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【二作目・完結済み】異世界冒険をライブ配信中! 『神々(視聴者)』からの『恩寵(投げ銭)』でスキルを買って魔王を倒します!  作者: 立花大二
第一部:配信者と勇者

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第19話『マイナス』

 炎上は収まらなかった。

 俺の視界の端で、絶えず悪意に満ちた【神託】が流れ続けている。それはまるで、止むことのない呪いの言葉のようだった。

 俺たちは結局、グリフォンの頭部を持って崖を降りた。雛たちをどうすることもできずに、あの場所に残して。アリアが近くにあった木の実をいくつか置いていたが、気休めにしかならないだろう。親を失った雛が野生で生き延びられる可能性は限りなく低い。


 その事実が鉛のように重く、俺の心にのしかかっていた。

 道中、パーティの会話は完全になかった。

 誰もグリフォンの雛のことには触れない。触れられないのだ。

 アリアは唇を固く結び、レオンは眉間に深いしわを刻んでいる。ポポロはただ黙って、俺の服の裾を握りしめていた。

 俺のせいで、またパーティの空気を最悪にしてしまった。

 手柄を立てて信頼を取り戻すはずだったのに。結果は真逆だった。


 ギルドに戻り、討伐証明を提出する。

 ギルドマスターのドワーフはグリフォンの首を見て「おお!」と目を見張り、俺たちの肩を力強く叩いた。

「見事だ、若者たちよ! これで街の空路も安全になる! Aランクへの昇格を推薦しておこう!」

 周囲の冒険者たちからも、賞賛と歓声が上がる。

 だが、その声は今の俺には何一つ届かなかった。

 俺たちは英雄なんかじゃない。

 ただの、親殺しだ。


【神託】:こいつら、ギルドでは英雄扱いかよ

【神託】:真実を知らないってのは、幸せだな

【神託】:ケンタのあの罪悪感に歪んだ顔、最高に飯がうまい


 悪趣味な神託が俺の神経を逆なでする。

 報酬の金貨を受け取ったが、その重みすら感じなかった。


 その時、俺の体に異変が起きた。

 急に全身から力が抜けていく。体が鉛を飲み込んだように重くなる。

 立っているのがやっとだった。


「……っ」


 俺はふらりとよろめき、壁に手をついた。


「ケンタ殿? どうした」


 アリアが訝しげに声をかけてくる。


「……いや、なんでもない。少し、疲れただけだ」


 嘘だった。

 俺はステータスウィンドウを開いて、原因をすぐに理解した。


---------------------------------------------------

名前:ケンタ(鈴木 健太)

称号:配信者、人非人

レベル:12

HP:58/80

MP:25/40

スキル:初級剣術、身体強化(小)

所持祈力:-8540


※【呪詛】状態:全てのステータスが大幅に低下しています。

---------------------------------------------------


 称号に、「人非人」が増えていた。

 そして所持祈力がマイナスになっていた。

 神々から浴びせられた大量の【呪詛】が、俺が今まで稼いできた祈力をすべて食い潰し、借金状態にまで陥らせていたのだ。

 【呪詛】状態。そのペナルティのせいで、俺の体はレベル1の頃よりも弱くなっていた。


【神託】:お、マイナスになってるじゃん

【神託】:ざまあw

【神託】:これ、スキルも使えなくなるんじゃね?


 試してみようと【身体強化】を発動させようとする。

 だが、体に力が入らない。スキルは祈力を消費して発動する。その祈力がマイナスなのだから、使えるわけがなかった。


 絶望的な気分だった。

 俺からこの配信システムを取ったら、何が残る?

 ただの何の力もない、元の世界の俺だけだ。

 いや、元の俺よりもっと悪い。仲間からの信頼も、視聴者(神々)からの信用もすべて失った。おまけに多額の借金(マイナス祈力)まで背負っている。


 俺は、どうすればいいんだ。

 これから、どうやって戦えばいい?

 どうやって、このマイナスを返済すればいい?


 何もかもが分からなくなった。

 俺は仲間たちに何も告げず、ふらふらとした足取りで宿屋へと向かった。

 誰とも話したくなかった。

 ただ一人になりたかった。

 第19話を更新しました。

 炎上の代償。それは、ケンタの心身を蝕む【呪詛】でした。

 称号に「人非人」が追加され、祈力はマイナスに。スキルも使えない。

 まさに、どん底の状態です。

 

 今まで、この配信システムをうまく利用して(あるいは流されて)強くなってきたケンタ。

 そのシステムそのものから、今度は罰を与えられます。

 

 彼が唯一の拠り所にしてきたものが、牙をむいた瞬間ですね。

 この状況、見ている神様たちの中にも、さすがに「やりすぎでは?」と思っている人がいる……かもしれません。

 

 仲間とも断絶し、力も失い、孤独に陥るケンタ。

 彼は、このまま潰れてしまうのでしょうか。

 

 次回、ケンタ、引きこもります。

 お読みいただき、ありがとうございました。

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