第31話『ポポロの悪夢 ~檻の中の孤独~』
……こわい。
さむい。
くらい。
ポポロは今、とってもこわい場所にいる。
ケンタお兄ちゃんも、アリアお姉ちゃんも、レオンお兄ちゃんもいない。
グリもいない。
ポポロ、ひとりぼっち。
ここは、あの場所だ。
ポポロがケンタお兄ちゃんに会う前まで、ずっといた場所。
ガタガタ揺れる荷馬車の檻の中。
鉄の匂いがする。
真っ暗で何も見えない。
手足を伸ばすこともできない、狭い、狭い箱の中。
パパとママは、どこへ行っちゃったんだろう。
森で木の実を採っていたら、急に大きな男の人たちがやってきて。
パパが「逃げろ!」って叫んで。
ママがポポロのこと、ぎゅってしてくれて。
それが最後。
次に目が覚めたら、ポポロはこの箱の中にいた。
ずっと、ずっと一人だった。
お腹がすいても、誰もごはんをくれない。
寒くても、誰も温めてくれない。
「出して」って叫んでも、誰も来てくれない。
泣いても、誰も慰めてくれない。
世界にたった一人ぼっちになっちゃったみたい。
その、どうしようもない寂しさが一番こわかった。
―――お前もすぐに、お父さんとお母さんのところへ行かせてやるよ。
―――奴隷として売られて、死ぬまで働かせてやるってことだ。
悪い男の人たちの笑い声が聞こえる。
いや。
いやだ。
パパ、ママ、助けて。
誰か、助けて。
幻だって分かってる。
頭のどこかで分かってる。
だってポポロは、もう助けてもらったんだもん。
ケンタお兄ちゃんが光る剣で、悪い人たちをやっつけてくれたんだもん。
でも、こわい。
あの時のどうしようもないこわさが、またポポロの心をぎゅってする。
もしまた一人ぼっちになったら、どうしよう。
ケンタお兄ちゃんたちもいなくなっちゃったら、どうしよう。
その不安が、ポポロをこの暗い箱から出してくれない。
(現実世界ではポポロはグリを胸が潰れるほど強く抱きしめ、その場にうずくまっている。「こわい、こわい……いやだ……」と、泣きじゃくっている)
「ポポロ! 大丈夫だ! 俺がここにいる!」
お兄ちゃんの声がする。
でも、遠い。
この檻のずっとずっと外から聞こえてくるみたい。
届かない。
ポポロの声も、届かない。
こわい。
寂しい。
誰か。
誰か、この冷たい檻を、壊して。




