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依代と神殺しの剣  作者: ありんこ
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復☆活

 依ちゃん復活。

 爆ぜたり溶けたりもしたけれど、私は元気です。映画のキャッチはそのあたりかしらね。優しい絵柄で、美しい背景なのが目に浮かぶようだわ。

 ま、それが爆ぜたり溶けたりするのだけど。

 爆ぜ溶けた私は、しばらくして再生した。血と肉片でできたお風呂に肩までつかるような状態で目が覚めたわ。まあ不快だけどこんな狭い湯舟じゃ当然よね。

 しかし、どうしたものかしら。湯舟には栓をしておいたから排水管が人間で詰まるってことはなさそうだけど、このまま放置するわけにもいかないわね。業者さん呼ぶと説明が面倒だし……内内で処理したいわ。

 そうだ食べちゃおう。両手を筒状の消化器官に変えてずずずと自分ミンチを吸い込む。もちろんだけど人間の味よ。

 え?ああ、手ね。

 なんかもうその時には形を変化させるのが当たり前みたいになってたから説明が遅れたわ。私たちってね、本性は不定形なゲル状というかなんというかそういうものなんだけど、かなり変形が効くらしいの。それこそ何にでもなれるわよ、蚊でも豆でもネズミでも恐竜でも人間でも。

 後にはステンレススチールのよくある台所の包丁が転がるだけとなった。後で研いだ方がいいかしら。

 お風呂を片付けた私はついでに壁に留まっていた蠅を飲み込んで、タオルが汚れたりするのが嫌だったから、軽く体をシャワーですすいでから外へ出た。

 もう外は暗い。八時半か。だいぶ長い間ミンチだったのね。おじいちゃんが心配だわ。また服を着て、台所の案件を思い出した。あー……さすがに夏だし、あまりほっとくと臭うわね。片付けましょうか。

 え、どうやって片付けるかって?決まってるじゃない。食べるのよ。グチョグチョになった床に裸足の指先を浸した。

 あとは風呂場と同じ、ずるずると吸い込んでいく。残った固形物も足にくっつけた口で処分よ。好き嫌いがないから大掃除の時にも便利ねえ。そんな顔しないで、割とおいしかったから。

 そういう問題じゃない?……あらそう。

 閑話休題。

 私自身は、私が思うところではこれといって心配な部分もなかったから良しとしたわ。心配なのはおじいちゃんよ。ただでさえ参ってるってのに、助けるって宣言した私があのざまじゃ悲観して首でも吊りそう。まあ吊るほど自由もないでしょうけどね。

 吊し上げられてはいたわけだけど。

 早いとこ、戻ったって知らせてあげなくちゃ。

 そういえば今日おじいちゃんとも弓削とも接触しなかったわ。依代に来られるならもうとっくに私に接触しているはず。それがないということは、ずいぶんまずいのではないかしら?

 本体との意思疎通は果てしなく難しいでしょう。でもその点については夜が私の味方よ。ベッドの下から誠一さんにもらった旧式の懐中電灯を取り出す。ぎこぎこぎことハンドルを回して充電した。

 よし、点く。

 あとは……タオルと水でも持って行っておこうかしら。もちろん掃除よ、体のね。

 奥さんが体を洗ってくれているかもとは思うけど、奥さんには会えてないみたいだからないと思うべきよね。濡れタオルを手に持って歩くのも難だからスーパーの袋でも持っていきましょうか。

 でかい家の前を通り過ぎるとき、でかい犬がわざわざ起きてきて吠え掛かってきた。理由は何だかわかっているけれど、何だい、昼間はあんなにしっぽ振ってたくせにさあ。

 ちょっとムカッとして睨み付けたら尻尾を巻いて小さくなったの。かわいそうになってきたからさっさと通り過ぎたわ。

 心配しました?わりと丈夫です。

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