Y7 勇者の特殊能力
あれ・・・私は何で勇者編をこんなに長く書いたんでしょう?本当はこれの半分くらいで終わらせるつもりだったのに・・・ま、まぁ良いです。とりあえずどうぞ。今回は、初めて(?)の凛花サイドです。
ーーーside 綾小路 凛花
皆こんにちは、綾小路凛花だよ!実は私達、迷宮に行ってたの。結構色々な物が落ちてて、レベル上げも捗ったから、積極的に迷宮に潜ってみようと思うよ。
で、さっき葵ちゃんから、王城に帰るって連絡があって、今は帰り道なの。え?どうやって連絡を取ったかって?この世界では、通信石っていう魔道具があって、それに魔力・・・MPを流し込むことで、その通信石に登録されてる、他の通信石と連絡が取れるの。要するに、電話番号を登録した携帯電話みたいな物だよ。
「凛花、レベルはどれくらい上がりましたか?」
葵ちゃんが、私に尋ねてきた。
「うーん・・・8くらいだね。」
私が迷宮に潜る前は20だったから、今は28だね。
「そうですか。聖君は?」
葵ちゃんは、今度は私達の近くにいた聖くんに聞いた。
「え?僕?僕は・・・18だね。」
「何ですとぉ!?」
私はつい、変な言葉で反応しちゃった。
「聖くん、何でそんなに上がってるの・・・?」
私は置いてけぼりにされた気分で、声を震わせながら聞いてみた。すると、
「えぇっと・・・途中でユニークモンスターを倒したからかな?」
「ユニークモンスター!?そんなの倒しちゃったの!?」
聖くんって、やっぱり凄いんだ・・・
「僕1人の力じゃないけどね。桐翳さんと、東宮君と、アドバイスしてくれたマガラさんのお陰だよ。」
私はさらにびっくりした。まさか葵ちゃんまで倒しちゃってたの!?
「葵ちゃんも一緒に居たの?てことは、葵ちゃんもレベルかなり上がったんじゃ・・・」
「そうですね・・・私は15上がりましたね。」
「15ぉ!?うぅ・・・私置いてけぼりだよぉ・・・」
葵ちゃんのレベルは確か、23だったっけ?ってことは・・・38になってる・・・私と10も違うよぉ・・・
「まぁまぁ、これから強くなるよ。あ、そうだ。そう言えば、レベル30になった時に、何かステータス変わらなかった?桐翳さん。」
「そう言えば・・・」
「え、レベル30になると、何か変わるの?」
私がそう言うと、マガラさんが会話に混ざってきて、
「勇者の称号を持つ人は、ある一定のレベルになると、スキルが変化したり、ステータスが大幅に変わったりして、一気に強くなるそうですよ。」
「あぁ、そういや、俺のステータスも大分変わってたぞ。」
さらに会話に入ってきたのは、神凪くんと良く一緒にいる、東宮くんだった。
「そう言えば、東宮くんも2人と一緒にユニークモンスターを倒したんだっけ?」
私が聞くと、
「そうそう。俺はレベルそんなに上がらなかったけどな。」
「本当!?」
私は、仲間を見つけた嬉しさで、つい笑顔で聞き返しちゃった。・・・そう、聞き返してしまったの。
「あぁ、10しか上がらなかった。」
「そっか。私とあんまり上昇値変わらないね。」
「あぁ。ただ、俺の元のレベルが27だったから、今の俺は37だな。」
ピシッ!
・・・え?東宮くんってそんなに高かったの?
「そう言えば東宮君は、迷宮に潜る前は、皆の中で1番レベルが高かったですよね。」
「そ、そうなの!?」
初耳だ。
「私は一応、クラスの皆のステータスとレベルは把握しているので・・・」
何この完璧超人!?妬ましいよぉ!!
「くぅっ・・・東宮くんに裏切られたぁ・・・」
「別に俺は裏切ったつもりは無いんだが・・・」
言い訳無用!なんて酷い人なの・・・
「んで、さっきの話聞いて、気になって勇者の称号を鑑定してみたんだが・・・」
「何か書いてあったのかい?」
「あぁ。最初に鑑定した時には無かった説明文が追加されてた。」
「何て書いてあったんだい?」
「自分で見た方が早いと思うんだが・・・まぁいいか。もしかしたら、レベル30に達してない綾小路には、まだ説明文が追加されてないかもしれないしな。」
そう言われて、私は(レベル30にもなってなくて悪かったね!)と思いながら、勇者の称号を鑑定してみた・・・んだけど、やっぱり説明文は追加されてなかった。
「うん。私には追加されて無いよ。」
「やっぱりか。多分これ、レベル30にならないと追加されないみたいだな。・・・あぁ、内容だったな。どうやら、マガラさんの言ってた、ある一定のレベルが表示されてるみたいだ。」
「つまり、書いてあるレベルに達した時、変化が起こる・・・ということでしょうか?」
「多分な。で、そのレベルなんだが、まずは30だ。」
「まぁ、それはそうだろうね。」
「んで、次に55、75、100、120、145、175、200、300、500、1000って感じだ。」
「200からの振れ幅が、かなり大きいよね。それに、レベルは1000で終わりなのかな?」
私が聞いてみると、
「それは分からねぇな。この効果が1000で終わりなのか、レベル自体が1000で終わりなのか、それとも1000になったら、新しく追加されるのか・・・」
「2つ目の推測は違いますよ。」
と、東宮くんの疑問に、マガラさんが答えた。ってことは、レベルは1000で終わりじゃないってことかな?
「レベル自体は、上限が無いとさえ言われています。」
「そ、そうなんですか?ってことは、僕達はいくらでも強くなれるってことですよね!?」
聖くんは、ちょっと嬉しそうに言った。でも、
「理論上はそうなのですが、レベルは200になると、急激に上がりにくくなるのです。」
「それは、具体的にはどれくらいですか?」
今度は葵ちゃんが聞いた。でも、私はこのあと、聞いてしまったことを後悔した。だってーーー
「そうですね・・・具体的に言えば・・・成長速度を上げる系のスキルを持ってない人が、SSSランクの魔物を10体以上倒して、ようやくレベルが1上がるくらいでしょうか?」
「「「「・・・・・・マジですか?」」」」
4人がハモった。それくらい衝撃的だったから。えぇ!?だって、SSSだよ!?それを10体倒してようやく1上がるの!?おかしくない!?
「まぁ、皆さんは勇者なので、成長速度はかなり早くなるでしょうから、最終的には、SSS1体で5くらい上がるようになるんじゃないでしょうか?」
いやいやいや!それでも少ないよ!そんなのでどうやってレベル1000までいけって言うの!?
「・・・何だかちょっと、絶望というのを味わった気がするよ・・・」
聖くんが、露骨に落ち込んだ。そりゃそうだよ!
「私達は、少し慢心してたのかも知れませんね・・・」
葵ちゃんが、かなりショックを受けてる。慢心してなくても、現実は変わらないよ!
「俺達は・・・その境地まで辿り着けんのか・・・?」
無理だよ!諦めようよ!きっとそこまでいかなくても、魔王は倒せるから!
「あ、あのマガラさん。今までの勇者は、どれくらいのレベルで魔王を討ち取ったんですか?」
「えぇっと・・・単独で倒した方は、確かレベルが300だったかと。」
『300!!?』
皆びっくり。ていうか、皆聞いてたんだね・・・
「じゃ、じゃあこの数なら、どれくらいなら勝てると思いますか?」
私は、勇気を振り絞って聞いてみた。聞くのが怖いけど、きっとまだ希望はあるはず!
「そうですねぇ・・・今回の魔王は、今までより桁外れに強いらしいので、皆さん全員で挑むとしても、レベル250は欲しいかと・・・」
『・・・』
皆、もう無言だった。だって、今までより桁外れに強くて、レベルを250まで上げないといけないのだから。
「そ、そうだ!EXランカーの人でも勝てないんですか!?」
と、誰かが聞いた。確かに、EXランカーは、SSSランカーよりも桁外れに強いのなら、もしかしたら魔王にも・・・
「それが・・・勇者以外の人には、魔王を殺しきることが不可能なんです。魔王を倒す為には、勇者だけが修得できる、『魔王撃滅の煌』を使うほかにないのです。もちろん、ダメージを与えること自体は、他の人にも出来るのですが、トドメはこれじゃないと・・・」
トドメはってことは、それまでは他の人でも良いんじゃ・・・そう言おうとした時、
「それに、EXランカーの人は自由気ままで、何処にいるかも分からず、仮に見つかっても、参加してくれるかどうかは、その人の気分次第なので、全くアテにならないんですよ。」
そう言われてしまった。その瞬間、皆が、
(そんな性格なら仕方がない)
と、諦めたみたい。
「っと、そんなことを話している内に、王城が見えましたよ。・・・ちなみに、勇者ともあろう方々が、自分達にしか出来ないことを他人任せにしようとするのは、私は好ましくありません。もちろん、勇者といえど、元々は私達と同じ人間ですから、他人任せにしようと思いたいのは分かります。ですが、どうか自分達の責務から、逃れようとはしないで欲しいのです。そのような人間は、いずれとんでもない罪を犯してしまいますから。」
最後に、マガラさんからお説教をされてしまった。言われてから、私達は大事なことに気が付いた。確かに私達は、責務から逃れようとしてた。だから、マガラさんに対して、何も言えなかった。ただ、
『すみませんでした。』
と、皆一斉にマガラさんに謝った。
「・・・分かっていただければ良いのです。さぁ、もう王城です。今日はもうお休みください。また明日から、いつもの稽古もあることでしょうしね。」
『はい!』
そうして、私達は王城に帰ってきたのだった。
マガラさんええこと言うわ~。
はい。マガラさんにこんなことを言わせた作者は、思い切りマガラさんの言葉に反してます。だって人間だものカタ:(ˊ◦ω◦ˋ):カタ
次は、第2章主要人物紹介になりますね。・・・めんどくs・・・あぁ、いえいえ何でもありませんよ、はい。それでは。