実は雷の色は黄色や白だけじゃない
5月ももうすぐ終わる日の 夜、晩御飯を食べていると酒井支部長から連絡が来た。ちなみに今日の晩御飯は鶏の照り焼き。鶏肉っていいよね。安くておいしい。
「はい、『飛翔』です。」
「おお『飛翔』、急な話ですまなんだが、清掃員としての初仕事を頼みたくての。これそうか?」
「問題ないです。場所はどこですか?」
「助かるのう。現場は椿小学校じゃ。状況は現場にいる魔法少女から聞くがよい。終わったらいつも通り報告書も頼む。ではな。」
電話が終割ると同時に、私は変身して空を飛ぶ。食べ終えていない晩御飯は電話中に冷蔵庫に入れておいた。もう暖かくなってきたから、そのまま放置は気持ち的に無理。
椿小学校はそこまで遠くないのですぐについた。現場いたのは、私に戦い方を教えてくれた先輩魔法少女の『雷霆』だった。
「あ、『飛翔』じゃん。清掃員て『飛翔』なん?」
魔法少女『雷霆』。私に戦い方を教えて呉れた魔法少女で、ここの支部で魔法の威力が一番強い魔法少女。この辺りに現れた大型は、この人がほとんど倒してる。
衣装は肌色面積の多い天女の羽衣姿で、髪は雷を想像させる白と青が混ざった色で、赤色のメッシュが入ったロング。そして美人で優しい。
「お疲れ様です先輩。えへへ、お給料もらえるので、こっちでもいいかなっておもって。とりあえず、経緯を説明してもらってもいいですか?」
「あー、といっても、私も伝えられることなんてほとんどないよ?」
「そうなんですか?」
「うん。私さ、支部長にここにいけってい言われたからここ来て待ってたんだよ。そしたら小型が現れると同時にいつの間にか『凪姫』がいてさ。瞬きしたらもう全部終わってたね。」
「『凪姫』さんはどうしたんですか?」
「声かけようと思ったらもういなかった。いやーびっくりしたね。」
う~ん、私の時とあまり違いはないかな。一瞬で侵略者をやっつけるのもそうだし、そのあとすぐにいなくなるのも、特に変わりないっぽい。
「わかりました、ありがとうございます。」
「うん、『飛翔』も頑張ってね。それじゃ。・・・あ、今度ご飯でも行こうねー!」
そういいながら先輩は去っていった。その姿はもう見えない。先輩、自分を雷にして移動できるみたいだから、早いのは当然だ。私も移動速度はそこそこあるけど、さすがに先輩にはかなわない。
とりあえず、片付け開始だ。目の前には小型侵略者5体分の内容物が置かれている。小型や中型は魔法を使わなくて微妙な身体強化しか使わないけど、代わりに3~5体いっぺんに出てくるのだ。
とはいえ、量だけで見るなら大型1体のほうが明らかに多いし、今回は楽できそうだ。
「それじゃ、頑張りますっと。」
問題は、これが終わった後に晩御飯の続きが食べられるかどうかだね。量が少ないとはいえ、全然血のにおいするし。




