第96話 兄「異世界に行ってた」 妹「はい?」
題名は気にしないでください((((;゜Д゜))))
チュンチュン・・・
小鳥の囀りが聞こえる。久しく聞いてなかったそんな声に、俺は目を覚ました。
「おはよう、お兄ちゃん。」
すると、妹・・・舞の顔が、真上にあった。
「のわっ!?ま、舞!?」
驚いた俺は、つい叫んでしまった。
「ひゃっ!?い、いきなり叫ばないでよ、お兄ちゃん・・・」
舞もまた、可愛い声で驚いた。そんなこと言ったって、いきなり舞の顔がすぐそこにあったから、びっくりしたんだよ・・・
「って、あれ?何で舞がいるんだっけ?えっと・・・あ、そうだ。俺昨日家に帰ってきたんだった。」
そこで俺は、ようやく昨日自分が家に帰ってきたことを思い出した。
「もう・・・お兄ちゃんってば、まだ寝惚けてるの?」
「いや・・・悪い。と、とにかく、朝ごはん作らねぇとな。」
俺は、いつも通りに朝ごはんの準備をしようとした。まぁ、うちはパン食なのだが。
「あ、お兄ちゃん!その・・・朝ごはんはね?えっと・・・」
「・・・何だ?」
何か、嫌な予感がする。その予感は的中し、舞から衝撃の事実が知らされた。
「・・・買ってないの。」
「はぁ!?おま、パンは無くなる前に買えって言ったろ!?」
いつか一人暮らしをするかもしれないからと、俺は舞に、色々と教えていた。だが、それはほとんど実践出来ていないのが現状である。
「ご、ごめんなさい~!パンが昨日無くなってたの、すっかり忘れてたの~!」
「・・・はぁ。仕方ない。じゃあ何かレンジで作れるものでいいや。」
俺はそう言い、冷凍室を覗いてみるが、
「・・・冷凍食品も、朝に食べるようなものが無いの。」
「やっぱりかぁぁぁぁ!!」
まさかとは思っていたが、本当に無いとは・・・
「・・・舞、何か作れるか?」
俺は料理が出来ないため、舞に何か作ってもらうことにした。
「・・・ステーキとか、野菜炒めくらいしか作れないの・・・お兄ちゃんはお肉が好きだから、いつ帰ってきても良いようにって、お肉ばっかり買っちゃって・・・」
「嬉しいけど、朝からそれは重い!」
舞の気遣いは有難いのだが、朝ごはんとしては重すぎる。くっ!こうなったら・・・
「どうしよう?お兄ちゃん・・・」
「こうなったら最後の手段!『アイテムボックス』!」
俺は、アイテムボックスから、朝ごはんになりそうな、向こうの世界のお菓子を取り出した。え?舞の前で使っていいのかって?どうせ後で全部説明するんだ。別に構わん!
「え?な、なに今の・・・?」
案の定、舞が驚いているが、まずは腹ごしらえだ。
「後で説明する。それよりほら、まずは飯を食え。」
そう言って、俺はお菓子を渡した。ちなみに、アセロアンダルではない。あれはアイに食べさせる分だ。
A:マスターと2人きり・・・えへへ・・・
俺:はいはい、ちゃんと分かってますよ。
ちなみに、アイテムボックスの中では時間が経たないらしい。アイテムボックスに入れたら、時間とか気にせずに遊び放題なのでは・・・
A:残念ながら、アイテムボックスの中には、生物は入れません。
ですよね~・・・
ま、それはそれとして、とりあえず2人は席についた。フォークとか久々に見たわ・・・
「「いただきます。」」
同時にいただきますをした後、舞はお菓子を乗っけたフォークを口に運び・・・
「んんっ!?美味しい!」
「だろ?」
どうやら、お気に召したようだ。それから舞は、凄い勢いで食べ、数秒後には無くなっていた。幾ら何でも早すぎる・・・
「ご馳走様っ!・・・ねぇ、お兄ちゃん。さっきいきなりお菓子が出てきたことといい、昨日まで何処かに行ってたことといい、全部説明して?」
本当は俺から切り出すつもりだったが、やはり早く聞きたいのだろう。
「あぁ、もちろんだ。実はな、俺達はーーー異世界に行ってたんだ。」
「・・・はい?」
そりゃ、いきなり信じはしないだろうな。
「お兄ちゃんってば、何言ってるの?異世界なんて、そんなのある訳無いじゃない!アハハッ!」
舞は、俺の冗談だと思っているようで、本気で笑っていた。だが、信じて貰わないと、話が先に進まない。
「本当だ。」
俺は、いつになく真剣な顔で、そう言った。俺の真剣さに、舞はちょっとたじろいだ。
「も、もう・・・お兄ちゃんってば、友達から借りたラノベに影響され過ぎだよ~。」
舞は、困り顔で言った。やはり信じてはいないようだ。
「なら、さっき俺が出したお菓子はどう説明する?」
「そ、それは・・・手品とかでしょ?お兄ちゃん器用だから、そういうのも出来るし・・・」
まぁ、確かに出来るけども。
「他に、普通出来ないような証拠でもあれば、信じなくもないけど・・・」
「ふむ、なら実際に魔法を見せてあげよう。」
とは言え、俺が普通に魔法なんぞ使えば、ここら辺が消し飛ぶので、基礎の基礎、属性を出すだけだ。属性を出すとは、要するに、火属性なら火を、水属性なら水を、指先に出すことを指す。
「まずは火だ。『ファイア』」
ボッ!
俺の右人差し指の先に、火の玉が出現した。
「えぇっ!?す、凄い・・・い、いやいや!でも、お兄ちゃんならこれくらいの手品、やって見せられるもん!」
実際やったことがあるので、否定出来ない。
「次は水だ。『ウォーター』」
今度は、火の玉の横、右中指の先に、水の玉が出現した。
「お次は風。『ウィンド』」
さらに横、右薬指の先に、小さな竜巻が現れた。
「う、嘘・・・」
「さらには土。『アース』」
順番通り、右の小指の先に、土の玉が出てきた。
「まだまだあるぞ。氷、雷、光、闇だ。『アイス』、『サンダー』、『ライト』、『ダークネス』」
今度は左の指に、それぞれ一気に、属性の玉を生み出した。
「どうだ?信じる気になったか?」
「う・・・」
信じられないけど、有り得ないことが起こってる・・・そんな感じの顔だ。これなら、もう一押しだろう。
「じゃあ、俺の顔を見ててくれ。」
「顔?」
「そうだ。いくぞ・・・『変装』」
俺は、舞の目の前で変装スキルを使い、『リーク』の姿になった。
ガタッ!
舞は、急に立ち上がり、仰け反った。
「き・・・昨日の、姿・・・?」
「そうだ。これで分かっただろ?俺は今、顔を変える時間も、道具もなかった。普通じゃ、有り得ないだろ?」
「・・・・・・・・・」
舞は、長い沈黙の後、静かに頷いた。
「・・・分かった。お兄ちゃんが異世界に行ってたって話、信じるよ。」
「信じてくれて嬉しいよ、舞。」
俺は、信じてくれた舞の頭を、撫でてやった。
「ひゃっ!?あ、ん・・・お兄ちゃあん・・・えへへ~♪」
随分ご機嫌だった。頭を撫でると、いつもこうなる。
A:私も頭撫でられたいです・・・
俺:身体を手に入れてからな。
「・・・それで?もしかして、お兄ちゃんのクラスメイトも、皆異世界に行っちゃったの?」
「そうだ。皆同じところに飛ばされたんだ。」
「そっか・・・でも、お兄ちゃんが帰ってきたってことは、皆も帰ってきたんだよね?」
舞がそう聞いてくるが、俺は悲しげに首を振る。
「いや・・・帰ってきたのは俺だけなんだ。」
「えぇ!?じゃあ、皆は・・・?」
「分からない。多分無事だと思うけど、あいつらのことだ。いつか帰ってこれるさ。」
皆のことは心配だが、王城に戻りたくはない。きっと大丈夫と信じて、舞にはそう言った。
「そ、そうなんだ・・・とにかく、お兄ちゃんが帰ってきてくれて良かった・・・」
舞は、テーブルを回って俺の傍に来て、俺に抱き着いてきた。舞からの抱き着きには慣れているので、俺は特に何も言わない。
「・・・そうだ。俺達が消えてから、こっちではどれくらいたったんだ?」
今更ながらに気になった。いや、前から気になってはいたが、アイも分からないと言うし、舞に聞くことにした。俺は、異世界と同じくらいだと思って行動していたが、どうなんだろうか?
「えっと・・・2ヶ月くらい?」
「じゃあ、やっぱり向こうと同じくらいの周期なのか?」
A:マスター!地球の時間軸を調べて、向こうの世界と比べてみました。
俺:そんなことも出来るのか・・・凄いなぁ、アイは。
A:ふぇ・・・そ、そんなこと無いですよぉ・・・って!それはそれとして、大変なことが分かりました!地球と向こうの世界・・・【アウス】は、似ているどころではなく、全く同じ周期なんです!
俺:・・・は、はいぃっ!?マジで!?
A:はい。年月も、現在の日付も、全てが全く同じようです・・・
っ!?・・・そんなことが、有り得るのか・・・?
「お兄ちゃん?どうしたの?」
アイとの話が長かったようで、舞が話しかけてきた。
「あ、いや、何でもない。・・・そうだ、俺達が居なくなった後、学校とか、世間とかはどうなったんだ?」
もう一つ、気になっていたことだ。舞の主観で良いから、聞いておきたかった。
「・・・お兄ちゃん達が居なくなった後はーーー」
舞の口から、当時のことがぽつぽつと語られ始めた。
課題が終わらないです( ´・ω・`)
明後日書けない可能性があります。どうか、ご了承下さい。