第10話 国際謀略の勝利と、チートが暴く次の戦場
首相執務室。
小林鷹志総理は、黒木圭介に、国際資源外交の最終交渉資料を提示した。
「圭介君。新城記者の記事のおかげで、裏取引は潰えた。だが、この後の外交戦で、日本が資源を確保できる確率は低い」
(未来の記憶では、この外交の失敗が、小林政権の支持率を再び叩き落とす原因となった)
「総理、未来の記憶は、観星会が『|ユニフィア・ステーツ連合(U.S.)』と『ブルクエン連合』の間に、『エネルギー安全保障の分断工作』を仕掛けてくることを告げています」
圭介は、すぐさま端末から、蒼鷹会が解析した「某国の裏取引の証拠」と、「観星会の分断工作の具体的な計画」を総理のタブレットに送信した。
「この情報を、U.S.の極秘ルートを通じてリークしてください。**『ブルクエン連合が、観星会に抱き込まれ、U.S.を裏切る』**という、最もU.S.が恐れるシナリオを」
(U.S.へのリークは、最も早い段階で敵に混乱をもたらす。外交に倫理など不要だ。必要なのは、国益への執着のみ)
**その冷徹な判断を、圭介はまるで呼吸をするかのように、何の迷いもなく実行した。**
「論理は後です。U.S.は、この情報に飛びつき、必ずブルクエンとの関係を修復しに来ます。その修復の『テーブル』に、日本を**『資源外交のキープレイヤー』**として引きずり込むのです」
小林総理は、圭介の狂気的な知略に、またしても息を飲んだ。彼の誠実な瞳に、**「国を救うためなら、親友の狂気をも利用する」**という、冷徹な覚悟が宿る。
**数日後**。
小林総理は、巧みな交渉術を発揮し、日本は資源確保の外交戦で劇的な勝利を収めた。
「圭介君。やはり、新城記者の記事が効いた。国民の世論が、裏取引を許さない空気を作ってくれたおかげだ」
小林総理の支持率は、揺るぎないものとなる。
(大きな歪みを二度起こした。チートの信頼度がどれほど落ちたか、確認せねば)
圭介が、左腕の紋様を凝視した瞬間、脳内に**「|CONFIDENCE LEVEL:78%」**という数値がグリッチした。**(思ったよりも落ちた。次の行動は、さらに大きな代償を伴う…)**
圭介は、窓の外の空を見上げた。その空は、まだ灰色に曇っていたが、微かに希望の光が差しているように見えた。
**その直後、脳内にイーロン・マーズの愉悦に満ちた声が響いた。**
『アハハハハ!ケースケ君、最高に面白い!君の**バタフライエフェクト**は、予定調和の未来を大きく引き裂いたぞ!』
圭介は、その声に悪寒を覚える。
『お祝いだ。次の戦場を教えてあげよう。それは、**「統一朝鮮共和国」**の裏側で蠢く、**「極秘の核兵器計画」**だ!フフフ…人類を焦土にするボタンを、君は阻止できるかな?』
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【Xにて設定やイラストを補足しています】https://x.gd/vIi51




