虚空
人と人との関わりなんてどうでもいい。
自分という存在を誰かに知ってもらう必要もない。誰かに必要とされる存在でも有りたくない。
必要とされている分だけ、存在に重みが増す。
失った分だけ、損失は大きい。
誰かに必要とされる存在ではなく、誰にも必要とされない存在でありたい。
だが、実際にはうまくいかないものだ。
嫌われるようなことでもすれば誰にも必要とされない存在なれる。
いや、そうではない。
他人の生涯を邪魔をする筋合いはない。邪魔される筋合いもないわけだが。
目立たないところで、自分のやれることができればそれでいい。
そうさ、つながりがあるからこそ幸福とは裏腹に不幸という重いものがあるのだ。
自分はそんな重いものに取り付かれるぐらいなら、最初から関係なんて持ちたくない。
むしろ、くだらない充足なんて捨てたほうが身が楽だ。
そう、自分という存在なんて─
旅人「ふぅ・・・、ここらへんで一休みでもするか。」
─そういって、岩場に座りこみ水を飲む
旅人「・・・ん?もう空っぽか・・・。」
─ビンの中は最後の一滴だけしか残っていなかった
さっき通った川で水を補給しとくべきだったか・・・。
─そう言って、彼は川のあるところへと戻っていく