新しい家族との一日 二
はい、皆さんこんにちは。アリシアです。
今回も会話成分多めの回となっております。
「もう二人とも知らない!」
私はそう言って、レミリアと咲夜さんの居る部屋から
右腕で顔を隠すようにして出る
そして長い廊下を走っている時だった。
「わっ!」
「きゃっ!」
突然何かにぶつかって、私はそのまま後ろに尻餅を付く。
「いたたた...もー、あれほど咲夜さんが廊下を走っては駄目と言っていたのに忘れたのですかぁ…」
「ご、ごめんなさい…」
誰にぶつかったのかはわからないが
前を見ずに走っていてぶつかったのは事実であるため謝罪をし
そのすぐ後に…。
「え…、ご、ご主人様?!」
「へっ…?」
ご主人様と呼ばれ、私も顔を上げて相手を確認する
そこに居たのは美鈴だった。
「も、ももも申し訳ありません!お怪我はありませんか!?」
美鈴は慌てて、尻餅をついて倒れている私を抱え上げる
「ちょっ!美鈴!」
「どこかお怪我をされましたか!?」
「いやいやいや!そうじゃなくて!」
どうやら、美鈴は気付いていないみたいだが
この状況は非常にアレだ
一応、これでも男の私が、女性の美鈴に軽々とお姫様抱っこをされているのだ
つまり、客観的にはおいしいかもしれないが、さっきも言ったとおり私は男だ
プライドだってある…。
「…?やはりどこかお怪我を?」
「だから…あの…、下ろしてほしいかななんて…」
「あ…」
美鈴もやっと今ので気付いたらしく
顔が徐々に赤くなってゆく。
そしてそのまま、何も言わずに
ゆっくりと私を下ろす。
「ありがとう…、あの…、ぶつかっちゃってごめんね?美鈴も怪我してない?」
「……」
「あれ?おーい?美鈴聞いてるー?」
美鈴の目の前で手を振ってみるが反応がない
次に私は美鈴の手をとり、脈を確かめてみる。
「ん…、正常だな」
結果
どうやらこの人、何故か放心しちゃってます…。
「えっと…、門番の仕事頑張ってね?それじゃ、私は行くから…」
私はそう言って、立ったまま動かない美鈴を後に
長く続く廊下を、走らず歩いて行った。
……
あれからして、私は今どこに居るのかと言うと…
「どうぞ、ご主人様にパチュリー様」
「ありがとう小悪魔」
「ありがと、こぁ」
「どういたしまして」
私は小悪魔が淹れてくれた紅茶を飲み、一息つく。
「にしても、よくここに来れたわね」
「えぇ…、まぁ…、がむしゃらに歩いてただけですが…」
そう、私は今
パチュリーと小悪魔の居る図書館へと来ていた。
いや…、もうほんと…
廊下長すぎて、途中で倒れるんじゃないかと思うくらいに歩きましたよ…。
「で、あと気になってる事があるんだけど…」
「言いたい事は何となくわかりますが…どうぞ」
「どうして女装なの?」
ですよねー、いつの間にか紅魔館の主になっている私が
何故に女装をしているのかと普通気になりますよねー。
「いろいろとあったんです…」
私はそう言った後、何故女装をしているのかを
パチュリーに説明をした。
~メイド姿の主人公、説明中~
「とまぁ、いろいろとありまして」
「やれやれ、レミィならともかく咲夜まで…」
パチュリーに何故、こんな格好をしているのかを説明し
それを聞いたパチュリーはやれやれと言った顔をしている。
「まぁ、私からあの二人に言ってあげるわ」
「ありがとうございます、助かります」
天使や…、パチュリーが天使に見える!
「そうだ、こぁ~」
パチュリーが「こぁ~」と呼ぶと
「は~い」
本を3つほど抱えて、小悪魔がやってくる。
「こぁ、衣装の本をとってきてくれる?」
「わかりました」
小悪魔はパチュリーの指示を聞き
抱えていた本を机の上に置いて
ふよふよと飛び、どう考えても手の届く場所ではない所にある本を一冊手に取り
また戻ってくる。
「これですね?パチュリー様」
「えぇそうよ、ありがと、こぁ」
小悪魔は「はい」と返事をし
再び机の上に置いていた本を持ってどこかへと行く。
「優秀ですね」
「えぇ、あの子が居て本当に助かってるわ」
パチュリーは私の一言に対して返事をしながら
小悪魔が持ってきてくれた本をパラパラパラとページをめくってゆく。
「えぇっと確か…、あったあった」
どうやらお目当てのページを見つけたらしく
パチュリーは少し真剣に本を読む。
「ふむ…、よし、じゃあアリシアさん、今から魔法をかけるからそこを動かないでね」
「え?」
パチュリーは私にそういうと
呪文のようなものを唱え始める。
そして、魔法の円陣みたいなものが私の足元に現れ
次の瞬間。
ボンッ!
ボンと音をたてて、白い煙が私を囲む
そして、煙は徐々に消えていき
すると…。
「よし、成功ね」
「え…、あ」
私は自分の体を見て気付く
先ほどまで着ていたメイド服が、なんと男性物の、執事服のようなものに変わっていた。
「おぉ!?おー!!」
メイド服と言う名の呪縛が解き放たれ
大喜びをする私。
「服装を変えただけなんだけど…、そこまで喜んでもらえてよかったわ」
「ありがとう~、パチュリー!」
そう言って、私は無意識にパチュリーに抱きつく
「むきゅ!?」
私が無意識にパチュリーに抱きついていると
小悪魔が「パチュリー様~、終わりましたよ~」と言いながら戻ってくる。
そして、この私とパチュリーの光景を見た瞬間
「パ、パチュリー様!?」
と、どこか慌しく名前を呼んでいるので
私も慌ててパチュリーを見る。
「我が生涯に一片の悔いなし…むきゅ~」
と、どこかの世紀末覇者が言いそうな台詞を言った後
顔…というか頭?
とにかく湯気みたいなものをぷしゅ~と出しながら、気絶するパチュリー。
その後、小悪魔がパチュリーを介抱していたのは言うまでもない。
今回はここまで、次回もまた会話成分多めの回になります。