた。
「いいのかー!?ルゼも会ってみたいのだー!」
「ま、待ってくださいぃ・・・それはまさか、リークさんに『暴食』のスキルを取らせるつもりでは・・・」
ベルフェゴールは、おずおずと問う。
「そのまさかだ。ベルフェゴール、異論は無いな?お前達が契約した、そのリークとやら、どれほどの者か、私の好敵手足り得るか、調べさせて貰うぞ。」
この時、ベルフェゴールは思った。「まずい。このままでは、またリークさんに惹かれてしまう人が現れるかも・・・」と。
「クク・・・久しぶりに本気で戦える相手と巡り会えるかもしれないこのチャンス・・・逃しはせんぞ・・・それでは、これにて今回の悪魔会議を終了とする。解散。」
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「やはり、相変わらずの傲慢さですわね。まぁ、今に始まったことではありませんし、気にはしておりませんが。」
「それにしても、まさかオレ達3人が同じ契約者を持つことになるとはな。」
「正直、サタンさんの契約者とは契約はしたくはなかったんですけどねぇ・・・」
「どんなニンゲンか、今から楽しみなのだー♪」
「・・・(あの方に興味を持たれる人間・・・なんて妬ましい・・・)」
それぞれの想いが交錯する中、当のリーク本人は、ニノとココとイチャついてたとかいないとか。
え?もう1人の大罪悪魔はどこ行ったか?さぁ?何処でしょうね?