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【二作目・完結済み】異世界冒険をライブ配信中! 『神々(視聴者)』からの『恩寵(投げ銭)』でスキルを買って魔王を倒します!  作者: 立花大二
第二部:世界の亀裂

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第51話『勝敗』

 どれだけの時間、殴り合っていただろうか。

 もうお互いに拳を上げる力すら残っていなかった。

 俺とハヤトは泥だらけの地面に大の字になって倒れ込み、ぜえ、ぜえ、と荒い息を繰り返していた。

 空がやけに青く見えた。


「……はあ……はあ……なんでだ」


 ハヤトがかすれた声で呟いた。


「なんで武器を捨てた……。非効率な……馬鹿げた行動だ……」

「……うるせえな」


 俺も息も絶え絶えに答える。


「お前みたいに頭でっかちに最適解ばっか探してるから……足元すくわれるんだよ、バーカ……」


 子供の悪口の言い合いだった。

 俺たちは二人して、ふっと笑った。

 なんで笑っているのか、自分でも分からなかった。


 やがて俺は最後の力を振り絞って、ゆっくりと、本当にゆっくりと体を起こした。

 膝ががくがくと笑っている。

 視界がぐらぐらと揺れる。

 だが、俺はなんとか自分の足で立った。


 ハヤトも立ち上がろうとした。

 だが、彼の体はぴくりとも動かなかった。

 俺の渾身の一撃が、彼の体のどこか大事な部分を壊したのかもしれない。

 あるいは、彼の心が初めて経験する「理不尽な敗北」についてこられなかったのかもしれない。


 勝敗はついた。

 最後に立っていたのは、俺だった。


【神託】:……決まったか

【神託】:ケンタが……勝った……

【神託】:信じられない……。なんでだ?

【神託】:軍神マルス:……分からんのか。最後に勝つのは、より「勝ちたい」と強く願った者だ。ただ、それだけのことよ。


 マルスの言う通りなのかもしれない。

 理由は分からない。

 ただ運が良かっただけだ。

 俺が、少しだけあいつよりしぶとかった。

 たぶん、本当にそれだけのことだ。


 俺は倒れているハヤトの元へ、ふらふらと歩み寄った。

 そしてアリアとの戦いの後のように、彼に手を差し伸べた。


「……立てよ。お前の負けだ」


 ハヤトは俺の手を取らなかった。

 彼はただ仰向けに倒れたまま、憎々しげに俺を睨みつけていた。


「……殺せ」

「……また、それかよ」


 俺は思わず苦笑した。


「俺はお前を殺しに来たんじゃない。魔王と、話し合いに来たんだ」

「……無駄だ」


 ハヤトは吐き捨てるように言った。


「あの魔王はもう手遅れだ。対話など通じん。奴が望んでいるのは破滅だけだ。この世界の、システムそのものの……」


 彼はそこまで言って、はっと口をつぐんだ。

 そして何かを悟ったように、静かに空を見上げた。


「……そうか」


 彼は小さくそう呟いた。


「……そういうことか。お前は……俺がなれなかったものに、なろうとしているのか……」


 その言葉の意味は、俺にはよく分からなかった。

 だが、彼の目から初めてあの冷たい光が消えているのに気づいた。

 そこには、ただの敗北を知った一人の青年の、空っぽな瞳があるだけだった。


 俺は、それ以上何も言わなかった。

 仲間たちが俺の元へ駆け寄ってくる。


「ケンタ! 大丈夫か!」

「ケンタお兄ちゃん!」


 アリアとポポロが、俺の傷だらけの体を支えてくれた。

 レオンは倒れているハヤトを一瞥し、そして静かに言った。


「……行きましょう。道は開けました」


 俺は一度だけハヤトを振り返った。

 彼はまだ倒れたまま空を見上げていた。

 俺たちは彼をそこに残して、魔王城へと続く道を再び歩き始めた。

 勝ったのに、心は少しも晴れなかった。

 第51話を更新しました。

 長かった、勇者同士の決闘。ついに、決着です。

 勝ったのは、ケンタでした。

 

 スキルでも、ステータスでもない、泥臭くて、人間臭い戦いの果てに。

 

 今回の勝敗を分けた、決定的な要因。それは、**「仲間の有無」**ではないか、と。

 

 ハヤトは、常に一人で、己の力だけを信じて戦ってきました。

 しかし、その完璧な自己が崩れた時、彼には支えがなかった。

 

 一方、ケンタには、仲間がいました。

 彼が最後に立ち上がれたのは、「自分を信じてくれる仲間のために、この道を開きたい」という、一人ではない、強い願いがあったからかもしれません。

 彼の勝利は、決して運だけではなかったのですね。

 

 そして、敗北したハヤト。

 彼が最後に呟いた、「そうか」という言葉。

 彼は、この敗北によって、一体、何を悟ったのでしょうか。

 

 彼の物語は、まだ、終わっていないのかもしれません。

 

 しかし、ケンタたちの道は、先へと続きます。

 最強の番人を退け、ついに、彼らは、魔王の待つ城の、門をくぐります。

 

 物語は、いよいよ、最終決戦へ。

 

 お読みいただき、ありがとうございました。

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