葉山君奮闘記〜彼が大佐に上り詰めるまで〜
はいどうもお久しぶりですスイマセンゴメンナサイこめです;;
今回より始まりましたこの葉山君奮闘記、不定期連載になってます。というのも外伝には2種類ありまして、この奮闘記とほのぼの閑話の二つです。基本的にどちらもショートショートなのでなるべく同時に書いていきたいとは思ってるのですが、生来のモノグサっぷりを見る限りどうなることか・・・。まぁともあれ全力で頑張って行きます。夏のコミにでようかなんてアホ企画も進行中ですし、気合入れ直していきますです、はい。
「うわぁぁぁぁ!?」
右も左も分からない。どっちが上でどっちが下かも、っていうかここは何処なんだコンチクショーーーーー!!!
葉山は半泣きになりつつぐるんぐるん回りながら落下していた。方向も分からないし真っ暗で何も見えないので落ちる、という感覚は無かったが、それでもとにかく落下していた。真夜中にスカイダイビングしているようなものだと思えば良い。まぁ夜の夜景なんて洒落た物は見えないし、ついでに言えばパラシュートも無い訳だが。
おかしい、と葉山は思った。先日行方不明になった日野兄妹を探るため家に忍び込んだはいいが誰もいなかった。それでも手がかり位ないかと家を荒し・・・もとい、探索していたのだが、ふと気づけば二階が明るくなっていて、光源の部屋に行ってみると黒いカーペットみたいなのが光っていて、つい興味本位で近づいたら吸い込まれて、今に至る。よし、状況把握カンペキ。流石俺!!
(ってだから何なんだよこの状況は!!!?)
回転率が上がってきてまともに声も出せなくなったので心の中で全力で突っ込む。行方不明になった友人宅に行ったら謎アイテムに吸い込まれて訳の分からない事に?どこのファンタジーなRPGだか。
(・・・待て。待てよ。ファンタジー?・・・・・・もしかして俺は今、ファンタジーな世界
に飛び込もうとしているのか!!?)
少なくとも何故こうなったのか、現実的に説明することは葉山には不可能だった。だが今の状況をファンタジー的な物だとすれば、色々と前向きに事を考えることが出来る。
(つまりアレだな?俺は今剣と魔法溢るる素敵世界へとジャンプしようとしているんだな!?そして恐らく日野兄妹もそこにいる。訳も分からず変な所へ飛ばされて、お約束的にモンスターに襲われ、トウマ頑張るもやられて、野々香ちゃんが必死にトウマを揺すりながらお兄ちゃんしっかり!だれか、だれか助けて!そこへ颯爽と俺、参上!とぉぉぉぅ!野々香ちゃん、ここは俺が食い止める!君達は先に逃げろ!!先輩?先輩が何故ここに!?それは後だ、いいから逃げろ!!的な展開がまっているんだな!!?)
後半の妄想はともかく、前半はほぼ当たっている辺り恐ろしい男である。と、葉山は徐々に周りが白み始めた事に気が付いた。
(おぉ、もしかして抜けるのか?あ、ついたらまずどうしよう。やっぱ酒場で仲間集めか?それとも証を三つあつめて伝説の退魔剣GETか!?いやいや先に所属国決めないとか!)
そんな阿呆な事で悩んでるうちに回りは一気に白み。
彼は望みどおり、剣と魔法溢るる素敵世界に放り出される事になる。
・・・まぁ、幸先はお世辞にも良いとは言えない物になるのだが。
「・・・・・・Why?」
思わず英語で言ってしまうほど、葉山は状況に付いていけなかった。彼が今いる場所は、固く冷たい石造りの部屋で、中には汚いベッドが一つのみの実に寂しい部屋だった。石の壁の内、一方向だけは檻のようになっていて、反対側に同じような部屋で、やせ細り、髪も髭も伸び放題の汚らしい男がいびきをかいて寝ているのが見える。彼の腕には黒く重たい手錠が、彼の脚には足枷がつけられていた。無論葉山も同じだ。これが今の状況である。
一般的に、投獄されている、とも言う
「・・・・・・何故にWhy?」
誰にでもなく、もう一度言ってみる。答えが返ってくる訳が無かった。