店長「青春の気配・・・」
「それじゃ、話聞かせてくれる?」
「うぅ・・・はい・・・」
放課後、お昼休みに話しかけてきた彼女とクレープ屋に来た。内容はもちろん智也君についてである。どう見たって智也君ののことが好きだろうし。今の彼女はお昼休みの時よりも静かで、私が智也君の名前を出すたびに恥ずかしがっている。
「最初に聞きたいんだけど、智也君のことが好きなんだよね?」
「ッはい・・・」
さすがにね。好きだというのを認めることになってしまったからか、彼女の顔はまたもや真っ赤になっている。個人的に嫌いではないので応援してあげたい。ここに来るまでにお花とか踏まないように歩いてたからね。優しい人に間違いないと思う。
「それで・・・ごめん、先に名前教えてくれない?私は飛鳥百合だよ。百合でいいからね。」
「あ、名乗りを申しておりませんでしたわね。申し訳ありません。私、関華怜と申します。私も華怜で構いませんわ。」
「それじゃ華怜って呼ぶね。で、智也君が好きななんでしょ?どこが好きになったの?やっぱり顔?」
「あう、その、えと・・・」
顔を真っ赤にしながらたどたどしく説明する華怜ちゃんの話を詳しく聞く。どうやら華怜ちゃんは、一週間ほど前に妹と二人でショッピングに行ったらしい。で、妹さんのほうがお手洗いに行ってる最中に近くのベンチで荷物番をしていたところ、昼間からお酒を飲んでべろべろの大学生に絡まれ、腕をつかまれたと。
周りに人がいれば大学生もそんな大胆なことはしなかったんだろうけど、場所がトイレ前のベンチだったから周りに人がほとんどいなかったらしい。それで怖くなって逃げようとしたところ、バランスを崩して足を踏んでしまい男が激怒。はたかれそうになったところをたまたまトイレから出てきた智也君に助けられたと。
「べただねぇ・・・」
展開がベタ過ぎない?ラブコメで100回くらい見た気がするんだけど。まぁ、それで好きになっちゃったってことね。
「それで惚れたからお近づきになりたいと?」
「うぅ・・・いえ、別にそこまで直接行きたいわけではないのです。ただ。お礼を言う間もなく去って行ってしまったので、せめてお礼だけでもと・・・」
「お礼が言いたいだけの人は、最初に付き合ってるか聞かないと思うよ。」
「ふぐぅ・・・」
「付き合いたいんでしょ?」
「はい・・・」
う~ん。智也君がどう思うかはわからないけど、少なくともお礼を言いたいっていう考えは悪い考えじゃないと思うし、智也君に伝えても大丈夫かな?華怜ちゃんも善性っぽいし。
「とりあえず、明日智也君に話してみるよ。連絡したいから、連絡先交換しよ?」
「はい、ありがとうございます・・・」
アイコン猫ちゃんじゃん。可愛いかよ。