『飛翔』ちゃんはフラグが好きねぇ
「酒井支部長、報告書が完成したので持ってきました。」
『清掃員』としての初仕事を終えた次の日、学校に行く前に早起きして書いた報告書を支部長にわたす。
いやぁ昨日は大変だった。体と鼻に血の匂いがこびりついて晩御飯を食べられなかったし、ならば寝ようと思っても早すぎて布団の中でずっと置きてる羽目になった。それでも日付が変わる前には何とか寝れたけど。
それで朝早くに起きたから、時間がもったいなかったのと何だか書けそうで報告書を書いたのだ。いつもはやる気が出るのを待ってたら期限ぎりぎりになって焦って始めるのだけど、朝にやる気が出てくれてよかった。
代わりにお弁当が作れなかったので、お昼休みはコンビニかなと思っていたのだが。なんとかなちゃんがお弁当に入っていた鳥の照り焼きを分けてくれた。前ののクレープ屋で女の子同士ならシェアとかよくするって知ったみたいで、そういうのにもチャレンジしたいみたい。あ~んとかもやってくれた。周りの目は痛かったけど。
そんなこともあったが、放課後になったので報告書を提出するため酒井支部長にあいに来たのが今である。
ちなみに書いた内容はぺらっぺらもいいところ。しかししょうがないのだ、書くことがないのだから。ただ杖を使って魔法を発動しているだけである。戦闘なら反省点とかかけるが、これに関してはほとんどなかった。
「おお『飛翔』か。今回は早いのう。どれ、今茶を出してやるでな。そこに座っとれ。少しだが話もあっての。」
「?わかりました。」
話とは何だろう。ついこの間、『清掃員』の話をされたばかりでないように心当たりがないので、少し緊張する。
「そう身構えんでもよい。日本の魔法少女全員に話していることじゃ。その内容というのが、『凪姫』のことでの。方針を変えることにしたのだ。」
「『凪姫』ですか?今までの方針というと、害はなく、何人も魔法少女が助けられているうえ、本人が味方だといっている以上へそを曲げられても困るから、あまり詮索はしないようにっていう。」
「言い方は少々悪いが、まぁおおむねその通りであったわ。しかしな、こちらが感知できない侵略者の出現がこれまでよりも明らかに増加している以上、何らかの手段で移動と出現の予測をしている『凪姫』に力を借りたいのだ。」
確かに、ここ半月くらいの予測できない侵略者の出現率はおかしい。この町はなかったけど、ニュースとかでも取り上げられていたし、環奈ちゃんのところでも不意に現れたことがあって大変だったと聞いている。しかし、
「力を借りる、ですか?」
「うむ。彼女がどんな方法で移動と予測をしているかはわからんが、魔法を使っているのは間違いないであろう?ならばそれを理解し、技術として確立できれば、人類の力になるはずじゃ。先日超大型の出現を予測した1号機みたいにの。ゆえに、彼女と遭遇したなら、何でもいいから話を聞いとくれ。引き止めるだけでも構わん。そういう状況なのだ。このままでは何人死ぬかわからん。頼むの。」
「う~ん、まぁ、わかりました。」
正直、あんまり納得していない。彼女はわざわざプロフィールを隠して魔法少女をやっているのだ。それ相応の理由があるのだと思う。とはいえ、実際に被害も広がっているし、魔法少女の数も足りない。彼女の力を頼りたいのは事実だ。
まぁ、私が話す機会なんてないと思うけど。




