表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【二作目・完結済み】異世界冒険をライブ配信中! 『神々(視聴者)』からの『恩寵(投げ銭)』でスキルを買って魔王を倒します!  作者: 立花大二
第一部:配信者と勇者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/64

第10話『金色の雨』

 隣町まであと半日というところだった。

 岩場が続く見通しの悪い道。

 アリアが「魔物が出やすい。警戒を怠るな」と言った、その矢先だった。


 地響きがした。

 岩陰から巨大な影が現れる。

 ただのオークじゃない。その倍はあろうかという巨体。

 全身に傷跡があり、濁った目には知性と呼べる光が宿っている。

 手にした棍棒は、大木をそのまま引っこ抜いたような代物だ。

 オークキング。この辺りの森の主。

 本来なら俺たちのような駆け出しパーティが相手にしていい魔物ではなかった。


「ポポロ、下がっていろ!」


 アリアが叫び、剣を抜く。

 俺もポポロを背中にかばいながら剣を構えた。

 ポポロは恐怖で小さな体を震わせている。

 先に動いたのはオークキングだった。

 雄叫びと共に巨大な棍棒を振り下ろしてくる。

 アリアがそれを盾で受け止めた。


 ガギンッ!


 耳をつんざくような金属音。

 アリアの体が衝撃で大きく後ろに下がる。

 地面に二本の深い溝ができた。


「ぐっ……!」

「アリア!」


 重い。一撃の重さが尋常じゃない。

 俺はオークキングの側面に回り込み、がら空きの脇腹に剣を突き立てた。

 だが、手応えが硬い。

 まるで岩を殴っているようだ。

 俺の鋼の剣は奴の硬い皮膚を数センチ切り裂いただけで、それ以上深くは入らなかった。

 オークキングが鬱陶しそうに腕を振るう。

 俺は、その一撃をまともに食らい岩壁まで吹き飛ばされた。


「がはっ……!」


 背中を強打し、肺から空気が全部搾り出される。

 目の前がちかちかした。


【神託】:やばいやばい!

【神託】:こいつ、強すぎるだろ!

【神託】:逃げろケンタ!

【神託】:アリアさん、がんばって!


 神託が悲鳴で埋まる。

 アリアは一人で懸命にオークキングの猛攻を捌いていた。

 だが、パワーの差は明らかだ。

 じりじりと追い詰められ、ついに棍棒の一撃が彼女の盾を弾き飛ばした。


「しまっ……!」


 がら空きになったアリアの体に、追撃の棍棒が叩きつけられる。

 彼女の体は紙切れのように宙を舞い、地面に叩きつけられた。ピクリとも動かない。


「アリア!」


 俺は痛む体を無理やり起こした。

 オークキングは倒れたアリアには目もくれず、こちらに、いや俺の背後で震えているポポロにその濁った目を向けた。

 まずい。狙われている。

 俺はポポロの前に立ちはだかった。剣を構える。手は震えていた。

 勝てない。

 死ぬ。

 俺も、この小さい女の子も、ここで。

 オークキングがゆっくりとこちらへ歩いてくる。

 一歩、また一歩と死が近づいてくる。


 もう、だめだ。

 そう諦めかけた、その瞬間だった。


 空が、光った。

 どこからともなく金色の光の粒子が、雨のように降り注いできた。

 それは静かで、幻想的な光景だった。

 戦場の喧騒が嘘のように遠のいていく。

 なんだ、これ。


【天覧者数:3500!】

【神託】:うおおおおおおおおおお!?

【神託】:金色の【恩寵】!? 見たことねえ!

【神託】:誰だ!? 誰が入れたんだ!?

【神託】:額が、額がカンストしてる!


名も知らぬ富豪神より、規格外の【恩寵】を賜った。


 神託のウィンドウが、見たこともない熱狂に包まれていた。

 金色の雨は俺の体へと降り注ぎ、吸い込まれていく。

 そして、俺の右手に温かい光が宿った。

 光が収まった時。

 俺の手には一本の剣が握られていた。

 白銀の刀身に、黄金の装飾。

 鞘に収まっていないのに、その刀身はまばゆい光を放っている。

 美しいと思った。

 同時に、分不相応だとも思った。

 こんなものが俺の手に握られていていいはずがない。


【神託】:聖剣……!?

【神託】:ガチャでも出ない最高レアのやつじゃん!

【神託】:石油王マジ神!


 オークキングが目の前に迫っていた。

 俺はただ無我夢中で、手の中の聖剣を振るった。

 今まであれだけ硬かったオークキングの棍棒が、まるでバターのように音もなく真っ二つに切れた。

 オークキングの目が、初めて恐怖の色に見開かれた。

 俺は戸惑いながらも、もう一度剣を振るう。

 横薙ぎの一閃。

 それはオークキングの巨大な胴体を、いともたやすく両断した。


 ずしん、という重い音を立てて、オークキングの上半身と下半身が別々に地面に落ちる。

 血の匂い。

 静寂。

 俺は手の中に残る、光り輝く聖剣を見つめていた。

 自分の力じゃない。

 誰かの気まぐれな金で買った、借り物の勝利。

 嬉しいとか、誇らしいとか、そんな感情はどこにもなかった。

 ただ、ひどく空っぽな気持ちだった。

 第10話を更新しました。

 オークキングとの激闘でした。

 パーティ結成以来、最大のピンチ。アリアも倒れ、ケンタも絶体絶命……。

 

 そこに現れた救世主、その名も「名も知らぬ富豪神」!

 一体、何者なんでしょうか。とんでもない額の【恩寵】で、ケンタに聖剣を授けてくれました。

 こういう、圧倒的な力でねじ伏せる展開、たまにはいいですよね。

 

 しかし、ケンタ本人はあまり嬉しそうではありません。

 自分の力ではない、借り物の勝利。

 彼が抱えるこの虚しさは、これから彼の旅にどう影響していくのでしょうか。

 

 そして、アリアは無事なのか!?

 次回、波乱の戦後処理編です。

 

 いつも読んでいただき、本当にありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ