そんな音痴ある??
はい。祈りは届かず、現在空を出せる限りのスピードで現場へ急行しております。ちなみに全く行きたくない。
いやもう、義半食べ終わった直後に酒井支部長から連絡が来た時点でいやな予感がしたんだよ。で話を聞いてみたら、なんでも『雷霆』先輩が頑張って情報を得ようとしていたところ、『凪姫』が「じゃあ前私と話した子が来たら少しくらいなら話してあげるわ。ウェディングドレスみたいな衣装の空飛んでる娘。」と言ったらしい。
なんで私なん??と先輩も酒井支部長も私も思ったが、せっかく情報を得られる機会なのだから急いでくれと言われたので、下着を見られる可能性もほっぽって急行しているのである。
さて現場に着いたのだが、侵略者の出現場所は道路のど真ん中だったようで周囲に広がる血やら内臓やらがひどいことになっている。というか待って、私アスファルトに杖は刺せないし、これどうすればいいの?まさか上のやつをひとつづつ浮かせと??
さすがに無理が過ぎるんじゃないかと思いながら現場に降りる。先輩も凪姫もすでにこちらに気づいていたようで、二人そろってこちらに手を振っている。なんか仲いいですね。そのまま話聞いてくださいよ。
思考が暴力寄りになっている気がする。私もよくわからないけど、なんだか嫌な予感が止まらないのだ、本能が警告しているような感じがする。なんなんだこれ。
「お疲れ様です先輩。凪姫さんも、お久しぶりです。」
「おう、お疲れ。私はちょっと離れとくな。凪姫、話すのはお前だけにしたいみたいだから。」
「ありがと。さて、久しぶりね飛翔ちゃん。私と会ってから体調は変わらない?」
「?特に変わりありませんが・・・」
質問の意図がよくわからない。怪我はなかったかという意味だろうか?それともほかに意味がある?いやな予感もさっき急に感じ始めたやつだし。でも一応言ったほうがいいのかな?
「関係あるかはわかりませんが、なんというか、ここに来るまでに嫌な予感を感じました。気のせいだと言われればそれまでですが・・・」
「そう・・・いえ、大丈夫よ。聞きたいことがあると聞いたわ。とはいえ、私にも話せない理由があるの。名前や住所とか、特定につながるもの以外なら答えてあげるわ。私も少し反省したの。片付けを全部任せっきりだったから。」
「あ、それ不思議でした。なんで凪姫さんは杖の機能使わないんですか?使えばまき散らさないで済むのに。」
「?そんなのあるの?」
え、なんで知らないんだ。魔法少女なら当たり前に知ってるのに。
もしや凪姫さん、杖音痴か。




