美形は得もするし損もするらしい。真実は如何に。
「おはよ~」
教室に入って自分の席に行く。今思ったけど、廊下側から一気に窓際になったから、移動量が増えて少し大変だ。席に着いたら、朝に晩御飯の残りを詰め込んだお弁当を机の横にかけて席に座る。隣の智也君はすでに来ていた。
「おはよ、智也君。」
「あ、おはよう百合さん。」
そういえば、智也君は私とのうわさが付き合っているにまで進化していることを知っているのだろうか。昨日は一番最初に教室から出ていたしもしかしたら知らないかもしれない。
「智也君、私とのうわさ聞いた?付き合ってるって話になってるんだけど」
「え、そうなの?ごめん、知らなかった。」
あ、やっぱり知らなかったか。とはいえ、噂の対処なんて一つしかないか。
「そっか。私も昨日かなちゃんに言われて初めて知ったんだけど、私たち付き合ってるって言われてるみたい。智也君も聞かれるだろうから、聞かれたら違うって断ってもらっていい?」
「うん、わかった。ごめんね、百合さん。」
「いーよいーよ。気にしないで。どうせすぐ収まるだろうし、噂を広めてるほうが悪いんだからさ。」
そう、たとえ広めてる人に悪気がなかったとしても、こっちが迷惑してるんだからあっちが悪いのだ。おかげで昨日は鬼を見る羽目になったし。
「そう言ってもらえると助かるな。あ、かなちゃんって誰?友達?」
「そう。ほら、窓際の一番前に座ってる女の子いるでしょ?あれがかなちゃん。」
「ああ、あの人か、佐藤さんだっけ?彼女も大変だね。きれいになったから、いろいろな人が寄ってくるよ。」
「あー、そうかも。」
確かに、昨日は滅茶苦茶人集まってたな。あれが毎日続くってなったら大変かも。
「うーん。百合さんの想像してるのとは少し違うと思うけど・・・。あ、先生きたね。」
「ほんとだ。もう授業か、早いね。」
とりあえず、授業に集中しますか。1限目は世界史だ。私は暗記はそこそこできるのだ。テストのときになるとほとんど忘れてしまうのだけど。テストで点数取れる人ってどういう頭してるんだろうね。私なんか、あんなにいっぱい教科があるといろいろやっちゃって全然進まないよ。
世界史の先生は安西先生。名前がとある有名なバスケ漫画の先生と一緒なので、最初のころはいろいろネタにされてた。
ゴールデンウィークが明けてから2回目の授業だけど、最初のころに教えたことも質問されるからつらい。私が1月も前のことを覚えていられると思わないでほしい。それができるなら、テストの点数はもっとよかったよ。




