第64話『トッププレイヤーの帰還』
ハヤトが嵐のように去っていった後、俺たちは顔を見合わせ、そしてどちらからともなく吹き出した。
「……あいつ、最後まであいつらしいな」
「ええ。ですが、不思議と嫌な感じはしませんでしたね」
レオンが同意するように頷く。
「うん! なんか、ちょっとだけカッコよかったかも!」
ポポロの意外な感想に、俺たちはまた笑った。
好敵手の存在は旅をもっと面白くする。
俺は心の底からそう思った。
それから俺たちは、近くの街に拠点を移した。
旅立ちの準備のためだ。
レオンは図書館に通い詰め、この変質した世界の法則について研究を重ねている。
アリアはなまった体を鍛え直し、新しい脅威に備えている。
ポポロとグリは街の子供たちとすっかり仲良くなっていた。
俺はそんな仲間たちの姿を眺めながら、拓也からの最初の「クエスト」の詳細が届くのを待っていた。
数日後。
俺の頭の中に、拓也からのはっきりとした「通信」が入った。
`―――聞こえるか、ケンタ。準備はできたか?`
「ああ。いつでもいけるぜ、先輩」
`―――最初の目的地が決まった。大陸の東、『嘆きの沼』だ。そこで大規模な時空の歪みが確認されている。おそらくシステムのバグが集中しているんだろう。原因を調査して、可能なら修正してほしい`
嘆きの沼。
聞いたこともない土地だ。
そこから、俺たちの新しい冒険が始まる。
俺は仲間たちを集めた。
そして拓也からの最初の指令を告げた。
誰も反対する者はいなかった。
その顔には不安よりも期待の方が大きく浮かんでいた。
旅立ちの日の朝。
俺たちは街の門の前に立っていた。
朝日が俺たちの行く先を照らしている。
「……なあ、ケンタ」
アリアが不意に俺に問いかけた。
「お前のその……頭の中に響く神々の声というのは、今も聞こえているのか?」
「ああ。まあ、前よりずっと静かになったけどな」
そうだ。
俺と神々との繋がりは、まだ続いている。
俺の冒険は、まだ彼らに見られているのだ。
だが、それはもう一方的な「配信」じゃない。
俺は空を見上げた。
どこかで見ているであろう神々と。
そしてシステムの中心で、この世界を見守っているであろう先輩に。
俺は最高の笑顔で宣言した。
それは、この新しい物語の開幕を告げる高らかなファンファーレ。
「見てるか、先輩。
そして、神様たち。
あんたが作った新しい世界の、最初のイベントだ。
―――最高の配信にしてやるよ!」
俺たちは朝日の中を歩き出した。
まだ誰も知らない未来へ。
終わりなき冒険へと。
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完
ついに、最終話を、迎えることができました。
ここまで、この長い、長い物語に、お付き合いいただき、本当に、本当に、ありがとうございました。
神々のピエロだった、一人の青年が、仲間と出会い、絶望を知り、そして、自らの意志で、新しい道を、切り拓いていく。
彼の物語は、ここで、一つの、大きな、区切りを、迎えます。
しかし、彼らの冒険は、終わりません。
新しい世界、新しい仲間(?)、新しい脅威。
彼らの前には、まだまだ、広大なフロンティアが、広がっています。
初代調整役となった、拓也。
新たなライバルとなった、ハヤト。
そして、不穏な動きを見せるであろう、邪神たち。
彼らが、これから、どんな物語を、紡いでいくのか。
それは、また、別の、お話。
もし、いつか、また、彼らの冒険の、続きを、お見せできる日が、来ましたら。
その時は、どうぞ、よろしくお願いいたします。
改めて、最後まで、読んでいただき、心から、感謝を。
皆様の未来に、最大級の【祝福】があらんことを。
作者より




