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【二作目・完結済み】異世界冒険をライブ配信中! 『神々(視聴者)』からの『恩寵(投げ銭)』でスキルを買って魔王を倒します!  作者: 立花大二
第一部:配信者と勇者

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第12話『探るような目』

 オークキング討伐の熱狂は、数日経っても街に残っていた。

 どこを歩いても「英雄様だ」と指をさされる。

 正直、居心地が悪い。

 俺たちは早々にこの街を離れたかったが、アリアの怪我がまだ完治しておらず、出発できずにいた。


 その夜も、俺たちは宿屋の食堂で夕食をとっていた。

 ポポロは子供用の椅子に座り、シチューを一生懸命にスプーンで口に運んでいる。

 その姿だけが、今の俺にとって唯一の癒やしだった。


「――あなたが、噂の勇者ケンタ殿ですかな?」


 不意に声をかけられた。

 振り向くと、そこに一人の男が立っていた。

 歳の頃は俺と同じくらいか、少し上か。

 痩せぎすでローブのようなゆったりとした服を着ている。

 色素の薄い髪に、理知的な光を宿した眼鏡。

 その佇まいは、この宿屋に集まる荒くれ者の冒険者たちとは明らかに異質だった。


「……そうですが」

「これはご丁寧に。私はレオンと申します。しがない魔法の研究者でしてね」


 レオンと名乗った男は優雅に一礼した。

 その所作には育ちの良さがにじみ出ている。


【神託】:お、新キャラ

【神託】:魔法使いか。仲間になるのか?

【神託】:なんか胡散臭いなこいつ


 俺も神託と同じ感想を抱いた。

 男の笑顔は完璧だったが、その眼鏡の奥の目が笑っていない。


「何か用ですか?」

「ええ、少し。あなた方のオークキング討伐のお話に、大変興味がありまして」


 レオンは俺の許可も得ずに、向かいの席にすっと座った。

 そして、単刀直入に切り込んできた。


「単刀直入にお聞きします。あなた方はどのような『奇跡』を使って、あのオークキングを討伐なされたのです?」


 奇跡、という言葉を彼は妙に強調して言った。

 俺とアリアの間に緊張が走る。


「……奇跡とは?」


 アリアが低い声で問い返す。


「おや、ご存じない? あのオークキングが倒された日、この街の魔術師たちが上空に膨大な魔力反応を観測したのですよ。まるで天から力が降り注いだかのような……ね」


 こいつ、知っているのか。

 いや、知っているというより、確信に近い推測をしている。


「偶然や幸運で、あのオークキングを倒せるはずがない。そこには何かしらの『法則の外の力』が介在したはずだ。私は、その力の仕組みに純粋な研究者として興味があるのです」


 レオンの目が俺をまっすぐに射抜く。

 獲物を観察するかのような、すべてを見透かすような目だ。

 ごまかせない。下手な嘘は通用しない。


【神託】:うわ、面倒な奴に絡まれた

【神託】:こいつ、絶対頭いいぞ

【神託】:ケンタ、どう切り抜ける?


 どうする。

「神託」や「恩寵」の話なんて、できるわけがない。

 俺が言葉に詰まっていると、アリアが口を開いた。


「……それはケンタ殿に与えられた神々の祝福だ。我ら人の子が、容易に口にしていいものではない」


 うまい言い方だと思った。

 具体的ではないが神秘性を匂わせ、相手の追及を封じる。

 だが、レオンは全くひるまなかった。


「神々の祝福ですか。なるほど、面白い。では、その祝福はどのような原理で発動するのですかな? 術式は? 触媒は? それとも、あなたの血筋に何か秘密でも?」


 彼は子供がおもちゃを分解したがるかのように、目を輝かせて矢継ぎ早に質問を浴びせてくる。

 こいつ、好奇心の塊だ。

 まずい。これ以上、関わらない方がいい。

 俺は無理やり話を打ち切ることにした。


「……すみません。疲れているのでもう部屋に戻ります」

「おや、つれない」

「ポポロ、アリア、行くぞ」


 俺は半ば強引に二人を立たせ、その場を後にした。

 背中にレオンの視線が突き刺さるのを感じた。

 彼は追いかけてはこなかった。

 ただ、食堂のテーブル席で一人楽しそうに笑っているのが、部屋に戻る階段の途中ちらりと見えた。

 厄介な奴に目をつけられてしまった。

 あの探るような目が脳裏に焼き付いて離れなかった。

 第12話を更新しました。

 新キャラクター、魔法使いのレオンの登場です。

 今までの脳筋タイプ(失礼)とは一味違う、知的な探求者。

 

 彼は、ケンタの力の秘密に、その核心に、近づこうとしてきます。

 ケンタにとっては、味方なのか、敵なのか、あるいはただの面倒なストーカーなのか……。

 彼の存在が、今後の物語のスパイスになってくれることを期待しています。

 

 「法則の外の力」という言葉、いいですよね。

 この世界の住人から見れば、ケンタの配信システムは、まさにそういうものに見えるはずです。

 そのズレを描くのが、この物語の面白いところの一つかな、と思っています。

 

 さて、厄介な男に目をつけられたケンタ一行。

 彼らは無事にこの街を脱出できるのでしょうか。

 

 いつもお読みいただき、ありがとうございます。

 次回もお楽しみに。

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