表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/43

第四十三話 絵画展

 コンテストに選ばれた作品は、沢山の人が集まる絵画展に展示されていた。

 美鈴の作品も数多くある展示の中に、額で飾られていた。


「あっ、これじゃん。美鈴、あったよ!!」


「もー、鈴。ここは走ったら駄目なんだよ~」


 美鈴と鈴、あと、車いすに座っている柊が絵画展に遊びに来ていた。


 美鈴の絵を見つけて、一番興奮しているのは、なぜか鈴。

 美鈴は、柊の車いすを押しながら、ゆっくりと自分の絵の前に立った。


 タイトルは、また違うものが頭に浮かび、今回は変更していた。

 三人で見ていると、鈴が急に目を細め口を開く。


「それにしても、なんだか不思議な経験だったよねぇ〜。これを見るたび、今回のことは思い出しちゃうかも」


「確かに。私も忘れないと思う。多分、柊先輩も」


 柊は、まだ完全に感情が戻ったわけではなかった。

 けれど、人の会話を脳で処理することはできるようになり、今の美鈴の問いかけに、小さく頷いた。


 これは、美鈴達が毎日毎日、声をかけていたからだ。

 絵についてや、学校生活についてなど。なるべく楽しい話を聞かせてあげていた。


「――――それじゃ、次行こうか」


「うん」


 美鈴と鈴が、その場から居なくなる。

 車いすの音を鳴らしながら、姿が消えた。


 また数分後、美鈴の絵の前に影が現れた。

 立っているのは、ポロシャツを着ている明人と、少年姿のカクリ。

 レーツェルは絵画に興味がないと、今日は共に居ない。


 カクリも正直興味はないため、なぜここに来たのかわからず明人を見上げた。


「明人よ、なぜこんな所に来たのだ? まさか、依頼人の絵が気になったのかい?」


「んなわけあるか、阿保」


 明人は、美鈴の絵画のタイトルを見て、「ほぉ」と、関心の声を上げた。


「これは、面白いな」


「なんと書いているのだ?」


 タイトルは漢字一文字。そのため、カクリは読めない。

 明人に聞くと、面白そうに答えた。


「これは、はこと読む」


「はこ? なぜ、これが《《箱》》なのだ?」


「さぁな。だが、これは面白い。俺も使わせてもらおうか」


 クククッと喉を鳴らし、明人は歩き始める。


 また、なにかよからぬことを考えているんだなと思いながらも、カクリは明人の後ろをついて行った。


「あの作品のタイトルに使われている匣と、カクリが勘違いした箱は、少しだけ意味が違ったはず」


 ブツブツと呟きながら明人を横目に、カクリは眉を顰めた。


「感情に蓋をする、それを開ける。くくっ、これからは俺の力の説明も、簡単そうだ」


「明人?」


 カクリがまた質問しようとするが、明人は何も言わずに歩き続け、絵画展を後にした。


 毎度、置いてけぼりにされているカクリはまた顔を赤くし、怒りながら明人を追いかけた。


「何を考えているのか教えるのだ、明人!!」


 ここから、二人の物語が大きく動き出す。

 様々な依頼を受け、様々な感情に触れていく。


 そんな未来を一切考えていない明人は、新しい言葉を頭に刻み、ただ真っすぐ前だけを見て、歩き続けた。


ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ