第93話 久しぶり(?)のアイと雑談
後半めちゃくちゃになったこと、慎んでお詫び申し上げます。
「ん・・・」
「う・・・」
しばらく寝かせておいてから、何時間か経った頃、2人が起きた。
「大丈夫か?2人とも。」
「あ、ご主人様・・・」
「リーク・・・」
2人とも元気が無い。一応俺は許したが、怒られるとでも思っているのだろうか?
「ごめんな、2人とも。本当に、やり過ぎたよな・・・」
俺は、まずは2人に謝った。俺は2人の限界を見誤っていた。
「わ、私達の方こそ、その・・・ごめんなさい。」
「リーク、本当にすまなかったのじゃ・・・」
2人は、きっちり反省しているようだった。可哀想ではあったが、効果はあったようだ。
「ちゃんと反省してくれたなら、それでいい。ただ、説教をするつもりじゃないが、今回のことを踏まえて、2人には気を付けて貰わなきゃいけない。」
「は、はい!」
「わ、分かったのじゃ!」
いや、まだ何も言ってないんだが・・・
「2人とも、これからはちゃんと、今から言う事を意識しておいて欲しい。それはな・・・『自分の発言には、責任を持つこと』だ。分かるな?」
「えぇっと・・・つまり、口に出したことは、ちゃんとやれってことですか?」
「有言実行、というやつじゃな?」
「まぁ、そんな感じだ。ただ、どうしても駄目な時は、逃げるんじゃない。誰かの助けを借りて、ちゃんとやり遂げること。まぁ、逃げるしか道が無いのなら、それは逃げるのが最善だけどな。分かったか?」
「はい!」
「分かったのじゃ!」
うん、良い返事だ。
「よろしい。」
よし、これで2人はもう大丈夫だろう・・・多分。
「やっぱりぃ・・・考えがあったんですねぇ~。」
と、そこにベルが来た。
「やっぱりって・・・分かってたのか?」
「まぁ~、リークさんは優しいですからぁ、何か考えが無かったらぁ、あそこまでしないと思ってましたからねぇ~・・・」
何でベルはそこまで俺を信用(?)してるんだろう・・・
「・・・私達、ベルさんよりも長くご主人様と一緒にいるのに、ベルさんよりご主人様を信じてなかったんですね・・・」
「リークへの信頼は、誰にも負けぬつもりじゃったのじゃが・・・まさかこんなにも信じておらんじゃったとは・・・」
2人は、俺への信頼がベルに負けていたことで、凄いショックを受けていた。
「まぁ、俺に怒られてショックだった2人が、正常に判断出来なかったと思えば良いんじゃないか?」
咄嗟に、俺は2人をフォローした。
「そ、そうですよね!でないと、私の愛が負ける訳ありません!」
ニノが豪語するが、ココとベルから、ちょっと殺気が漏れた。
「何を言うておる?リークを1番愛しておるのは妾じゃぞ?」
「あらぁ・・・?お2人とも何を言っているんですかぁ?リークさんを1番に想っているのはぁ・・・私ですよぉ?」
誰が1番俺を愛しているかで、3人が争い始めた。やめて!俺の為に争わないでっ!
A:全く・・・3人には困ったものです。
俺:ん?アイ、急にどうしたんだ?
A:だって、マスターを1番に考えているのは、私です。
俺:あ、あれ?アイ?お前まで参加すんの?
A:参加するまでもありません。マスターと1番距離が近いのも私ですし、マスターのことを1番知ってるのも私なんですから、マスターのことを1番愛しているのは私です♪ね?マスター♡
あれれ~?おかしいぞ~?嬉しいことを言われてるはずなのに、アイがとっても怖いな~?
A:そんなことありませんよ?ふふっ♪
ガクガクブルブル・・・
3人の言い合いは全然終わる気配が無い。多分、俺が止めないと、延々と続きそうだ。
「3人とも、落ち着けって。別に誰がどれだけ好きかなんてどうでも・・・」
「良くありません!」
「良くないのじゃ!」
「良くありませんよぉ!」
3人同時に否定した。あまりの気迫に、俺はちょっと後ずさってしまった。うーん・・・これは俺が止めても無駄っぽいな~・・・どうしよう?
その後何度か落ち着かせようと試みるも、全て玉砕されてしまった。もはや何を言っても無駄だと分かったので、俺は、何か暇を潰せるものを探した。ちなみにここは、特に何も無い道の近くだったりする。俺達は木陰で休んでいるのだ。
「そもそも私が1番ご主人様と一緒にいる期間が長いんですからーーー」
「そんなものは、愛情の深さとは関係ないじゃろうーーー」
「いいえ、むしろ1番最後に出会った私こそ、1番愛情が濃いとーーー」
3人のそんな口論をBGMに、俺は何か無いか探すが、何も無い道の近くなだけあって、案の定何も無い。
「うーん・・・どうしたもんかなぁ・・・」
辺りには石ころくらいしか落ちてない。遠投でもやるか・・・?
A:あの・・・マスター?こういう時こそ、私を頼りにしてくれても良いんですよ?
アイが、何やら頼りにして欲しそうな感じでそう言った。
俺:いや、頼りにするったって、アイに何を頼るんだよ?
A:その・・・私が暇潰しの相手にでもなれればと・・・
あ、そっか。その手があったわ。
俺:そうだな。それじゃあ2人で話でもしようか。
A:はいっ♪
アイは、声を弾ませて楽しそうだ。
俺:って言っても、何を話そうか?
A:マスターのお好きな話題で良いですよ。
俺:ほう。ならば俺の推しキャラの良さを語ってやr・・・
A:ますたぁ?私を嫉妬させたいんですか?
アイから、とっても冷たい声を浴びせられました。とっても背筋が寒くなりました。
俺:じょ、冗談だよ。っていうか、俺の好きな話題で良いって言ったじゃんかよぉ。
A:そ、それはそうですけどぉ・・・でも、マスターに好かれてる『きゃらくたー』という娘が羨ましくて妬ましくなっちゃいそうで・・・
俺:ふっ・・・本当にアイは可愛い反応するよな。
A:ふぇ!?か、からかわないでくださいよぉ、マスターのばかぁ・・・
俺:あははは、悪い悪い。
A:むぅ・・・とにかく、別のお話にしてください!
俺:分かったよ。そうだなぁ・・・じゃあ、俺の妹の話でもしようかな。
A:そう言えば、マスターには妹がいらっしゃるんでしたね。どんな娘なんですか?
俺:可愛い奴だよ。俺のたった1人の家族で、甘えん坊なんだ。
A:マスターによく甘えてたんですか?羨ましいですね・・・
俺:そうだな。よく甘えられたな。そういや、結構ニノに似てるなぁ・・・
俺は、我が妹のことを思い出しながら、懐かしく感じた。
A:そうなんですか。妹とは言え、ちょっと妬ましいです。
俺:おいおい、妹に嫉妬するなよ・・・
俺は内心苦笑い。いや、外面も苦笑いしてたわ。
A:だって、妹ってことは、いつもマスターと一緒にいられるじゃないですか。
俺:いや、別にいつも一緒な訳じゃないぞ?それに、それを言うなら、お前だっていつも一緒にいるじゃん。俺の頭の中で、寝る時も出掛ける時も一緒じゃん。
A:それはそうなんですけど、でも、私はマスターに触れないですから・・・
そうだった。アイの悩みは、俺に触れられないことだった。
俺:・・・そろそろ、アイの身体が見つかれば良いんだが・・・
A:お願い・・・しますね?
俺:あぁ!任せろ!絶対に見つける!
A:もし・・・見つからなければ?
俺:・・・
その可能性も考えてはいた。だが、正直分からない。そもそも、身体なんて普通は無いだろう。多分、アイの身体は、魂の無い人の身体・・・死体になる。アイも、それは了承はしてくれた。ウロボロスの時に出来た、死体欠損の修復をすれば、どんな身体でも使えるだろう。だが、それは死者への冒涜になる。死ぬ運命の人が、自分の死後、身体を使われても良いとでも言わない限り、そんなことは出来ない。そして、そんな人は普通居ない。だから、確率はとてつもなく低い。・・・最悪、無断で使ってしまうかもしれない。俺にとって、アイは死者より大事だから。
A:・・・わ、私から言っておいてアレですけど、こんな暗い話はやめましょう!
俺:それもそうだな。アイ、しばらくはこんな感じかもしれない。ごめんな。
A:いえ、構いません!マスターがいつか、私の身体を見つけて下さることを信じていますから!
俺:ありがとう、アイ。・・・それから、さ。話は変わるんだけど、ニノ達を無視していた時から、ずっと考えていたんだ。
A:何でしょう?
俺:転移で・・・
俺:ーーー地球には帰れるか?
地球に帰ろうとするリーク。一体どうなる・・・!?次回!