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【二作目・完結済み】異世界冒険をライブ配信中! 『神々(視聴者)』からの『恩寵(投げ銭)』でスキルを買って魔王を倒します!  作者: 立花大二
第二部:世界の亀裂

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第39話『初代勇者の日記』

 螺旋階段はどこまでも続いているように思えた。

 どれくらい登っただろうか。息が切れ足が棒のようになってきた頃、ようやく俺たちは塔の最上階らしき場所にたどり着いた。

 そこは円形の、だだっ広い部屋だった。

 壁一面の本棚は変わらないが、部屋の中央には一つの石造りの台座がぽつんと置かれている。

 そして、その台座の上には一冊のひどく古びた本が、鎖で厳重に縛り付けられていた。


「……これか?」


 俺たちが探していたものは、おそらくこれに違いない。

 その本だけがこの塔の中で、特別な扱いを受けていた。

 俺はゆっくりと台座に近づく。

 本は革の表紙で装丁され、表紙には何も書かれていない。だが、そこからは今まで感じたことのないような強い魔力、いや、もっと別の複雑な感情の残り香のようなものが放たれていた。


【神託】:ついに見つけたか

【神託】:重要アイテムのオーラがすごい

【神託】:知恵の神オーディン:……間違いない。それは『初代勇者の配信記録』だ。


 初代勇者の配信記録?

 オーディンの神託に、俺は息をのんだ。

 つまり俺の前に、俺と同じようにこの世界に呼ばれた人間がいたということか。

 そして、その冒険もまた「配信」されていたというのか。


「レオン、この鎖、切れるか?」

「やってみましょう」


 レオンが鎖に手をかざし、呪文を唱える。

 だが、鎖はびくともしない。


「……ダメですね。強力な封印魔法がかかっています。物理的な破壊も、おそらく不可能でしょう」

「どうする、ケンタ殿」


 アリアが焦ったように言う。

 どうすれば、この封印を解ける?

 俺は鎖にそっと触れてみた。

 その瞬間。

 俺の右手の甲に、いつの間にか刻まれていた勇者の紋章が淡い光を放った。

 その光が鎖に触れると、まるで熱した鉄が氷に触れたかのように、じゅっという音を立てて鎖はあっけなく溶けて消えてしまった。


「……勇者の紋章に反応したのか」

「なるほど。勇者にしかこの封印は解けないように、なっていたわけですか」


 レオンが納得したように頷く。

 俺はごくりと唾を飲み込み、その古びた本をゆっくりと手にとった。

 ずしりと重い。

 それはただの紙の重さではなかった。

 この本に刻まれた、一人の人間の人生の重み。そんな気がした。


 俺は震える指で、その本の表紙を開いた。

 中にはびっしりと手書きの文字が綴られていた。

 それは日記のようだった。

 俺たちの世界、日本の文字で書かれた日記。


 俺は、その最初のページを仲間たちと、そして神々と一緒に、静かに読み始めた。


 ―――四月八日。晴れ。

 信じられないことが起きた。

 俺、佐藤拓也は、どうやら異世界という場所に勇者として召喚されてしまったらしい。

 目の前には女神様を名乗るきれいな人がいる。

 彼女は言った。俺の冒険は神々の世界でリアルタイム配信されるのだ、と。

 正直、まだ夢を見ているみたいだ。

 でも、もしこれが本当なら……すごいことじゃないか?

 俺みたいな、どこにでもいる普通の大学生が世界を救う英雄になるんだ。

 そして、それを神様たちが見ていてくれる。

 なんだかワクワクしてきた。

 やってやろうじゃないか。

 俺の最高の冒険が、今、始まるんだ。


 その最初のページは。

 希望と期待と、そして少しの戸惑いに満ちた、どこにでもいる若者の素直な言葉で綴られていた。

 まるでこの世界に初めて呼ばれた日の、俺自身の日記を読んでいるかのような、そんな不思議な感覚だった。

 第39話を更新しました。

 禁書庫の最上階で、ケンタたちが見つけたもの。

 それは、初代勇者が遺した「配信記録」でした。

 

 自分と同じ、日本から来た人間。

 自分と同じ、勇者として召喚され、その冒険を配信されていた男。

 

 その存在は、ケンタにとって、何を意味するのでしょうか。

 

 日記の最初のページは、希望に満ち溢れていましたね。

 今の、疑念に揺れるケンタとは、対照的です。

 この日記を読み進めていくことで、彼は、この世界の真実と、そして、勇者という存在の「闇」に、触れていくことになります。

 

 物語の核心に迫る、重要なアイテムの登場です。

 次回から、この日記の内容が、少しずつ明らかになっていきます。

 

 お読みいただき、ありがとうございました。

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