表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/43

第六話 裏の顔

 美鈴も小屋から出て、ドアがパタンと閉じる。それを見計らったかのようなタイミングで、小屋の奥のドアが開いた。


 そこから現れたのは、銀髪の少年と、先ほど、美鈴の前に現れた妖しい狐面の男性だった。


 狐面は頭の斜め上に傾けているため、素顔が露になっている。


 赤い瞳は楽しげに歪み、まだ木製の椅子から動けないでいる明人を見た。


「おーおー。初めてにしては上出来だな、人間よ」


 銀髪の男性は、煙管を片手で弄びながら、楽しげに言った。


 深緑色の着物をはだけさせており、中には黒いノースリーブを着用している。


 胡散臭い空気を醸し出しているが、今の明人にはどうでも良かった。


「…………レーツェル、貴様……」


「人間よ、顔が般若のように歪んでおるぞ。美しい顔が台無しだ」


「黙れ、化け狐」


 先ほどまで依頼人に向けていた柔和な笑みが嘘のように、明人の表情がみるみるうちに不愛想になる。


 それすら楽しそうに、レーツェルはニヤニヤしながら明人の様子を見ていた。


 その視線が煩わしく、明人は乱暴に頭をガシガシと掻いた。


「あー、くっそ! つーか!! なんだよ、噂の内容!! 聞いていた話と全然違うじゃねぇかよ!!」


 乱暴に立ち上がり、レーツェルを見上げた。

 睨みつけていると、先ほどまで静かにしていた銀髪の少年が口を開いた。


「明人よ、レーツェル様を化け狐と呼ぶのはやめるのだ」


「うるせぇよ、カクリ。今は、そんな話をしているんじゃねぇんだよ!」


 カクリと呼ばれた少年は、子狐の妖。

 白いワイシャツに、黒い短パン。貴族の子供のような服を着用していた。


 目は、子供特有のクリクリの黒い瞳。

 肌は色白で、隙間から覗き見える耳は、狐の耳をしていた。


 ちなみに、レーツェルの耳も、カクリと同じで狐の耳をしていた。


「おい、答えやがれ、化け狐。俺が出来るのは、”人の記憶を覗く”、”中に入るの二つ”じゃなかったのかよ。なんだよ、願いを叶えるって。噂を流してくるとか言いながらでたらめ言いやがって。驚いたじゃねぇかよ」


 子供のようにギャーギャーと喚く明人を見て、レーツェルは始終、楽しそうにケラケラと笑っていた。


「まぁ、落ち着くのだ、人間。仮に、そのままの内容を噂で流したところで、誰もよくわからんくて、興味を示さんだろう」


「そ、そうかもしれねぇが……」


「それなら、願いが叶うと噂を流した方がいいだろう。人によっては、感情を解き放つだけで、願いが叶ったと感じる者もおるんだからな」


 レーツェルの説明で納得できる部分もあったが、それでも腹の虫がおさまらない明人は拳を握り、自分より大きなレーツェルを睨む。


 そんな彼の姿を見て楽しんでいたレーツェルは、狐の耳をピクピクと動かした。


「ほれ、そうこうしているうちに、また依頼人が来たらしいぞ」


「…………わかるのか?」


「結界を張っている本人だからな。カクリもわかってほしいのだが……」


 明人とレーツェルの視線が自然とカクリへと注がれた。


 カクリが首を傾げ、何が起きているのか理解出来ていない様子だ。


 何を言っても意味は無いと瞬時に理解し、明人はため息を吐き、レーツェルは乾いた笑みを浮かべた。


「まぁ、そういうことだ。今はまだ始めたばかり、ゆっくり慣れていこうではないか」


「へいへい」


 仏頂面を浮かべる明人だが、依頼人が来ているのなら準備をしなければならない。

 頭をガシガシと掻きながら、木製の椅子へと座った。


「頑張れよ、人間よ」


「うるせーよ。さっさと奥に消えろ」


 やれやれと、レーツェルはカクリと共にドアを開き、奥へと居なくなった。


 一人になった明人は、ふぅと一息。

 口元に優しげな笑みを浮かべ、顔を上げた。


 同時にドアが開き、一人の人物が姿を現した。


「ようこそ、お越しくださいました。貴方のお話をお聞かせください」


ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ