『飛翔』、君の前にいるのは、18年生きたフラグクラッシャーだ。
「・・・」
で、現場に着いたのだが。
私の仕事は誘導だ。侵略者を二次被害の危険性がない且つ人がいないところに誘導しなければならない。とはいえ誘導先は大人が選んでくれるので、私はその場所に誘導するだけ。そんな思考で現場に到着したのだが、何かがおかしい。いやおかしいというか、原因はわかりきってるんだけども。
私の前にいる侵略者からは、すでに臓物と血があふれている。そして目の前には、昨日と同じように最強の彼女。
昨日は焦りやらなんやらで『凪姫』の姿を見ていなかったのだが、彼女は武器に合わせてか、大河ドラマで見るような武士の衣装そのままだった。色は宝石のように光り輝く薄い蒼。銀色の髪と合わさってどこか神秘的で、彼女が自分と同じ人だとは思えなかった。
これで彼女がいつもの高笑いをしていなかったら、それこそ神やその眷属たる天使のように、崇めていただろう。もっともその高笑いのせいで、生えてきた信仰心も刈り取られてしまうが。
とりあえず、彼女に話を聞こう。昨日片づけさせられたせいで、血の匂いには耐性がある。上から行けば汚れることもない。私の隣にいる地元の魔法少女には、大人に終わったと連絡してもらうだけでいいだろう。血のせいで卒倒しそうだし。
「あのー。こんばんわー!」
「あら、昨日の。こんばんわ。」
上から声をかけながら、彼女の近くに着陸する。やっぱりにおいがすごい。眉間にしわが寄っているのがわかる。『凪姫』はよくこの中で平然としていられるものだ。
「ここに出現した侵略者、倒してくれたんですか?」
「ええ。侵略者を倒すのは私の使命だから。」
「使命、ですか?」
使命とは、おかしな言い方だ。まるで誰かに侵略者を倒してほしいといわれているみたいではないか。
「うちの組織には所属してないですよね?その使命っていうのは、いったい誰が?」
うちの組織っていうのは、日本魔法少女協会のことだ。魔法少女のサポートをしたり、侵略者のことを研究したり、いろいろなことをしている。日本にいる魔法少女は1つの例外を除いて、この組織に属しているといっていい。なお、その1つの例外は目の前にいる。
「あら、口を滑らせてしまったわ。これ以上滑らせる前に退散させてもらうわね。ではごきげんよう。」
「ちょっ、ちょっと待って。『凪姫』さんのこと教えて!私たち、何も知らないから!」
このまま逃がしてなるものか。『凪姫』に対して私たちが知っていることなど、強いこと以外まるでない。偶然とはいえ話す機会を得ることができたのだ。少しでも『凪姫』のことを知らなければ。
「・・・ふーん。まぁいいわ。何が知りたいの?答えられることなら答えてあげるわ。」
よし、言質撮った。
「ありがとうございます。では一つ目。お名前は?」
「いきなりぶっこんでくるわね・・・。答えられないわ。」
だいじょぶだいじょぶ。想定内。
「では二つ目。住所は?」
「いや答えられないわよ。」
「三つ目。どうやって侵略者の出現を特定したり、その場に現れたりしてるんですか?」
「・・・企業秘密よ。」
「4つ目。年齢は?」
「それくらいなら・・・18よ。というかなんでテレビのインタビューみたいな形式でやってるの?」
「気にしないでください。では最後に。」
これまでの質問はジャブ。この質問が本命だ。別にうらみがあるわけではない。助けてもらったのだから。なのだけど。
「なぜ血を出しながら戦うんですか?昨日の侵略者を片付けたのは私だし、今日のこれも私が片付けることになると思うんですけど。一応言っておくと、昨日片づけるのには3時間以上かかりました。今日は昨日よりましですが。1時間は「いけないこの後用事が入ってるんだったわもう行かなきゃ。」」
まずい撤退される。これ片付けるの私たちなんだぞ。昨日と違って誰かしらは手伝ってくれるだろうけど、それでもきついて。ああもう逃げられる!あと何かいいたいことはなかったか。聞きたいことはないか。
「『凪姫』さん!」
そういえば、言い忘れていた。
「侵略者を倒してくれて、ありがとうございます!」
消える直前、彼女が笑った気がした。




