助けてくれたことには感謝するが、それはそれとして一発お礼がしたい。
初投稿です。思い付きで書きました。世界観、キャラの名前、その他の設定すべてありません。終わりをどうするかも考えてませんが、何としても完結にはします。
「環奈ちゃん、魔法はもう放てる?」
「問題ないです先輩!いつでもいけます!」
よしよし、それなら大丈夫だ。目の前にいる大型侵略者はもうボロボロでおとなしい。横にいる環奈ちゃんの『太陽神の怒り』なら、確実に倒せる。準備に時間と集中力を使う大技だ。確実に倒せる。今のところは彼女の気配もない。
それにしても、この大型侵略者の出現場所を聞いた時はさすがに焦った。なんせ海のど真ん中。こいつを倒すためには大技を放てる環奈ちゃんが必要だが、その段階までサポートできるのは飛行魔法が使える私だけ。大型侵略者が凶暴でヘリも船も近づけない。
そもそも来るタイミングも悪いのだ。その原因は、先日東京に現れた超大型侵略者との戦闘。私も参加した。この戦いの影響で有力な魔法少女はほとんど動ける状態じゃない中、人員不足の土地に「この子は先の戦いにも参加しました。有望な魔法少女です。」と大人が恩を売りたいがために私が派遣された。私は魔法が使えるからと流されて魔法少女になっただけで、命をかけた戦闘なんてできればしたくないのに。
そんなことを考えていたのがいけなかった。どうやら侵略者がおとなしくなっていたのは、最後に一矢報いようと力をためていた結果らしい。『太陽神の怒り』を構えている環奈ちゃんに向かって侵略者が光線を放つ。まずい。
「環奈ちゃん!」
『太陽神の怒り』を準備中の環奈ちゃんは動けない。私の魔法で空を飛んでいる彼女を動かすわけにもいかない。集中力が切れて『太陽神の怒り』が使えなくなったらその時点で勝ち目がなくなる。
そこまで考え、私は光線の射線上に体を出す。これを喰らえば間違いなく死ぬ。
あ、走馬灯が見えてきた。運動が苦手なのに運動会でリレーのアンカーを走っている私。なんで出席番号で決めるんだ。いつも最初だからこういうときくらい最後を体験してみろってなんだよ。足の速い男子でよかったじゃんかくそ教師め。最期に見る走馬灯これかよ。もっと良いの無かったの?てかよくよく考えたら侵略者瀕死なんだから動かした後また時間かけて『太陽神の怒り』撃ってもらえば死ぬ必要なかったのでは?あぁ私バカす「『遍切』!」
「へ?」
その声とともに、目の前の光線が二つに割かれる。その事象は瀕死の大型侵略者にも迫り、そのまま真っ二つに。それは二度と動くことはなく、活動を停止した。
大量の血と臓物を、大海にまき散らしながら。
目の前には私の命を助け、この惨状を作り出した張本人。
「あははははははは!!」
いつものように高笑いをしながら侵略者を倒し、彼女は私を見る。
「怪我はない?」
「あっ、は、はい。助けていただきありがとうございます。」
「うん。怪我がなくてよかった。後ろの君も・・・大丈夫そうだね。それじゃ、また今度」
そういい、いつものように彼女は去っていく。どんな魔法かわからないけど、彼女は魔法少女がピンチの時、日本各地に現れ侵略者を倒し、そして消える。年齢不詳、身元不明、ただ強いこと以外何もわからない。それが彼女。現代の特異点。日本最強の魔法少女。
魔法少女『凪姫』。それが連盟がつけた彼女の名前。
「先輩・・・先輩!」
「あっ、ごめん環奈ちゃん。とりあえず帰ろっか。」
「え、でも先輩。これ、このまんまでいいんですか?」
「え?」
そういう彼女の指さす方向を見る。そこには海の色が変わるほど多く流れる血と、沈んでいく臓物。
「あぁ、」
そうだこれを片付けなければ。これを放置はさすがに環境破壊が過ぎる。え、でもどうやって?環奈ちゃんは・・・無理か。環奈ちゃんの魔法は炎を放つ魔法。海水と混じった血の処理なんてできるわけない。
「先輩、その、頑張ってください。」
「うん・・・。」
私、魔法少女『飛翔』。使える魔法は物や人を浮かす魔法と、浮かしたものの状態を把握すること。人を浮かせば体調がわかるし、水を浮かせば何が混ざっているかがわかる。つまり、今から私は。
「これ全部私が片付けるの・・・?」
まぁ、できる範囲だけ頑張りますか・・・。
Q.なんで凪姫なんですか
A.彼女が現れると全部解決するので、みんなの心が凪るからです。