たとえ世界が終わっても
書き溜めのほうでは最後まで書ききりました!あとは投稿だけです!ありんこ、かけあーし!
人外の存在って本当に「人間」って呼んでくるんだな。犬に「犬」って呼びかけてるようなもんだと思うんだけどな。……いやまあ、そんなことはいいや。
「吊られてるひとね、あなたたちのことをゴミ程度にしか思ってないわ。八つ当たりで人類を滅ぼすかもしれないわよ。封印を解くなんて、そんなことよした方がいいわ」
似たような髪型で同じ制服。同じ高校だ。あと印象がどことなく依に似てるけど嫌な感じのする女だった。
でも嘘は言っちゃないね。吊られてるこいつが人類をゴミ程度にしか思ってないのも八つ当たりで人類滅亡も警告すら本当のことだ。
むしろそれに何一つ反論できなくなっちまってる依が俺を騙してるとも言える。だが、この女に従うわけにはいかねえな。
「弓削、……」
「安心しろよ。ちゃんと解いてやるさ。だから依、そいつ足止めしててくれ」
振り向いて見た依の顔はほとんど原形を留めていなかった。あの時はどうにかこらえたが、ありゃ誰が見ても嘔吐必至だわ。つかよく人の声が出せたよな。
目は複眼が三つと、猫みたいに瞳孔の縦に裂けたのが八つ。他にも色々。一つだけもともとの、アーモンド形の色素薄めの目があった。それを覗いて、無理やり笑う。
「こいつを解けば、お前の勝ちなんだろ?」
依の表情が変わったが、どういう表情からどういう表情に変わったのかわからなかった。顔以外も滅茶苦茶だった。全体として二三倍大きくなっている。蹄のある足が六本。翅があって、長い爪の鳥みたいな長い脚は天井を向けて伸びていた。
「ええ。私を勝たせて」
わかった。まだ生ぬるい依の骨を、一番内側の円に突き刺す。ここの床はけっこう柔らかいんだな。ザラザラって、砂岩みたいだ。V字だったか。任せろ。
「な……何でよ!」人間じゃないくせに依よりずっと人間らしい顔をしたヤツが叫んだ。「あなたは人間でしょ!?どうして自分たちを滅ぼすような選択ができるの!なぜ私を選ばないの!?」
何で何でって、決まってるじゃねえか。
「人間ってな、99と1でいつも99を選ぶわけじゃねえんだよ。99を捨てても惜しくない1だってある。……俺にとって、それが衣川依だ!」
「やめてぇえええええええ!」
絹を裂くような悲鳴とともに一つ目のV字が床に刻まれた。だが……どうも様子がおかしい。
「……ふざけないでよ、焦っちゃったじゃないのよ。焦らせてくれたわね、ねえ」
体が動かない。いや、動いてはいる。ただしそのスピードは異様に遅れている。急いでも急いでも、のろのろとしか動かない。
「こんなはずがない。不自然だわ……お前が人間であるわけがない」
足音からして、あの女は普通に動いてるみたいだな。時間が加速とか何とか……依よ、ひょっとしてお前も動けないのかよ。時間稼ぎどうしたよ。くそっ。
のろのろとしか動かない手をできるだけ速く動かして、最初の刻印から離す。あと二つ。あと二つだ。女の足音は俺のすぐ後ろまで来て、そこで止まった。
「その不自然な生は、ここで終わらせてあげるのが一番かしら」
静寂だけでこんなに死を間近に感じるとは思わなかった。
「じゃ……ま……を……」その静けさに割り込んできた依の声は最初、妙に間延びして聞こえた。「……するなッ!」
何か重たいものがぶつかり合う衝撃音の後に悲鳴が聞こえて後ろの女が吹っ飛んだ。
女子高生が元型とどめてないですね。




