Y8 疑惑
久々の勇者編です。そろそろ欲しい頃かと思いまして。いえ、別に私が本編のネタが思い付かなかったとか、そんなんじゃないですよ?ほんとですからね?
・・・というか、最近更新ペースがまた遅くなってますね・・・本当に申し訳ないです。ただ、今とても大事な時期ですし、結構時間が空かなくて(ry
ーーーside 東宮 明
よぉ。自己紹介の時をカウントしなけりゃ、初めましてかな?ま、どっちでもいいか。ご存知の通り、俺達は迷宮に潜り、 レベル上げをして、一部の奴はステータスが大幅に上がった。んで、一旦王城に戻って来たのだ。
「はぁ~・・・疲れたねぇ~・・・」
綾小路が、王城の廊下でボヤいた。今は、各々の部屋に戻る最中で、マガラさん等、こっちの世界の人は居ない。
「ぁ・・・ゅ・・・ぁま、ぉつ・・・れさ、でぅ・・・」
と思ったら、向かい側から、如何にも高級そうな服を身に纏った、金髪美少女が現れた。
「エメリア姫、でしたか。ご機嫌麗しゅうございます。」
桐翳がいち早く反応し、頭を下げた。そう、その少女は、この国の王女様だった。金髪ロングをカールにして、可愛らしいうさぎのぬいぐるみを腕に抱いている。名をエメリア・アルガネス。アルガネス王国第4王女だ。ちなみに、第3王女は、既に死ん・・・いや、亡くなられたらしい。
「あ、あぅ・・・ぁた・・・ぉぁげ、くだ・・・」
エメリア姫は、辿々しくそう言った。何となく分かったと思うが、この王女様、臆病で口下手でコミュ障なのだ。
一応、何を言ったか分からない人の為に翻訳しておくと、最初が「勇者様、お疲れ様です。」で、さっきのが「頭をお上げください。」だ。俺は舌っ足らずの子供の相手をしていたから、こういうのは得意だ。姉ちゃんが保育士だから、それでたまに助っ人に呼ばれたりするのだ。
・・・それにしても、一体何でこんな所うろついてるんだ?
「ぁ、の・・・ぉ・・・まを、み・・・ぇんで、たか?」
・・・ん?今、なんて言ったんだ?流石に今のは分からなかったぞ。
「ぇう・・・んぅぅ~・・・」
って!目に涙を浮かべ始めやがった!!上手く伝わらなかったからか・・・?てか、目を潤ませながら上目遣いになったせいで、男子数人が鼻血出してやがった。ちなみに、さっき少女とは言ったが、実年齢は9歳だからな?つまり、今鼻血を出した奴らは皆ロリk・・・
ギンッ!
ぞっ・・・何だ?男子達から殺気が飛んできたような・・・?流石に気のせいだよな。心の声が聞こえる訳ないし。・・・多分。
「あらあら、何を泣いているのですか?エメリア。」
「ぁ・・・ぉね・・・ぁま・・・」
エメリア姫が泣いている所に、俺達が右往左往していると、奥からリンシア姫が出てきた。ちょうど良かった。
「勇者様。エメリアはどうして泣いているのですか?」
その物言いには、純粋な疑問と共に、少しの疑惑と、若干責めるような雰囲気があった。俺達が泣かしたと思われているのか。失礼だな・・・そんなことはしない。・・・まぁ、エメリア姫の意思を汲み取れなかったのが原因であれば、强間違ってもいないのだが。
「えっと・・・エメリア姫が何か言ったようなんですけど、僕達は聞き取れなくて、そしたら急に泣かれてしまって・・・」
聖が説明しようとするが、良く分からずに泣かれたからか、上手く説明出来ていなかった。これでは伝わらない・・・と思ったのだが、
「あぁ、この娘は上手く喋るのが苦手ですから、自分のせいで意味が伝わらないのだと思い込んで、良く泣いてしまうのです。申し訳ありません。ほんの少し、皆様を疑ってしまいましたこと、慎んでお詫び申し上げます。」
どうやら、そんな感じの理由だそうだ。てか、別に謝られるようなことをされた覚えは無いけどな。
「ぁぅ・・・ぉ・・・さま、探し・・・でぅ。」
多分これ、「お姉様を探してたです。」か?まぁいいか。とにかく、俺めちゃくちゃ眠いから寝たいんだが・・・
「そうですか。では、勇者様のお邪魔にならないよう、向こうへ行きましょうか。」
そんな状態を察したのか、リンシア姫はエメリア姫を連れて行った。ありがたい。これでようやく寝れるわ。
それから俺達は、自分の部屋に戻り、眠りについた。
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朝だZE!霊〇の所に遊びに行きたいが、幻〇郷に行くことは出来ないから、諦めるしかあるまい。
ま、いつもの自分ノリツッコミも終わったところで、今日は何が起こるんだろうか。いい加減陸魔が見つかっても良いとは思うが、あいつは今どこで何やってんだか、全く包囲網に引っかからないらしい。やっぱ、変装系スキルでも持ってんだろうか?多分死んじゃいねぇだろうが・・・確信が持てねぇのが痛いな。・・・とにかく、そろそろ朝飯の時間だし、支度するか。
着替え(国王から貰った寝巻きから、これまた国王から貰った普段着兼戦闘着に。)を終えて、暇潰しにこの世界の本を読んでると、咲〇さんっぽいメイドさんが呼びに来た。三つ編みに銀髪のメイド服とか、めっちゃ似てる。
「アズマミヤ様、お食事の準備が出来ましたので、呼びに参りました。」
「あぁ、ありがとう。すぐに行ける。」
いつも通りの返事をし、俺は部屋の外へ出る。それから、メイドさんに連れられ、食卓(というには大きすぎるが)に着いた。既に居たのは、聖と桐翳、そしてちゃっかり座っていた、クラスでも地味であんまり目立たない、はっきり言ってかなり影の薄かった、「繃靜 覚」だ。
それからしばらく、聖達と雑談していると、ちらほらとクラスメイトも集まってきた。全員集まったところで朝食を摂る。今日は珍しく、国王も一緒の卓についていた。何かあるのだろうか?
もちろん、普段はいない国王の存在を気にしている奴も多く、若干気まずいような空気のところ、2つの声が切り裂いた。
「あのー・・・国王様。」
「お聞きしたいことが」
「「あるのですが。」」
その2つの声は、クラスに居る双子・・・名前は確か、「時罷懈 須臾」と、「時罷懈 刹那」だったような。何でうちのクラス、こんな難しい名前ばっかなんだよ・・・
ちなみに、須臾の方が姉、刹那の方が妹らしい。一卵性双生児のため、性別は同じだ。見分け方は、ショートにしているのが刹那、背中まであるロングの髪の先を、少しカールさせているのが須臾だ。
「うむ?何かね?」
「「神凪君のことですが、あまりにも情報が無さすぎでは?」」
陸魔の名前が出た瞬間、全員の中に、重苦しい空気が流れる。というか、確かに情報は少ないが、何が言いたいんだ?本命の質問が分からない。
「それは・・・どういう意味かの?」
国王も、同じことに気が付いたようだ。そして、次の双子の言葉で、全員が言葉を失うことになる。それはーーー
「「もう既に、神凪君を捕まえて殺したり・・・しているのでは?」」
国王様、大変な疑惑をかけられてしまいました。皆の反応は!?国王の答えは!?真実は如何に!?等、地味に気になる要素を盛りました。この展開を使ったからには、やはりあそこをああして書くか・・・
それでは次回の勇者編をお楽しみに。