注目されるって楽しくて怖いよね
「百合ちゃん。」
「あ、かなちゃん。どうしたの?」
4限目の授業が終わってお昼休みに入ると、かなちゃんが声をかけてきた。手にはおそらくお弁当箱を持っている。あ、もしかして
「お弁当、一緒に食べようと思って。校庭のところにベンチがあるからそこで食べよう?」
「お弁当はいいけど・・・、う~ん、校庭のベンチか。」
う~ん、ちょっと困った。お弁当を二人で食べるのは別にいいのだ。でもあそこって、付き合ってる先輩とかがたまにあそこでお弁当食べてるらしいのだ。そこに二人で参戦するのはなんか気まずい。別に悪いことでも何でもないんだけど。
「ダメかな・・・?」
「あ、いやいや大丈夫。それじゃいこっか。」
二人で廊下を歩きながら校庭に向かう。目的のベンチは少し遠くにあるので早歩きで。特に話すこともないので、お弁当の話をしながら。私のお弁当手作りなんだ~とか。かなちゃんは一度作ろうとしたけど、
その途中、昨日と同じくらい視線を感じる。とんでも美少女のかなちゃんを見ているならわかるのだが、半分くらいは私を見ている気がする。私に見られる心当たりは一つしかないので、つまり噂話はかなり広まっているのだろう。
すぐ収まるとわかっていても、多くの人に意識されるというのはなかなかしんどい。これがいやで魔法少女をやっていることも、友人たちには伝えていないのだ。私が魔法少女になってから、魔法少女を居ていることを知っているのは先生とかの知らないといけない人だけ。友人を信頼していないわけじゃないけど、どこから漏れるかわからないから。
そんなことを考えているうちにベンチに着いた。ベンチは幾つかあるが、座っているのはほとんどがカップルで、私たちみたいな同性で座っている人はいない。
「それじゃ、食べよっか。いただきます。」
「うん。いただきます。」
かなちゃんのお弁当はサンドイッチ、私は昨日の晩御飯の残りだ。ていうか、
「かなちゃん、その量で足りるの?少なくない?」
さすがに量少なすぎないか、かなちゃん。私の半分くらいしかないよそれ。私だったら動けなくなるレベル。
「え、そうかな?私いっつもこのくらいだよ?」
「そうなの?足りなかったら私のお弁当上げようかと思ったんだけど・・・」
「えっ」
まぁ、足りてるならいいか。私も食べちゃおう。そもそも昨日の晩御飯の残りだし、わざわざあげる様なものでもないか。
「やっぱり足りない!足りないからもらってもいい!?」
「え、う、うん。」
なんかすごい勢いで言ってきたな。まぁたくさん食べる分にはいいだろう。はい、お肉あげるね。
この後、昨日のクレープの時みたいにぶつぶつ言いながら食べてて怖かった。




